表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/133

初任務は笑顔の為に!

今日は予定変更してもう少し頑張ります。

感想等頂けると励みになるので良かったらお願いします。(面白いか面白くないか、気になっています……)

「ん? どうしたんだ?」


「おまえ……本当にこの依頼受けるのか」


 さっきまでと違って真面目な顔をしてクレイは聞いてくる。


 なんだ?

 採取系の依頼だろ?


「あぁ、もちろん。一番報酬が高いからな。何かあるのか?」


 俺の問いかけにクレイは一瞬の間を置く。

 そして、一瞬の間の後、「受けるのなら止めはしないが……」と言って話し出した。


「その光明草ってのはな、目の病気の治療に使う薬草でこの辺りならウルク山の山頂に生えるなんだが、そのウルク山には魔物が出てな。さらに光明草ってのはなかなか希少で、本来なら光明草だけで銀貨一枚の価値、そして依頼の難度からも採取系の依頼でもC~Dランクの冒険者に依頼を出すんだが、依頼者の予算の都合上、これ以上の報酬が出せなくてな。元々報酬が低いせい……いや、光明草の価値を考えるとただ働きに近いっていうんで誰も依頼を受けなかった。それで、一応Fランクまで幅を広げたんだが……普通はこんな依頼誰も受けねぇ。だから、この依頼はずっと残ってたんだ」



 そうか、訳ありの依頼ってわけか。



「そうか。ウルク山って遠いのか?」


「いや、この町から一時間ほどだが――」


「よし、受ける!!」


「なっ!? 本当にうけるのか!?」



 クレイは目を見開いて驚いている。

 いや、俺としては魔物とか危険ないだろうし、むしろ報酬だ。


 それに片道一時間なら往復で二時間。

 人目がなくなったら持ち前の能力を生かして走ればもっと時間は短縮できるだろうしな。

 向こうで探すにしても夜には帰ってこられるだろう。


 それに依頼を何個か受けて焦ってやるより、一個の依頼に時間をかける方が成功率は高いだろうし……なんたって冒険者初心者だしな。



「あぁ、受ける」


「……本当に受けるんだな」


「あぁ」


「本当の本当にうけるんだな?」


「……あぁ」


「本当の本当の本当に――」


「しつこいんだよ、おっさん!!」


「おっさんじゃねぇ!!」



 いや、そこでキレ返されても……。



「とにかく俺はこれを受ける!」


「……そうか、分かった。……まぁ正直受けてくれるのは俺も嬉しいがな」


「ん? なんでだ? まさかクレイの目が悪くて、それでケチって依頼を……」


「違うわ!! ったく、すぐにからかいおって」



 あっ、分かってたのね。

 でも、今回は先にしかけてきたのはクレイだ。



「スマンスマン、それでなんでなんだ?」



 ここは俺が大人になって大人な対応で謝る。

 すると、俺の問いかけにクレイは俺を睨んだかと思うと、ため息をついて口を開いた。



「……実はな、その依頼主は孤児院の子供達でな、孤児院の子供の中に目の病気になった子がいてな、それで子供達がみんなで稼いだお金で光明草を買おうとしたが、希少性が高い上に今この街では不足気味で値段が上がっている。それでギルドに依頼を出してきた訳だ。だから、最初に言った銀貨一枚って通常時の価値で今は銀貨二枚ほどになっている。光明草を取りに行くとしても依頼を受けるより、依頼を受けずに採取して売った方が利益が出る。それで誰も依頼を受けなかったんだが……まぁちょっと嘘をついちまってたな、スマン」


「……」


「……依頼受けるのやめるか?」


「うぉぉぉおおおおおお!! なんて良い話なんだ!!!!」



 同じ屋根の下で暮らす仲間の為にみんなでお金を稼いで治してあげようとするなんてっ!!



「お、おい、落ち着け」


「これが落ち着いていられるか!! 任せろクレイ!! 俺が必ずこの依頼を達成して子供達に笑顔を……光を取り戻してみせるっ!!」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ふふふ、このウルク山も我の闇夜に染めてくれるわっ!!」


 勢いよく依頼を受ける返事をした後、クレイに「お、おう……」と引かれ気味に返事をされ、そして、また違う用紙に名前を記入させられた。

 それはどうやら、本来とは別ランクが受ける依頼難度である事の説明受けて上で依頼を受けると言った内容だった。



 まぁ言うなら『危険があるって説明を聞いた上で依頼を受けます』みたいなものだ。

 なんか日本での手術前の書類みたいだ。


 確かインフォームド・コンセントだっけ?

 まぁそんなやりとりをして俺は依頼を受けた。


 その際、クレイに「もし依頼を達成したら依頼主にサインをもらってきてくれ」と用紙をもらった。


 そ・れ・で・だ。


 元々、クレイの話を聞いて厨二モードに入ってしまったところに、依頼を達成したら孤児院に行かなければならないと聞いて、まともな恰好で子供達に会うのは後々恥ずかしいだろうから、勢いそのままに闇夜の黒騎士の衣装の封印を解き、闇夜の黒騎士へとなって全力ダッシュでウルク山に来た……という訳である。



「ふははは!! 誰にも我は封印できない!! みんなが我を必要としているのだ!!」



 俺は厨二モード全開でウルク山へと入った。


意外とクレイとのやりとりが楽しい……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ