表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/133

ついに竜の巣へ

「ここから先が竜の巣だ。気を付けろよ、ショーマ」


 街を出てから三日、俺とカイトは竜の巣と呼ばわれる場所へとたどり着いた。

 本来、馬車とかであればもっと時間がかかるけど、Sランク冒険者のカイトと俺の二人という事で飛ばしてここまでやってきたのだ。


 ちなみに、最近はSランク冒険者に劣らぬスピードで走ったり動いてきた俺だけど、最近ではそれも不思議に思われる事はない。

 いつの間にか、いろんな事に関わって、常識外の事をしてきたせいで『ショーマだから』みたいな感じで普通になったようだ。


 それは素直に喜んでいいのかどうか……。


「あぁ、カイトこそな」


 俺がこう言っても、もはやカイトは驚く事もない。

 俺の言葉を受けて「そうだな」と言って警戒している。


 どうやら、俺の実力は認めてもらえているって事だろう。

 そう思ってここは素直に喜ぶことにしよう。

 それにしても……。


 俺は目の前に広がる光景に意識を戻す。


 俺達は山を越え、森を超え来たけど、今まで景色と違いその先に木々はほとんど見当たらない。

 その代わり、今までと打って変わって、奥には岩肌がむき出しになった山と大きな岩が転がっている岩盤の地面が広がっている。


 確かに雰囲気からして今までとは違うし、迂闊にも人間が近づこうとするところじゃないな。

 魔族たちもドラゴンの事は人間を滅ぼした後にした方がって言って後回しにしてたし。

 まぁ俺はドラゴンも滅ぼすつもりなんてなかったけど。


 クロも何か感じるものがあったのか、俺の頭から飛び自分の翼を使って飛んで警戒している。


「よし、行くか!」


 重くなりかけた空気を変えようと、俺はあえて明るく声を張り上げて歩き出した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ったく、歩きにくいったらないな」


 俺は足元の悪さに文句を言いながら歩く。

 竜の巣は岩肌の地面で、人が足を踏み入れる事はないから整地もされているわけではないし、岩肌がでこぼこしていて歩きにくい。

 これでよく巣と言うなって思ったけど、思えばドラゴン達は飛べるんだからこの辺は気にしなくて良いだなとか思いながらも歩きにくいのに、不満を覚えながら進む。


「そりゃそうだろう、人間が来る事なんて考えられてないだろうし、そもそも自然のままだ」


 カイトは俺の言葉に真面目に返してくる。

 それくらい俺も分かってるっての。

 ただ、不満が口から出ただけだ。


 こいつ、ネリーさんといる時もこんな感じなのだろうか?

 女性の言う事に真面目に返してたら怒られるような気もするけど。

 女性が『疲れた~』なんて言った時に『じゃあ休めば良いだろう』なんて真面目に言ったら機嫌悪くなるって言うし。


 でも、そんなカイトだけどこいつはキスまで……。



「はぁ~……」


「どうした?」


「いや、本当に歩きにくいって思っただけだ。それよりも、竜の巣っていうのにドラゴンは全然出てこないけど、本当にここなのか?」



 俺はずれそうになった思考を戻す。

 竜の巣に入った訳だが、巣という割にドラゴンの姿がない。

 普通は巣っていうくらいだから、侵入者がくれば排除に来そうなもんだけど。

 でも、竜の巣って人間が言ってるだけで、ドラゴン達が巣って思ってる範囲はもっと違うのかもしれない。


「場所はあってるはずだ。でも、確かにショーマの言う通り、竜の巣に入っているのにドラゴンを見かけないのはおかしいな」


「だろ?」



 カイトと俺が誰かさんコンビみたいに道に迷う事はないし、やっぱり竜の巣って人間が勝手に言ってるだけで、実際にドラゴンが住んでいる範囲ってのは――



「ショーマ、来るぞ!」


「って、こういうのをフラグって言うんだった!!」



 俺の言葉がフラグになったかは分からないが、前方の上空に小さな影が見えたかと思うと、だんだんとこちらに近づいてきて、その影は大きくなってきた。


 そして、影のシルエットがはっきりしてくると、それはドラゴンだったのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ