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騒ぎを治めるにはやっぱり……?

「準備は良いか?」


「あっ、はい」



 俺は向かい合う国王に問いかけられ、力なく言葉を返す。

 闇夜の黒騎士として呼ばれたのに、今の俺はショーマだ。

 なぜこんな事になったのかと自問自答を繰り返している。

 

「そうか、では始めようか」


 俺の向かいに立つ国王はやる気満々って感じだ。

 歳だというのに、確かに闘気を感じる。


 その横に立つ王子も若いというのに、闘気を発している。

 さすが、大陸一の王国の王と王子だ。


 というか、なぜ模擬戦で闘気を発する必要があるのか?



「父上、妹に近寄る邪なる存在は排除せねば」


「そうだな、全力で行くぞ」


「はい」


「……」


 どうやらセシリーの事が原因であるようだ。

 俺の目に映る王と王子は、もはや娘ラブの親父とシスコンの兄にしか見えない。

 

 はぁ~……王女を好きになった時点で前途多難だと思っていたけど、まさかこんな展開になるとは……。

 肝心のセシリーもさっきまではいたのに、急にどっかに出て行っていないし……。


「では、模擬戦開始!」


 と、考えている間に、審判しているゼクスが開始の言葉を発する。


「「うぉぉぉおおおおお!!」」


 そして、開始と同時に二人は俺に向かって詰め寄り、剣を振るう。

 その斬撃から確かに実力者だというのが分かる。

 でも、それは俺には通じない。


 俺は二人の間を縫うように剣を躱す。

 俺の動きに驚愕した二人だが、それも一瞬で、すぐさまタイミングをずらし俺に向かってくる。

 

 しかし、俺は剣を使う事なく、その動きを見て紙一重で躱していく。

 いくら実力があるとはいえ、ルークスほどではないし史上最強の魔王の俺の敵ではない。


 ……まぁもっとも敵ではないけど。


 二人は実力があるとはいえ、人間の域を出ていないし、二人相手だろうが問題ない。

 そもそも、ルークスに手こずったのはあいつが人間離れしているからだ。


 俺はその後も二人の剣を躱し続けた。



「まさかこれほどとは……」


「なかなかやるようだ」



 いくら剣を振るっても空を切るばかりで、いっこうに俺に攻撃が届かない二人は体力を消耗し肩で息をしているけど、止める様子はない。

 『もうやめにしましょう』って言いたいところだけど、俺が言うと逆効果な気がして何も言えない。


 どうしよう……。


「何をしているのです?」


 俺がどのようにしてこの模擬戦を終わらせようかと思っていると、女性の声が鳴り響く。

 この声はセシリーの声じゃない気がするけど……。


「あなた、何をしているのですか? それにアーセルも」


 声に振り返るとそこにはセシリーを大人……いや、表現が違うな、セシリーをよりセクシーにして大人の色気を出したドレス姿の女性がいた。

 今の言葉、そして見た目からしてセシリーの母親であり、国王の妃だろう。

 それから、アーセルという名前、セシリーのお兄さんだろうか?


 すると、その女性は国王と王子を一瞥する。


 すると、さっきまでの勢いはどこに、国王と王子は勢いをひそめ、罰が悪そうに小さくなった。


「何をしていたのです?」


 答えない二人に向かって、再度問いかけるセシリーの母親。

 そして、小さくなっている男二人。


 うーん、異世界でも女性の方が強くなっているのか……って俺も他人事じゃない。

 俺も現にセシリーの目力の前では何も言えなくなっているし。

 やはり、男性は女性に勝てないのか……。


 いや、俺は負けないようにするぞ!


「ショーマさん、すいませんでした」


 俺が目の前の光景に、男と女のあり方について考察していると、セシリーが俺の元に走って来て謝った。


「えっ、いや、俺は別に大丈夫だけど……」


 といって俺はセシリーの母親に詰め寄られ、小さくなっている男二人に目を向ける。


 あっ、怒られてる。


「大丈夫です。あれは自業自得です」


 俺と同じ方へと目を向けたセシリーが、呆れた視線を送りながら呟く。


「お父様もお兄様も急に何をするかと思えば……申し訳ありません。二人ともなにやら勘違いしてしまったようで……」


「いや、セシリーが謝る事じゃないよ。それにしても勘違いって?」


「あっ、いや、それはその……」


「それは、セシリーがあなたの事を好きだと思ったのでしょう」


「お母様!?」


 振り返ると、二人に説教を終えたセシリーの母親が立っていた。

 奥には項垂れている男二人の姿がある。


「あの二人を擁護する訳ではありませんが、セシリーはこの前、城に帰ってから部屋に籠りっぱなしでした。私も心配して、夫と一緒に何があったのか調べると、ルークスがセシリーに最後に会ったのは貴方だと言うではありませんか」


「ちょ、ちょっとお母様!? あれは――」


「分かっていますよ。でも、逆に言えばあなたがそこまで気を許せてお酒を飲める相手だというのも事実。まぁ夫と息子の行動は度が過ぎますが、どんな男性かは気になりますわ」


 そう言ってセシリーの母親は微笑むけど、俺は逆に動けない。

 ところどころに嬉しい単語があるけど、それに反応する事すら出来ない。

 どんな闘気だろうが覇気だろうが、こんな状態にはならないのに……。


「なんか……すいません……」


 俺は、やっとの事で声を振り出してそれだけ言えた。


「あらあら、謝る事はなくてよ。夫との話し合いで昔からセシリーの恋愛は自由にってなっているから。でも、健全な順序でね」


 セシリーの母親はそう言うと「この度は夫、セードルフと息子がアーセルが失礼しました。代わりに私フィリスが謝罪致します」と言って頭を下げ、呆気に取られているのと驚きといろいろ会って動けない俺をよそに「では、私たちは失礼しますね。セシリーと話して帰ってください」と言って俺とセシリーの元を去り、こっちを睨んでいた男二人を連れて部屋から出て行った。


 そして、呆然と立つ俺と顔を赤くしたセシリーが残された。


いろいろ忙しくて明日は更新できないと思います。

読んで頂いている方、すいませんm(__)m

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