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魔剣ティルフィング

 洞窟に入ると、中は薄暗く、ミリアがライトを発動させ、照らしてくれた。

 すると、少し先に開けた場所のようなものが見えた。


 ちなみにクロには洞窟の入り口を確保しておいてもらうように頼んだ。

 言葉が通じているかは謎だが、クロは「キュウ!」と返事すると、俺の言った通り、洞窟の入り口で丸くなって辺りを見ながら警戒する体制に入った。

 本当賢い奴だ。



「……この先か」


「そうみたいだね」


「自然にできた洞窟にしては入ってすぐに開けた場所があるのは不自然な気もするが……」


「うん、それも含めて調べないとね。行くよ」



 後ろのカレンからの言葉にアースが言葉を返し、アースはゆっくりと前へ進む。

 それに俺とミリア、そして後ろからカレンも続く。


 今のところ魔気を感じたりはしないけど、何か嫌な予感はする。

 カレンが言う通り、洞窟の造りが不自然だし、この先の広間がもし意図的に作られていたりした場合、何かしらかなりの能力の持ち主だろう。

 もしかしたら、魔物を呼び出す魔法陣を作った奴と一緒の人物かもしれない。

 そうだとすれば、少なくとも魔王級の強さの奴だ。


 しかも、それは最低レベルの話であって、あの場で俺に何かしてきた奴、それも考えると魔法とは違う、得体の知れないの知れないものを使って来る奴だ。

 いくらアースやカレン、ミリアが強いと言っても勝てるかどうかは分からない。

 それこそ俺も本気で戦う必要があるかもしれない。


「これは凄いね」


 そんな事を考えているうちに開けた場所へと出てきた。

 そこはこの前の魔法陣があった場所と同じくらいの広さだ。

 そして、その奥には地面から伸びている物がある。

 あれは……。


「どうやらあれがティルフィングって奴みたいだな」


 カレンが言う通り、洞窟の奥には地面から伸びているもの……正確には地面に刺さっている剣のようなものが見える。


「ショーマ君、グラムの時も地面に刺さってたの?」


 同じく、正面を見据えているアースが俺に聞いてくる。

 その目は今までと違い、真剣だ。



「あぁ、グラムの時も地面に刺さってたな。それで俺がグラムを抜いた」


「そっか。じゃあ抜かない限りは大丈夫かもしれないね……と言ってもティルフィングは僕らの剣とは少し違うみたいだからね、油断は出来ないけど、もう少し近づいて様子を見てみよう」



 その言葉に俺とカレンは頷く。

 ミリアは「少し怖いです……」と言っていたが、アースが「大丈夫、ミリアの事は僕が守るから」と言って、少しイチャついて安心したのか、再び気合いを入れ直した。

 そしてそれを見てアースは微笑んで前に進む。


 そんな光景を見て、俺は緊張の糸が切れそうになったけど、気を引き締めてアースに続いて前に進んだ。



「これがティルフィング……」


 それを見た俺は思わず呟く。

 というのも、その見た目はグラムに似ていて刀身も黒いからだ。



「なんかショーマ君の持っているグラムに似てるね」


「そうだな」


「なんか不気味です」



 他の三人も同じような事を思ったようで口々に言葉を発する。


「でも、聞いてたみたいな声は――っ!?」


 続いてアースが言葉を発した時、ティルフィングが急に赤黒いオーラをを噴出させた。

 それを察したアースはミリアを抱え、後方へと飛び、俺とカレンも異変を察知して後方へと飛んでティルフィングか距離を取った。



「何が起きたんだ!?」


「分からん!」



 アースとカレンが言葉を交わす中、ティルフィングは依然として、赤黒い怪しい光放っている。

 確か、グラムと契約する時もああやって赤黒く光った気はするけど――っ!?

 これは!?



「……なんだ? この嫌な気配は……」


「……決して良いものじゃないよね」


「これは負のオーラでしょうか……?」



 俺が感じたもの、それは魔気だ。

 突然ティルフィングから魔気が溢れだしてきたのだ。


 魔気を発する剣……やっぱりグラムと同じような魔剣なのか?



『ショーマ、警戒しろよ』


『あぁ』


「私は魔剣ティルフィング」


「「「「っ!?」」」」



 グラムと話しているとそこに聞き覚えのない声が聞こえてきた。


 その声は魔剣ティルフィングと名乗り、それはグラムが脳内に話してくるような感じではなくて、人が話しているのと変わらない感じだ。

 だから、聞こえているのは俺一人ではなく、他のみんなにも聞こえ、驚いた表情を浮かべている。



「おまえはいったいなんだ!!」


「アース君!!」



 アースが俺達を守るように一歩前に出てティルフィングに問いかける。

 それを見たミリアは叫び前に出ようとするが、アースが手で制す。



「私は主に造られし存在」


「主って誰だ!? 何の目的だ!?」



 アースは答えるティルフィングに向かって再度質問を投げかける。



「主の事は何も言えない。それに私は主に与えられた使命を全うするのみ!」


「使命って――っ!? みんな気を付けて!!」



 ティルフィングに再度問いかけようとしたところでアースが叫ぶ。


 魔剣ティルフィングは『使命を全うする』と言うと赤黒いオーラを強め、自らの力で地面から出て宙に浮き上がったのだった。


次回更新は来週月曜日の予定ですm(__)m

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