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次期竜王候補の戦い

「っ!?」


 竜王の候補を決めるだって!?


『我ハ我ガ息子達二平等二機会ヲ与エタイ』


 俺が突然の展開に驚いていると、竜王が言葉を繋ぐ。


「いや、おまえだって竜王になりたくなかったんだろ!? それを息子にも強いるのか!?」


『……言イタイ事ハ分カッテイル。モチロン息子ガ望ムナラ……ダ』


 そこから少し話を聞くと、どうやら話を聞くと向こうの子供は竜王になりたいと望んでいるようだ。

 でも、自分の息子が現れたとあっては平等に扱いたいとの事らしい。


 竜王のいう事は分かるけど……。


「キュウ」


 どうしたものかと考えていると、クロが何かを訴えるように鳴き、俺の周りを飛ぶ。

 どうしたんだ?


 ……もしかして?


「……もしかしてクロは竜王になりたいのか?」


「キュウ!」


 すると、クロは迷う事無く返事をする。

 クロ……そうか、やっぱドラゴンとして生まれたからには同じドラゴンの中で生きる方が良いよな……。


「……分かった」


 俺はクロが手から離れて行く悲しさを感じ、込み上げてくるものを堪えながら言葉を返すと、竜王に向き直った。


「クロは竜王になるのを望むみたいだ。だから、その話を進めてくれ」


 俺がそういうとクロも竜王の元へと飛んで行き、何かを話す。

 そして、その話が終わると竜王は俺の方へと向いた。


『分カッタ。デハ、今カラ後継者ヲ決メル戦イヲ行ウ』



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 竜王の言葉によって、後継者を決める戦いが行われることになり、その為、俺とカイトはスタジアムのようなところの観客席、竜王の隣へと移動を求められた。

 そして、クロともう一頭の竜王候補のドラゴンが部隊の中央に位置取っている。


 相手の方はクロより後に生まれたのか、クロより少し小さい気もするけど、竜気のようなものだろうか?

 小ささを感じさせない覇気を感じさせる。


 対するクロも今までになく真剣で戦う意思を感じさせる。


 俺はその光景を見ながら、少し嬉しくもあるような悲しくもあるような気持ちでそれを見つめる。



「ショーマ、大丈夫か?」


 そんな俺を見て何か心配したのかカイトが声をかけてくる。


「……あぁ、大丈夫だ。子供が立派に育って独り立ちしようとしてる姿が嬉しいだけだ」


 俺はカイトに弱いところを見せないように言葉を返す。


 すると、カイトは気を使ってくれたのか、「まだ、子供もできてないのにな」と、カイトらしくもない冗談を言って場を和まそうとしてくれた。

  俺はそれに感謝しながらも「キスまでいったからって調子乗るなよ」と返して、その後、少しカイトといつものようにやりとりをして、舞台に視線を戻した。


『デハ、今ヨリ、後継者ヲ決メル戦イヲ開始スル!』


 竜王が俺達に分かるように話しかけてくれながら、大きな咆哮を上げると、クロ達が動き出した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「キュウ!」


「キュー!」


 戦いが始まると、クロと相手はは同時に宙へと舞い、ドラゴンブレスを放つ。

 その威力はほぼ互角でブレスがぶつかった地点では炎が立ち上る。


 しかし、ブレスの威力としてはクロの方が高いのか、炎は徐々に相手へと迫る。

 それを受けた相手はこのままではマズイと思ったのか、その場から離脱し、上空へと上がった。


「キュウ!」


 それを見たクロは追撃しようと、追いかけるが、「キュー!」それを見た瞬間に相手は隙が出来たとばかりに、ブレスを吐く。

 クロはそれを横に方向転換する事で、炎を避けた。


「クロ!!」


 俺は思わずに叫ぶ。

 それはクロが咄嗟に避けて体制を崩したところに相手が突っ込んで来たからだ。

 そして、勢いそのままに体当たりした。

 

「キュッ!?」


 クロはそれを避ける事は出来ずに正面から喰らって吹き飛ばされる。

 その隙を見逃さないとばかりに相手はスピードを上げ、クロへと詰め寄る。

 ブレスでは分が悪いと思ったのか、躱される可能性があると思ったのか、接近戦に持ち込むようだ。


 竜気、そう呼ぶものかどうか分からないが、クロにはない覇気が相手にはあり、それに伴ってスピードが上がっている。

 竜王の息子として英才教育を受けていたのか分からないが、俺の魔気のようなものを纏っているのだろう。

 そして、そのアドバンテージを生かして戦おうとしているようだ。


 そして、接近戦になり、一方的にクロが攻撃を受ける状態となっている。


「おいショーマ、まずくないか?」


 その光景を見てカイトが声をかけてくる。

 確かにスピードに翻弄され、避ける事もままならず、攻撃が出来ない状態では勝ち目はない。

 ここは育ての親として、竜王に言って止めてもらった方が良いのか……。



「キュウ!!」


「キュッ!?」



 そう悩んでいると、相手のスピードに慣れたのか、クロがカウンターとまでは行かないまでも爪で反撃し相打ちを入れる。


「クロ……」


 俺は思わず声を漏らした。

 そう、クロの目は諦めていなかったのだ。


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