どうやら剣には秘密があるようです
今日は少し短いです。
すいません。
「さて、帰ろうかカイト」
「うわっ!? いつの間に目の前に来たんだ!?」
俺とグラムとの契約はすぐに終わった。
俺が魔気を出しそれをグラムが吸収する。
それを行ってしばらくするとグラムの刀身の周りに赤黒く光り、その光は俺を包んだ後収束した。
グラム曰くそれで契約終了らしい。
そして、契約を終了させてから俺とグラムは改めて名を名乗った。
と、いうか俺は契約してから初めて名を名乗ったけど。
契約する者の名前も聞かずに契約するグラムは大丈夫かと思ったけど、契約したものはしょうがない。
とりあえず、俺ははグラムと呼ぶことにし、グラムは俺の事をショーマと呼ぶ事になった。
そして、契約が終わると、グラムが契約の為に用いた空間は崩れ時が戻った。
「そんな小さい事するなって、ほら行くぞ」
その時にうっかり元いた場所じゃなく、帰ろうとカイトの近くに寄っていた俺は内心で『しまった』と思いながらも、勢いで流して帰ろうとした。
「いや、さすがにちょっと待て」
が、どうやらそうはいかないようだ。
カイトが俺の首根っこを掴む。
「いやいや、早く帰って報告しないといけないだろ?」
「それはそうだが、まずここで確認しておかないといけない事がある。……体に異常はないのか?」
カイトは俺の知っているカイトではなく真剣で射抜くような目つきで俺の事を見てくる。これがSランク冒険者か……。
「そんなに睨むなって。大丈夫だよ。ほら」
そう言って俺は腕を回す。
「……何があった?」
しかし、カイトの目は依然鋭いままだ。これはちゃんと話さないと駄目か。
「実は剣を抜いた瞬間に時間が止まってな。その時に剣に話しかけられてな、『よくぞ我を見つけた。これからは我はおまえのものだ』とか言って声は消えて時も動き出したんだ」
「それで時間が動く前にカイトの近くに来てたって訳」と俺は魔剣グラムの人格とか契約とかの話は伏せて、ある程度の事を話した。
俺の話を聞いてカイトは「剣が語りかける……」と呟いていた。
「本当に大丈夫なんだな、ショーマ?」
「あぁ、本当だ」
そう言って俺とカイトの視線が交差したまましばらくお互いを見ていた。
「……そうか、ならいい。とりあえず帰って報告しよう」
「了解」
なんとかカイトも納得して俺とカイトは遺跡を後にしてギルドに報告しに帰ることにした。
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「ったく、俺の仕事増やしやがって」
「仕事だろ、クレイ。さぁ早く終わらせてくれ」
遺跡を抜け出しギルドへ戻ると、当然ネリーさん達の休憩時間が終わっていたのでネリーさんに報告しようとしたけど、カイトがまずグラムの話をすると、「ギルド長を呼びますのでしばらくお待ちください」と言われ、ネリーさんが戻ってくるなり、会議室へと案内されクレイとの対面になった。
そして、カイトに説明したように人格と契約の話を伏せた説明をした。
「クレイ殿、この剣は自分の持つ月花と同じようなものだと考えるのだが……」
突如、カイトが口を開く。
月花と同じ?
どういう事だ?
「あぁ、もしかするとそうかもしれないな」
「いやいや、二人で話してないで俺にも分かるように話してくれ」
「あぁ、まぁいいか。本来は機密の話だがおまえも無関係じゃないみたいだしな」
そう言ってクレイは頭を掻きながら、めんどくさい事になったと言わんばかりに話し出した。




