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Sランク冒険者の暴走

今日、もしくは明日以降に何話か改稿しますが、誤字等の訂正のみでストーリーには影響ないものです。

なので、読んで頂いている方、そのまま読み進めて頂いて問題ありませんm(__)m

合わせて、昨日更新出来ずに申し訳ありませんでした。

今週は少し忙しいので、二~三日に一話の更新になるかもしれません(>_<)

「おっ、ちょうどええところにいましたな、ショーマさん!」


 俺がカイトの姿を呆然と見ていると、後ろから声をかけられた。

 この関西弁っぽい喋りは……。


「ヨーテルか」


 俺が振り返るとそこには依然、戦闘狼ウォー・ウルフの依頼の時に助けた商人のヨーテルがいた。


「おっ、覚えてくれてはったんでっか! 嬉しいですわ~! それでどうです? 通信イヤリングはバッチリでしたでっしゃろ? あれからお嬢さんとうまくいってまっか?」


 くっ……まさか今日ここで俺がダメージを受ける事になるとは……。


「あっ、聞いてはいかん事聞いてしもうたみたいや……。兄さん、恋は山あり谷ありや!」


 俺が即答しなかったのと、表情から読み取ったのか、そう言ってヨーテルは俺の肩を叩く。

 こいつ……いったい何しに来たんだ。


「それで商人が冒険者ギルドに何しにきたんだ?」



 このままだと、俺のダメージが蓄積されていくと思った俺は話を変えた。

 というか、本当にヨーテルがなんでここにいるのか分からない。


「あっ、そうそう! よ~聞いてくれはった!」


 ヨーテルは自分が作ってしまった気まずい空気を変えるのはここしかないと言わんばかりに大きな声で言った。

 そのせいでギルド内の視線が集まる。


「実は依頼を出そうと思ってましてなぁ~、それでここに来たんですわ。そしたらショーマさんがおったって訳です。そうそう! これも何かのご縁って事でショーマさんに指名依頼してもいいですか?」


 ヨーテルは一人喋り、最後には商人の交渉のような口調に変わった。

 相変わらず曲者だな。

 ルークスといい勝負できるんじゃないか?


「いや、指名依頼するのは勝手だけど、受けるかどうかは分からないぞ? だって内容も何も聞いてないし」


 そもそも俺はあんまり受ける気はしない。

 ヨーテルと関わるとなんとなくうまく使われそうだからだ。

 それに、こいつは口もうまいし人の心読むからな。


「あぁ、そうでしたなぁ~」


 そう言ってヨーテルは俺の耳に顔を近づけて言葉を続ける。


「実は、とある貴族の方から惚れ薬の要望がありましてな、これがその惚れ薬の材料にまたサラマンダーのしっぽが必要なんですわ。サラマンダーと言えばBランク。普通の冒険者では無理でっさかいにどうしようかと思って、ショーマさんを探してたんですわ」


 惚れ薬……なんて眉唾な。

 でも、異世界のファンタジーの世界って事は効果あるのか……?


 それにしてもサラマンダーのしっぽって、サラマンダーをとかげ扱いかい!


「でも、なんで俺を探してたんだ?」


「そりゃだって、ショーマさんBランクに上がらはりましたやろ? やし、ショーマさんに依頼しようかと。知らん相手より知っている相手。それにショーマさんは最速でBランクに上がった実力者ですし、信頼も出来るし今のうちから贔屓にしてもらおうと思って」


 ヨーテルは何とも『悪い笑み』としか言えないような笑顔で俺に言って来る。

 それにしてもさすが商人、情報が早い。


「そうそう、ショーマさん。なんやったら報酬に上乗せで少しサラマンダーのしっぽもわけまっせ?」


 呆気に取られていた俺にヨーテルはまたも悪い囁きのように小声で俺に言って来る。

 いやいや、俺はそういうの使ってセシリーとの関係を進めたい訳じゃ――。



「よし、ショーマその依頼受けよう」


「わっ!」


 

 いつの間にか俺の横にカイトが来ていた。

 こいついつの間に……さすがSランク冒険者ってのは伊達じゃないな。

 ……ってこいつ、こんなとこでSランク冒険者の力見せつけても仕方ないだろうに。



「おいおいカイト、急にどうしたんだ!?」


「何言っているんだショーマ。冒険者として困っている依頼主を助けるのは当然だろ?」



 なんだこいつ?

 目がきらきらしてやがる……。



「いや~そら嬉しいですわ! でも、わてはSランク冒険者様に依頼するお金なんてあらしませんし、残念ですが――」


「大丈夫だ。俺はショーマの付き添いで行くだけだし、依頼料はいらない。手伝うだけだ」


 カイトの奴、急にどうしたん――あっ! まさかカイトの奴、自分で話しかけられないからって惚れ薬に頼ろうとかしてるんじゃないだろうな!?


「おいカイト! おまえまさか――」


「ショーマ、戦いには手段を選んではいけない時がある」


「……」


 ダメだこいつ。

 さっきのでテンパって完全に自分を見失ってやがる。


「Sランク冒険者様はそう言ってはりますけど、ショーマさんは受けてくれはるでっか?」


 こいつ……さてはカイトの行動見て、カイトがネリーさんを好きなの知ってこの展開に持って行きやがったな?

 くそ! やられた!


「はぁ~受けるって。でも俺はサラマンダーのしっぽいらないからな!」


 闇落ちしたカイトをほっとく訳にもいかないし、ヨーテルに付け込まれる隙を作った俺にも責任があるしな。

 それに親友のカイトを悪の手の染めさせたくない。


 こうして俺は依頼を受ける事になった。


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