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呼び出しをくらった

「よし、行くか」


 俺は今日、重大な任務の為、闇夜の黒騎士のフル装備をして宿屋の屋根に立っている。

 そして、俺は一人宿屋の屋根から屋根へと飛び移り、人目を避け目的の場所を目指す。


 そう、今日はミスは許されない。

 必要なのは勇気だけだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「来たか」


「はは! 本当にその恰好で来るとはね!」



 俺は目的の場所へとたどり着く。

 そこにはゼクスとルークスが俺を待っていた。


 そう、俺は今日城に呼び出されたのだ。


 だから、俺は一人でクロも連れず、グラムも持たずに宿屋を出たのだ。


「俺は闇夜の黒騎士だ。誰が相手でも俺の恰好は変わらん」


 俺が今日ここに来たのは国王に呼び出されたからだ。

 理由は聞いていない。

 というか教えてくれなかった。

 

「まぁいっか、ショーマ君だしね」


「ショーマではない。闇夜の黒騎士だ」


「あ~はいはい、行くよ」


 そう言って踵を返すルークスに俺はついて行く。

 その横ではゼクスがため息をついていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「よく来たな、闇夜の黒騎士」


 俺はルークスとゼクスについて行くと、王の謁見の間へと通された。

 そこは俺がいた魔王城の玉座のあった広間のような黒で統一された広間ではなく、対照的な白で統一され、煌びやかな装飾が施された広間だった。

 そして、周りには国王を守る騎士たちが並んでいる。


 俺も転生して王だとしたらこういう明るい広間が良かった。

 なんたって俺は魔王だったし本当に黒一色で気が滅入るくらいだったし。

 そして、俺を取り囲んでいたのも魔族だし、見たまんま真っ黒だったもんな。


 まぁ黒が嫌いって訳ではないけど、ものには限度があるし色にはそれに合った役割がある。

 黒は人間が住む場所には適さない。

 やっぱり白みたいな感じか木の暖色の方がいい。


 それにしても、なぜ王の後ろに隠れるようにセシリーがいるのか……そして、セシリーの横にいる男は誰だ?

 見るからには同年代だけど……あの服装からすると、もしかしてセシリーの兄弟か!?


「我に何の用だ?」


 俺は内心でショーマにもどりかけたところを闇夜の黒騎士として戻り、言葉を返す。すると、「陛下に向かって失礼な!」と周りにいた騎士が動こうとしたが、国王が手でそれを制した。


「ははは! 噂に聞いた通り面白い奴だ」


 そう言って国王は笑い、立ち上がった。


「今日呼んだのは他でもない。先日のゴブリン王とオークキングの討伐のお礼だ。本来であればショーマとして呼ぶ方が良いのかもしれないが、討伐隊では闇夜の黒騎士で依頼していたからな。……我が娘、セシリーが無理を言った事、そして我が国の若い国民の命を救ってくれた事を感謝する」


 そう言って国王は頭を下げた。

 てっきり俺はセシリーの件で怒られるか討伐の時のフライングでついに怒られるかと思っていただけに驚いた。

 またも騎士たちが「陛下! そこまでする事は!」と言っていたけど、それを国王は制する。


 なんだか思っていた国王のイメージとは違うな。

 さすがセシリーの父と言うべきか?

 ……ん? セシリーの父!? 


「いや、我は当然の事をしたまでだ」


 俺は今さらながら目の前の人物がセシリーの父、俺の脳内予定ではいずれ『娘さんをください!』という相手だと気付き、動揺したが、それを表に出さずに言葉を返す。


 今の俺が闇夜の黒騎士で良かった……。


「ははは! やはり面白い奴だ。それはそうと――」


 すると、国王はさっきまでの空気から一転、重い空気を纏わせ、真剣な目になった。

 これが一国の国王か……さすがだ。


 でも、俺も魔王。

 いったい何の話をされるか分からないけど負けられない!


 俺はそれに耐えるように気合を入れ、国王を見つめ返した。


「おまえは娘の何だ?」


 ……へっ?

 あまりに予想外の問いに俺はフリーズして、纏った眼力は一気に弱くなった。


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