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任務完了!

「ブモォォオオオ!!」


 グラムの変形に驚いていたオークキングだが、俺が駆け出すと同時に我に返り、俺を迎え撃つために魔剣である大剣を振るう。


「うぉぉぉおおおおお!!」


 俺もそれに対抗するかのように大剣に変形したグラムを振るう。

 大剣に変形して重くなったかと思ったかと思ったけど、その剣は重さを感じないほど軽かった。


 もしかしたらグラムが言ってたシンクロした効果なのかもしれない。


 そして、俺のグラムとオークキングの魔剣が肉薄し……


「ブモッ!?」


 さっきまでは防がれていたグラムは魔剣を折り、そしてそのまま驚いていたオークキングへと届き、その巨大な体を両断した。



『やったな、ショーマ』


『あぁ、でもこの威力はビックリだ』


『まぁグラム様にかかればこんなもんよ! そこらの魔剣とは違うぜ!』



 最初、オークキングの持つ魔剣に防がれたのが悔しかったのか、グラムは喜んでいる。


 そして、俺の目の前には一撃で両断されたオークキングの死体から血が流れている。

 その断面はすごく滑らかで、血は飛び散るのではなく、紙で手を切った時みたいに滲むように出ていた。

 それだけの切れ味だったのだろう、変形したグラムは切れ味に加え、斬撃の重さも加わりすごい破壊力だ。



『なぁグラム、おまえってどれだけ変形するんだ?』


『ん? あぁそれか。俺は魔気の量、シンクロ率に合わせて三段階だな』



 三段階か……。

 一段階でこの威力……恐ろしいものだ。



『でも、段階を上げる毎にショーマへの体への負担もかかる』



 確かに魔気を使って初めてちょっと疲れたと思ったしな。



『それに俺も初めての解放だったしな!』


『なっ!?』


『うまくいって良かったぜ!!』


『おまえなぁぁあああ!!』



 俺はグラムの変形はカッコいいと思ったけど、余程のことがない限り使わないでおこうと思った。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 あれから俺は闇夜の黒騎士へと戻り、リリとララとクロと合流した。

 幸いな事に二人とも怪我もなく、俺が戦っている間にオークに襲われるといった事もなかった。


 ただ、オークではなく、違った魔物が二人に近づこうとしたみたいだったけど、それに気付いたクロが二人に近づく前に離れたところでドラゴンブレスで倒していた。

 まだ小さいとはいえ、この辺の魔物ではクロの相手でないようだ。


「闇夜の黒騎士さん、ありがとう!」


 二人も元に行くとリリは俺の方を見てそう言ってくる。


「……ありがとう」


 ララも少し間を置いて俺へとお礼を言う。

 その姿は少し驚いたような感じだけど、まぁ無理はない。

 オークに囲まれてたところを俺一人で片づけたんだからな。

 きっと少し怯えているんだろう。


「二人とも遅くなって悪かった」


 そう言って俺は二人の頭を撫でる。

 ここは怒るところかもしれないけど、今は二人に落ち着いてもらう方が大事だし、怒る役目はマリアさんだろう。

 今はただ怖い思いをしたのを拭い去ってもらいたい。


 俺がそうやって頭撫でていると、今まで我慢していたのが決壊したのかリリが大声で泣き出した。


「闇夜の黒騎士さん、こわがっだぁ~!」


 泣きじゃくるリリの横では、少し声ながらララも泣いている。


 俺はそんな二人をそっと抱きしめた。



 そうこうしていると、山の反対側の方で煙が上がりだした。

 どうやら、あっちも始まったようだ。


 俺が全速でこっちに向かったのにもう着いているとは……セシリーはすぐに対応してくれたようだ。

 この調子ならきっとゴブリンの方も大丈夫だろう。


「さぁ二人とも帰るぞ」


 俺がそう言うと二人は一瞬顔を強張らせたけど頷いた。安心した次は怒られるという現実がみえたのかもしれない。


 リリ、ララ……大丈夫だ、きっと俺も怒られる。


 俺はそんな内心の不安を押し隠すように、闇夜の黒騎士となりきって、リリとララを連れて本来この討伐の拠点にするはずだった場所へと戻る事にした。




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