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特別番外編 〜節分〜

本編には関係のない番外編です。

いろいろ思うところがあるかもしれませんが、読んでもらえたら嬉しいですm(_ _)m

「さて、はりきって鬼退治に行こう!!」


「……」


 ……どうしてこうなった?

 俺は元気に張り切っているアースを眺めて呆然とする。


 事の発端は昨日だ。

 昨日、いつものようにアースとミリアが俺の前に現れ、「明日は節分だから豆撒きしよう!」と言ってきた。

 それを聞いた俺はこの異世界でも節分、豆撒きがあるのかと思い、少し感動した。

 そして、どうせ断っても無理矢理参加させられるだろうし、無駄な労力を使う前に、節分とか豆撒きとか懐かしいから参加する事にしたのだが……。



「毎年この時期に鬼が出現するのは不思議だな」


「そうですね、でも鬼は人々に災いをもたらしますからほっておけませんし、いつも皆さんが退治して下さるおかげで平和が保たれています」


 どうやらこの世界では節分に鬼が出現し、悪さをするらしい。

 鬼の力は強大(と言ってもSランク冒険者の力には及ばないらしいが)で、昔は軍隊や冒険者が集まって退治していたらしい。

 だが、最近はSランク冒険者に退治を任されているらしい。

 それでアースは俺やセシリー、カイトやカレンをさもイベントに誘うかのに誘ったようだ。


 昔、鬼との対話を望んだ事があったらしいが、鬼は言葉が通じず、ただ人々を襲う為に出現するので、魔物と同じ討伐対象であるらしい。


 ……本当、いろいろ思う事がある。


「本当なぜ現れるのか……せっかく今日はネリーの休みの日なのに」


 ……こいつはもうほっておこう。


「行くよ!」


 もう何が何だか分からないけど、俺は流れに身を任せてついてく事にした。


◆◇◆◇◆◇◆◇


「……そろそろ来るよ!!」


 俺達が向かったのは、鬼が毎年出現するという邪気が集まるスポットだ。

 毎年決まってここに鬼が出現するらしい。


「グォォオオオオオ!!」


 すると、空にぽっかり穴が空いてそこから巨大な赤鬼が出現した。

 それはまさに日本に語り継がれている鬼そのものだ。


「みんな行くよ!! せ〜の!!」


「「「鬼は〜外!!」」」


 鬼が出現したと同時に準備していた豆を一斉に鬼の目に向けて投げつける。

 投げるのがSランク冒険者、そしてルークスの訓練を受けたセシリーとあって寸分の違いなく……


「グッ、グオッ!?」


 鬼の目に直撃し、鬼は出現と同時に混乱し、ダメージを受ける。

 ちなみに、鬼の目に向かって投げられた豆は光属性の魔法が付与されている。


 その昔、鬼が悪さをした時、鬼を退治するのに苦戦した。その時、光属性の魔法使いが収穫された豆に魔法を付与し、みんなで一斉に投げつけ、それが目に当たり怯んだところに一斉攻撃という形で退治できたという話があり、それに習い、この方法が取られている。もちろん、俺達はそんな事する必要はないのが、慣習という事でこのような形になっているらしい。

 ちなみに穀物には大地の力を得て、邪気を払う力ぎ宿ると言われ、豆が使われたのと、魔を滅するという語呂合わせで縁起を担いだとも言われているらしい。

 何か日本に伝わる節分と似ているところはあるが、思うところが多い。


「ほら、ショーマ君も!」


「お、おう、鬼は〜外」


 俺は少し鬼に同情しながら控えめに豆を投げる。


「そろそろ行くよ!!」


 そして、鬼は出現してからあっという間に討伐された。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「今日はお疲れ様!」


 あっという間に鬼を討伐した俺達はギルドに報告し、お疲れ様会と称してテーブルを囲んでいる。

 そして、アースが口を開いたのだが、何だか今日はしっくり来ない。

 

「じゃあ食べよう!」


 そして、俺達は目の前にある巻き寿司に手を伸ばし無言で食べ出す。

 この異世界に巻き寿司文化まであるとは……


「ショーマ君、ショーマ君!」


 すると、アースが声をかけてくる。

 しかし、俺は食べ終わるまで無言でじゃないといけないので、無視するが……


「ショーマ君!!」


「何なんだ!?」


 あまりにしつこいので、俺は声出す。


「あっ、声出した」


「声出したっておまえもだろ!?」


「僕たちはよう食べたよ?」


「えっ?」


 ふと、見るとみんな食べ終わっている。

 いつの間に……?


「まぁ後でもう一本黙って食べたら大丈夫だから、豆撒きするよ! ほら、ショーマ君が鬼役ね、行くよ! せ〜の!」


「「「鬼は〜外!!」」」


 すると、アース、ミリア、カイト、カレン、そしてセシリーまでもが俺の目に目掛けてどこから取り出したのか、豆を投げつけてくる。


「イテテッ!! やめてくれぇ〜!!」


◆◇◆◇◆◇


「イテテッ!! やめてくれぇ〜!! ……って夢?」


 目が痛いと思いながら起き上がると、そこはいつもの宿屋だった。


「キュウ!」


「……クロ?」


 状況から察するにクロが俺の目をつついていたらしい。

 でも、なんで??


「キュウ!!」


 すると、クロは窓際を飛び何かを訴える。


「……あっ!」


 窓を見ると、太陽は高く昇っている。

 きっと昼を過ぎているだろう。

 クロは朝と昼ご飯がまだで、お腹が空いたから俺を起こそうとしたのだろう。


「そうだ、昨日は依頼をたくさんこなして疲れたところにカイト達に飲みに誘われて……」


 飲んで騒いだのと、疲れが溜まって爆睡したみたいだ。


「よし、飯食いに行くか」


「キュウ!」


 俺は準備してご飯を食べに行く事にした。


◇◆◇◆◇◆


「さて、何食べようか」


「キュウ!」


 俺とクロは宿屋を出て外を歩いている。


「ショーマ君!」


 すると、いつもの声が聞こえ、振り返るとそこにはアースとミリアがいた。


「明日は節分だから豆撒きをしよう!」

 

「っ!?」


 俺はアースの言葉に、夢の光景が思い浮かび戦慄した。

 この異世界の節分とはいったいどんなものなのか……?

 

番外編、大丈夫でしたでしょうか??

良ければ、感想、ブクマ、評価頂けたら励みになりますm(_ _)m

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