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意味が違う後の祭り?

「皆の者ご苦労だった!! 今回の作戦は――」


 朝に集まった広場にみんな集まり、クレイがみんなに声をかけている。

 リリとララを助けてセシリー達と合流した時は詳しい話を聞けなかったけど、ゴブリンの方もゴブリン王はカイトが倒し、他のゴブリン達も他の冒険者が漏れなく討伐できたようだ。


 もっともオーク達を討伐するはずだった冒険者は、俺がオークキングを倒した後に集落へ着いたらしいけど、俺がリリとララと話している間に周囲の様子を見て悟り、三分の一を周辺の見回り、残りをゴブリンの方へと向かわせたようで、俺がオークの方を一人で討伐した為、多くの人員をゴブリンの方へ投入でき、短時間で討伐できたようだ。


 ちなみに、オークキングの持っていた魔剣は俺が折ってしばらくすると、何か分解されるように消え去ってしまった。

 その話をすると、カイトの方のゴブリン王も魔剣の類を持っていたらしいけど、カイトの月花には通じず、折れたらしい。


 すると、その魔剣は同じように消えたそうだ。


 この件については、ギルドと国の方で引き続き調べるらしい。

 それにしても、カイトの月花とグラムはやっぱり性能が違うのか?

 まぁグラムはいろいろ違うところがあるけど。


 それにしても帰りの馬車の中が大変だった。

 俺は他の冒険者と同じ馬車に乗ろうとしたところ、セシリーに呼び止められセシリーと二人っきりで馬車に乗る羽目になったのだ。


 俺は「いや、我は雇われだ。王女と一緒には乗れない」と逃げようとしたけど、「闇夜の黒騎士さんは私の騎士ですよね? だったら近くで守って頂かないと」と笑顔で返され、俺はルークスやカイトに助けを求める視線を送ったけど、カイトには首を振られ、ルークスには顔を背けられ詰んでしまった。


 そして、帰りの馬車で俺は延々とセシリーから説教を受けた。


「一人で危ないのに無茶しないでください!」

「なぜ通信イヤリングのスイッチを切るんですか!?」

「いったいどれだけ……聞いてます!?」


 俺は延々、ほぼ一方的に説教された。

 ちなみに、クロはその時からずっと俺の肩の上で寝ている。


 それで最後に「分かりましたか!?」って言われ、俺は「分かったが、我は人の命を救う為ならば、そしてセシリーの願いを、セシリーの為ならばどんなに危険でも、どんな罰を受ける事になってもやるだろう」と恥ずかしげもなく言ってしまった。


 すると、セシリーは怒ったのか顔を赤くして背けられてしまった。

 恥ずかしい事まで言ったあげくに怒られるとは……俺は今、この仮面を外すのが猛烈に怖い。

 


「――感謝する。一人暴走した者もいたが」



 そう言ってクレイは俺に視線を送ってくる。

 それに合わせて他の冒険者も視線を送ってきたけど、そこには悪意のあるものはほとんどない。


 なぜなら、俺は報酬の再分配を断ったからだ。


 一人で倒した事によって報酬の上乗せと他の冒険者の役割から報酬の再分配の話も出たけど、俺はそれを断った。

 俺はとりあえず生活するお金があればいいし、武器ももう困る事もない。


 それよりも、闇夜の黒騎士の印象が悪くなるとリリとララがまた何か無茶したりしそうな気がしたからだ。

 俺が再分配を断った事で、ゴブリンだけを多くの冒険者で対応しただけで、多くの報酬を得られたので冒険者にとっては嬉しかったようだ。


 あとは、俺が一人でオークを壊滅させた事によって、闇夜の黒騎士を恐れている冒険者が畏敬の視線を送ってきている。

 まぁ、これは望んだ結果じゃないけど、



「結果的にゴブリン王とオークキングは討伐され、脅威は去った! 今夜はセイクピア王国主催で祭りを行われる!! みな楽しみにするように!!」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「美味しいか、クロ」


「キュウ!」


 俺とクロは祭りが行われている街中で、屋台で買った肉の串焼きを食べている。

 街は夜だというのに明かりや松明で明るく、人も多くてにぎやかだ。

 屋台も食べ物からお酒など、いろんなものが出ていて活気がある。

 天気も空には星が出ていて、祭りとしてすべてが完璧だ。


 ちなみにグラムは宿屋に置いて来た。

 人が多いところで剣を背負って歩くのは邪魔だからだ。


 それにしても祭りとは……。


「まぁ祭りは俺も好きだけどな」


 最初は『なぜ祭り?』って思ったけど、前代未聞のオークキング、ゴブリン王の同時発生を無事乗り切ったからという事だ。


 前世では祭りになると、よく友達と出かけたものだ。

 小さい時も両親と出かけて、リンゴ飴とか買ってもらったりして祭りは楽しい記憶として残っている。



「キュウ?」


「いや、なんでもない。次食べるもの探そうか」


「キュウ!」



 俺の様子を見て、心配しそうに鳴いたクロに言って、立ち上がった。


 すると、立ち上がった瞬間、後ろから肩を叩かれた。


「セシリー……」


 振り返ると、そこにはセシリーがいた。


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