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宿敵との戦い

「こうやって戦うのは初めてだね!」


「……あぁ」



 俺とアースは冒険者ギルドの裏にある訓練場で木刀を構えて向かい合っている。

 周りには俺とアースが戦うってので、どこからどう話が広がったのか知らないけど、たくさんの冒険者や一般人が見ている。

 まぁ、アースの声が大きかったから、ここに来るまでに俺達の周りにいた人たちが話を広げたんだろうけど。

 よくも悪くも俺は今、三ヵ国のSランク冒険者になるって事で注目を集めているし、アースもこの国のSランク冒険者だ。

 Sランク冒険者同士の戦いなんて早々見られるもんじゃないし、こうなっても仕方ない。


 でも、俺は決して自ら望んでアースと模擬戦するわけではない。


 アースが俺と戦いたいと言った時、もちろん俺はそれをめんどくさいと断ったのだが、それをアースが許すわけがなかった。

 

 いろいろ理由をつけて、グラムを持ってきていない、ご飯をまだ食べていない、めんどくさい、って言って断ろうとしたけど、


「大丈夫! そんな真剣で勝負じゃなくて、木刀で良いから! ……あっ、エクスカリバーって人を切れないから真剣じゃないっけ?」


「いやいや! そういう問題じゃなくて!! とりあえず俺は今ご飯を食べに行くところだ!!」


「じゃあ、いつなら大丈夫? それか毎日聞きに来たらいいかな?」


 と、いつものようにいろいろツッコミどころのある答えが返ってきた、最終的には俺が根負けした。

 というか、毎日会いたくないし。


 そうして、結局バカップルと一緒にご飯を食べて、こうやって木刀を構えて向き合うという事になったのだ。



「じゃあ手加減なしで全力でね」


「分かってるよ。俺だってお前に負けたくない」



 なんとなくアースにだけは負けたくない俺がいる。


「僕だって負けないよ! じゃあミリアお願い!」


 そう言ってアースはミリアの視線を送るとミリアは無言で頷いた。


「じゃあいきますよ! よーい……はじめ!!」


 ミリアの掛け声で模擬戦開始となったが、俺もアースも木刀を構えたまま、全く動かない。

 その光景に一部の人がブーブー言っているが、高ランク冒険者だと思われる人ほど静かに見守っている。

 

 今、俺とアースが動いていないように見えていろいろ探りあっているのが分かっているのだろう。


 実際に、俺とアースは今、小さな予備動作で駆け引きを行っている。

 そして、その動きから次の動きを予測し、それに対応すように動こうとすると、アースも俺の動きに合わせて動きを変える。

 それを見た俺はまた動きを変え、アースがまた動きを変える……といった駆け引きが続いていた。


 アースは普段、抜けている奴だから、戦闘に関しても感覚でやっているのだろうと思っていたけど、どうやら相手の動きもしっかりと見ているようだ。



「……隙がないね」


「……おまえもな」


「でも、このままじゃ埒があかないから……行くよ!!」



 そう言うと同時に瞬時にアースが距離を詰め、木刀を振るう。


「くっ……さすがだな」


 俺はそれを剣で受け止めた。

 アースのスピードは前にルークスと戦った時と同じような感じで人間離れしたスピードだ。

 さすがSランク冒険者と言ったところか。


 でも、俺も人間の街へ出てからいろんな騒動に巻き込まれて経験を積んだ。

 だから、魔気を使わなくても十分に対応できる。


「それはこっちのセリフだよ、つい最近まで無名だったのが信じられないよ。でも、負けないからね!」


 アースはそう言って鍔迫り合いの最中に声をかけてきたかと思うと、押した反動で後方へ下がって距離を取った。


「行くよ!」


「あぁ、俺も負けない!!」


 そして、次の瞬間俺とアースは同時に地面を蹴って木刀を振るう。

 お互いに互いの攻撃を防ぎながら、カウンターを仕掛けるが、決まらない。

 そんな攻防を繰り返す。

 すると、周りから「すげぇ……」という声が漏れてくる。


 嫌々ながらアースとの模擬戦を受けた俺だが、今この時は戦って良かったと思っていた。

 それは魔気を使っていないとはいえ、全力で戦う事が出来るのが楽しい。

 ルークスとの時は人間のところへ出てきたばかりでいろいろ気を使っていたけど、今は俺はもうSランク冒険者になろうとしている。

 さらに、今までいろんな事件を解決しただけあって、もう俺が強くても変に思う人はいない。


 魔物と違って、人相手でこれだけ全力で戦えるのは初めてだ。

 それが少しうれしく、自然と笑みが零れる。


「この状況で笑えるなんてさすがだね」


「そういうおまえこそな」


 そう言うアースも俺と同じように笑みを漏らしていた。

 アースも戦いに関してはそういうところがあるのだろう。


 そうして俺とアースはまた剣を振るう。

 しかし、どちらも相手に一撃を入れる事が出来ずに時間が過ぎる。


 すると、どちらともなくお互いに距離を取った。



「ショーマ君、次で決めるよ」


「あぁ、俺もそう思っていたところだ」



 俺とアースはそう言葉を交わすと同時に動いた。


久しぶりに書いたので、指摘等あればお願いします!

また、評価・感想等励みになりますので、是非よろしくお願いしますm(_ _)m

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