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調査に躓いたけど、一つの可能性に気付いた

「くそ、いったい何が原因だっていうんだ!?」


 俺達がエルフの森に入って一週間。

 世界樹が枯れそうになっているのを知った俺は、その原因の調査をさせてほしいと願い出た。


 最初は渋る村長だったけど、俺が重ねてお願いするのと、俺に続いてセシリー、ゼクスも頭を下げてお願いした結果、「まぁリタを助けてくれた方たちだ。変な事はしないだろう」と渋々ながら許可してくれた。

 もっとも「もし世界樹に何かをしたり、しようとした時は……」と釘を刺されたけど、まぁ当然と言えば当然だ。

 俺達は無断で森に入った侵入者なのだから。


 渋々了承をもらったけど、エルフ側としても、原因を早く解明してなんとかしたいだろうし、調査が進んでいない状態だから猫の手も借りたい状態ってのもあったのかもしれない。


 それでも、リタとリタの両親、村長以外は俺達の事を歓迎していないようだ。

 そういう訳で俺達はリタの家にお世話になりながら調査している。

 

 だけど、この一週間、成果らしい成果は出ていない。

 くそ、こうしている間にもクレイの娘さんは……。


「本当にな、普通これだけ木に影響が出ていたら周りの木々にも影響ありそうなのに全くないとは……やっぱり世界樹の寿命とかじゃねぇのか?」


 ゼクスの言う通り、俺達世界樹の周りを徹底的に調べたけど、異常は見当たらない。


「でも、世界樹の方はエルフの方たちが寿命というのはないと言ってるし……」


 これも、セシリーの言う通り世界樹には寿命と言うものがないらしい。

 世界樹は根を通してエネルギーをもらっているので、外傷的なダメージによって倒されない限りは寿命と言うものはないらしい。


 それにしても、魔族が世界樹を倒そうとしたのを止めて良かった。


 でも、エルフが言うにはエルフの森の結界には魔族を寄せ付けない効果があるらしい。

 あれ? でも思ったらなんで俺は入れたんだ?


『それは俺が頑張ってる証拠だ』


 突如、俺の脳に声が響く。



『そうか、グラムが魔気を処理してくれているのか』


『そうだ、俺がショーマの体内の魔気のまわりに魔気から変換した魔力で覆ってごまかしてやってるんだぞ』


『それは助かる』


『いいって事よ! 俺も魔気を提供してもらってる立場だしな! それより、早くここを出ようぜ! 誤魔化しが効くとはとはいえ、闇特化の俺からしたらすごしやすくねぇ』


『分かってるって。出来るだけ早く解決する』



 そう言って俺はグラムとの会話を終え、考える。


 とはいえ、これだけ調べても考えても解決の糸口を見つける事ができない。

 何か見落としていないか?

 なにか……。



「もしかして、エルフの結界の外から世界樹に影響を与えているものがあるとか? でも、結界外からって無理がありますよね」


「セシリーそれだ!!」



 俺はセシリーの言葉にあるの可能性を考える。

 世界樹に寿命がない理由と合わせて考えれば可能性はある!



「行こう!!」


「行こうってどこにだよ!?」



 俺の唐突な言葉に、ゼクスはもっともな事を言う。


 でも、説明している時間がもったいないし、まだ確証はない。


「とりあえず確認してみたい!!」


 突如声を上げた事に驚いているセシリーに「とりあえずついて来てくれ!」と言い、俺の言葉に疑問に思っているゼクスにも視線で訴え、歩き出した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ここは……川?」


「あぁ、エルフの森に着く前に見つけたんだ」



 俺達は村長さんにエルフの森の外を調べると言って、エルフの森の外側に流れる川にやってきた。

 村を出る時に村長に「これを持っていけ」と小さな宝石のようなものを渡された。

 聞くところによると、これを持っていればエルフの結界に阻まれないらしい。

 俺達はそれを受け取り、エルフの森を出て森の外側に流れる川にやってきた。


 この川は俺がエルフの森に入る前に、となりの山から流れてきているのを見た川だ。


「でも、この川はエルフの森に入っていませんよ?」


 セシリーのいう事はもっともだが……。



「セシリー、世界樹の寿命がない理由は?」


「それは大地から……あっ、もしかして!?」


「そう、その可能性を調べたいんだ」


「分かりました! 行きましょう!」



 俺とセシリーは考えが一致し、川の上流を調べようと歩きだし……


「おいショーマ! どういう事なんだ!?」


 たが、分かってない者が一人いた。



「はぁ~、今のでピンと来ないのか。酒で脳細胞やられたんじゃねぇか?」


「うるさい! ほっとけ!! それよりどういう意味だ!? エルフの森の外、世界樹のない場所だぞ?」


「ゼクス、世界樹は何故寿命がない?」


「それは根を通してエネルギーを通して……」


「じゃあ根からエネルギーをもらうのに明確な範囲はあるか?」


「あっ!」


「あれほど大きな木だ。根はどこまであるか分からない」


「そうか、そういう事か。だから、エルフの森の外に流れる川を調べようと……」


「そういう事、行くぞ」



 これもまだ憶測の域を出ていないけど、森の中と世界樹に異変が見つからなければ外に原因があるはず。


 俺達は川に沿って上流を目指し歩き出した。


次回更新は9日(金)か10日(土)になります。

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