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予想外の同行者

「僕も行くよ!」


「うわっ! なんでアースがここにいるんだよ!? それに何がだ!?」



 俺がギルドを出ると、出た扉の横から声をかけられ、びっくりしながらそっちを見るといたのはアースだった。

 横にはばっちりミリアもいる。



「何って僕も一緒に世界樹の葉をもらいに行くって事さ」


「おまえ……」


 こいつ聞いてやがったのか。



「ギルド長さんには私もアース君もいつもお世話になってます。だから、ここ二日程元気なかったギルド長さんを心配してたんです。そしたら、さっきショーマさんがギルド長さんと話してるのを聞いて……」


「それで盗み聞きしたと」


「はぅっ! ご、ごめんなさい……」


「違うんだショーマ君、ミリアは悪くない。悪いのは僕なんだ。悪いと分かっててもギルド長の事が心配で……だから、責めるのは僕にしてくれ」


「アース君……」


「ミリア……」



 俺の事を完全に無視して二人の世界に入るアースとミリア。

 こいつらはいったい何がしたいんだ?



「おまえら二人はそうやっていちゃついてろ」


「これが普通だよ? それより――」


「はいはい! だいたいSランク冒険者のアースとAランク冒険者のミリアが二人揃って街を長い間不在にしたら、また何かあった時に困るだろ?」


「それは……」


「それにSランク冒険者は国を離れる時、許可がいるんだろ? 俺の観光はちょっとセイクピア王国から出るだけだし、そもそもSランク冒険者でもないからそんなのはいらない。でも、おまえは違うだろ? それはどうするんだ?」


「うっ……」


「分かったか? まぁちゃんと土産は手に入れられるように頑張るから大人しく待ってろ」



 俺はそう言って二人に背を向け、手をひらひらさせてその場を去り、クロとグラムを連れて行くのに宿屋へと向かった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「どうしてこうなった……」


 俺は今、セシリーとゼクスと一緒に馬車に揺られながら、世界樹の方へと向かっている。

 なぜこうなったかというと、俺がクロとグラムを連れて宿屋から出て街から出ると、後ろからセシリーとゼクスが馬車で追いかけてきたのだ。


 その理由を聞くと、「アース様から聞きましたよ! 一人でまた無茶しようとして! 私も一緒に行きます!」とセシリーに言われた。


 なんでセシリーが知ってるのかと思い聞くと、どうやらセシリーはシシリーとして街にいて俺とアースが何か話しているのを見ていたらしい。

 それで、俺が去った後に「くそ、僕がSランクのばかりにショーマ君を危険な目に……」と呟くアースに、セシリーは嫌な予感を覚え、アースに何があったか聞いたらしい。


 すると、アースはあっさりと何があったかを話し、それを聞いたセシリーは慌てて城に戻り、遠出する準備をして城を出ようとしたところ、ゼクスに止められ、そこからゼクスとの押し問答していると、フィリスさんが出てきてフィリスさんが「何事ですか?」と言った。

 そして、問われたゼクスはセシリーが荷物を持って城を出ようとした事を言ったらしい。


 それを聞いたフィリスさんはセシリーになぜか聞いたけど、セシリーは答える事なく沈黙を守ったようだ。

 すると、フィリスさんはそれ以上何も聞かず、「分かりました。行きなさい。そのかわり、ゼクスも連れて行くのです」と言ってこういう状況になったようだ。


 なぜ、フィリスさんがルークスではなく、ゼクスの護衛で許可したのかと思ったけど、おそらく、セシリーの態度から俺に付き添ってどっかに行くってのが分かったのかもしれない。

 だから、戦闘力と言うよりもフィクスさんが必要だと思ったもの、ゼクスは護衛と言うより俺への監視なのかもしれない。


 長い旅で男女二人きりなんてのは、さすがにフィクスさんも気がかりだったのだろう。

 もっとも俺はそんな勇気ないし、セシリーはそこまで気が回っていなかったと思う。



「それは、いつもショーマさんが無茶するからですよ」


「本当だ。何か聞かずに出てくれば世界樹の葉をもらいに行くって……。なんで、ルークスがいなくて、俺がセシリー様の護衛の時に限ってこうなんだよ」



 街を出た後に、セシリーが俺に説教をした事でゼクスも俺の目的を知った。

 その時のゼクスの驚きようは凄かった。


 でも、城を出る時にフィリスさんに「セシリーの好きなようにさせてあげて。責任は私が取ります。夫には私から言いますので」と言われたようで、俺が世界樹の葉を手に入れようとしているのを、セシリーは怒る事はしても行動を止める訳ではなく、渋々ゼクスもついて来ている。



「……ルークスに呼び捨てにした事言ってやろう」


「ぬおっ!? 違う! あれは会話の流れで――」


「ゼクス、いいのですよ。たまには本音を出しても」


「セシリー様まで!? 違うんです! 今のは――っ!?」



 こうして、一人で行くはずだった観光は賑やかになったのだった。



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