オークキングが持つ剣
「ブモォォォオオオ!!」
『おまえらじゃ相手にならねぇぜ!』
俺は後ろにリリとララ達を置きながら、向かってくるオーク達をダーク・アローやグラムによって倒していく。
逃げていくかとも思ったけど、オーク達は逃げる事をせずに俺に立ち向かって来る。
どうやらオークキングが命令しているようだ。
オークキングが叫ぶ毎に弱気になったオーク達は気力を振り絞りこちらに向かって来る。
その命令を出しているオーク・キングはというと、さっきの場所から動かずに指示だけだしていて、どうやら自分の体力は温存して部下を使って俺を疲れさそうとしているみたいだ。
でも、俺にとってはそっちの方が都合がいい。
逃げられると当初の今回の作戦の目標を達成出来なくなる。
オーク達が統率なし山に逃げて行ってそこで居ついた場合、また通り行く人が被害に遭うだろうし、また繁殖して数を増やしたりしかねない。
それを防ぐためには、ここでこいつらを殲滅しなければいけない。
今回はその為の作戦だったのだ。
リリとララを助ける為にその他に犠牲が出るとなってはいけない。
それに闇夜の黒騎士として依頼を受けたからには完璧に任務を遂行しなくてはな。
「ふっ、我を倒したければ全員来い」
俺は指をクイクイとオーク達を挑発するようにして言う。
「ブモォォォォオオオオオ!!」
俺の挑発が通じたのか、それともこのままでは埒があかないと思ったのかは分からないが、オークキングは大声を上げる。
すると、その声を聞いたオーク達は一斉に叫びながら俺に向かってきた。
『おうおう、雑魚が大勢押し寄せてきやがるな』
『まぁその方が俺にとっては都合が良いからな。さて、魔法で一掃するか』
俺はグラムに言葉を返すとダークアローを放つ。
「ブモッツ!?」
「ブモォ……」
俺の放った魔法は容赦なくオーク達の数を削って行く。
そして、ついには立っているオークはオークキングのみとなった。
オークキングはさっきまでと違い、静かにこちらを見据えている。
俺の事を戦うのに油断ならない相手だと思ったのかもしれない。
そして、しばらくオークキングと俺は動かずにお互いを見ていた。
「ブモォォォォオオオオオ!!!!」
すると、業を煮やしたのかオークキングが叫びながら俺の方へ手にした大剣を振りかざして向かって来る。
俺はそれをグラムで迎撃しようとして……「なに!?」『なに!?』俺とグラムの声がシンクロする。
月花と同じく、なんでも切れる魔剣グラムをオークキングの大剣は受け止めた。
その光景に俺とグラムは驚愕しオークキングと距離を取る。
『おい、グラム! どうなってんだ!?』
俺の魔気を力に変え、なんでも切れるという魔剣グラムがオークキングの持つ大剣を切る事が出来なかった。
俺の問いかけにグラムは口を開かない。
『おい、グラム――っ!?』
「ブモォッ!」
俺がグラムに問いかけている間にもオークキングは俺の方へと攻撃をしかけてくる。
俺はそれを躱して距離を取った。
別にグラムが通用しなくても魔法を使えばどうにでもなると思う。
けど、問題は魔剣グラムに対抗できる剣をオークキングが持っているという事だ。あの剣はいったい……?
そしてなぜオークキングがそんな剣を持っているのか?
『ショーマ、もう一度あの大剣を剣を交えてくれ』
剣を交える?
何か感じた事があったのか?
『あぁ、分かった』
俺はとりあえずグラムの言う通りにしてみる事にした。
「ブモォッ!」
再度、俺に向かって大剣を振るってくるオークキングに対して俺はグラムで対抗する。
本来であればオークキングの攻撃を受け止めるなんてのは生身の人間では難しいだろう。
それこそカイトとか高ランクの冒険者でちゃんとした装備や技術、力がないと無理だと思う。
特に今の俺みたいに攻撃を流したりせず、受けるのは力と装備がちゃんとないとできない。
でも、俺は魔王だ。
オークキングの力くらい問題ない。
「ブモッ!?」
俺はしばらく剣を交えた後にオークキングのを押し飛ばすようにして弾き飛ばす。
『おいグラム、何か分かったのか?』
『……あの剣は魔剣だ』




