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俺、ドラゴンテイマーになりました

すいません、昨日いろいろ忙しくて更新できませんでした。

代わりに今日、三話更新したいと思います。

すいませんでした。

「よっ、おっさん」



「だから、おっさんじゃ――ってなんだそれ!?」



 クレイは俺の言葉に反応して俺の方を見た瞬間に、俺の周りを飛んでいたクロを見て腰を引いて驚いた。


 昨日疲れた俺は朝を寝過ごし、起きたのが昼前だった。そして、この時間だったらきっとギルドの受付はクレイがやっているだろうし、ちょうどいいと思って孤児院に報告に行く前にギルドに行く事にしたのだ。

 ちなみに宿屋のおばちゃんには夕方までにお金を持ってくるから部屋を取っといてほしいとお願いしてきた。



 それにしても、クレイは俺の期待してたリアクションをしてくれる。

 やっぱりクレイは俺の期待を裏切らないな。


 って今はそれどころじゃない。



「実はクレイ――」



 俺は光明草を達成した事とその過程でクロが俺を親と思っている事を話した。

 もちろん、親ドラゴンを投げたなんて話はしていない。


 崖の下に光明草を見つけて、命からがら降りて採取したところにちょうど卵からかえったクロがいて親と勘違いされたと伝えた。

 そして、どうしようかと思ったあげく、親ドラゴンの帰りを待っていたけど帰って来なかったから連れて帰ってきた……という風に話した。


 嘘のような話だけど、親ドラゴンを投げ飛ばしたのを省いた以上は嘘は言っていない。

 俺の言葉を聞いていたクレイは「どうやら嘘じゃないようだな」と言った。

 どうやらクレイは嘘を見抜けるようだ。意外と受付歴が長くて人を見る目があるのかもしれない。


 その後に、「親ドラゴンが帰ってきたらどうするつもりだったんだ?」と聞かれ、自信満々に「親に返す気だった!」と親指を立てて言ったところ「アホか。その前に殺されるだろ」と言われた。

 ドラゴンごときに負ける訳が……と言おうとしたけど、それこそ俺が人間離れ……いや、人間じゃないって疑われるような事はやめようと思って「あっ、それ考えてなかった」と言った。


 実際のところ言葉が通じないドラゴン相手に言い訳をして子供を返す事まで考えてなかったからクレイには嘘ってバレなかった。



「ったく、俺が受付にいる時に限ってやっかい事持ってきやがって……」


「いや、クレイが受付してる時間だと思ったから来たんだって。だって、可愛い女の子にやっかい事頼んだら可哀そうだろ?」


「おまえなーーっ!! ……まぁいい。確かに俺が話した方が早いか。それで坊主はそのドラゴンをどうしたいんだ?」


「坊主じゃない。ショーマだ、おっさん」


「俺もおっさんじゃねぇ! クレイだ!! ったく……んで、どうしたいんだショーマ?」



 うん、相変わらずクレイは俺のノリについてきてくれる楽しい奴だ。



「出来たら俺はこの子の親が現れるまで面倒見たいと思っている。そこで何とかして欲しいんだ、クレイ」


「そうか……」



 クレイは少し難しい顔をして考え込んだ。

 そして、しばらくして口を開く。



「……一つ聞きたいがそのドラゴンは人を襲わないか?」


「う~ん、まだ昨日の今日だからなんとも言えないけど、今のところ襲ったりはないな。俺の事を親だと思っているようだから人間を仲間って思ってるんじゃないか?」



 確証はないけど、俺を親と思っている以上、見た目一緒の人間は仲間だと思っている可能性は高いと思う。

 まぁ俺は厳密には人間じゃないけど。


「そっか……ならいけるか……」


 クレイはブツブツ呟くと何やらゴソゴソしだした。


「今からそのドラゴンに簡単な指示をしてもらう。出来たらこれをやろう」


そういってクレイは小さな首輪を出した。



「なんだそれ?」


「なんだおまえ、見た事ないのか?」


「あぁ、教えてくれ」


「まぁ、数自体少ないから仕方ないか。これは従魔のしるしだ。冒険者の中には魔物を従えているものもいる。それで、その魔物が従魔である事を示すのがこの首輪だ」


「おぉ!!」


 

 ラノベとか読んでてよく出てきた、連れている魔物に付ける奴か。

 まさか、俺がテイマーになる日が来るとは……。



「な、なんか思ってたより反応したな。んで、どうする? やってみるか?」


「もちろんだっ!!」



 そうして俺はクロと共に試験を受けた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「まぁ一応合格だな」


 結果的に俺とクロはなんとか試験をクリアした。

 クロに話が通じるか不安なところがあったけど、俺の出す身振り手振りのジャスチャーを加えながら指示を出すと何とか通じた。


 試験の内容は言わば『おすわり』『まわれ』『待て』だった。


 このうち最後の『待て』だけが「キュー! キュー!」と犬が待てを言われて唸っているみたいな感じになって危なかったけどなんとかクリアできた。


 危なかった……。

 でも、その姿がまた何とも可愛かった。


 あと、従魔がもし街中で何か起こしたら責任は飼い主にくるという事だから気をつけろとクレイに言われた。

 まぁ日本でもペットの起こした問題は飼い主の責任だからな。

 そのあたりは一緒だろう。


 まぁ問題が起きた時の規模はともかく。



「これでよし……っと」



 クレイはそう言ってクロに首輪をつけてくれた。



「ありがとうな、クレイ」


「おっ、ちゃんと礼言いやがった。まぁ仕事のうちだからな」


「それでも助かったよ」



 本当に助かった。

 これでクロはちゃんとこの街で住める。

 宿屋を追い出されないですむ。


「なんか調子狂うな……。まぁでも、ドラゴンをテイマーしてるやつなんていないからな、一応国の方には報告しとくぞ?」

 

 やっぱりドラゴンをテイムするなんて普通じゃないか。

 まぁ国に報告されてもルークスやゼクスは俺の事知ってくれているし、なんとかしてくれるだろう。



「あぁ、問題ない」


「了解っと。まさかルーキーがドラゴンをテイムするとはな、世の中何があるか分からんな」


「俺はクレイが受付に立っている方がインパクト大きいけどな」


「うるせぇ! ちょっとマシになったかと思ったらすぐこれだ! ほら、さっさと依頼主に依頼の完了報告して来いよ!」



 そうだ、夜までに宿屋のおばちゃんにお金を払わないといけないんだった!


「そうだ、急いでいかないと! ……あっ、クレイ、これ買い取ってくれるか?」


 俺はそう言ってポケットからあるものを出す。


「おまえ、それは……」


「クロの近くに落ちてたんだ。たぶん親ドラゴンの鱗だと思う」


 昨日、あのドラゴンを投げた時にどうやら鱗が剥がれて、一枚俺のポケットに入っていたようで闇夜の黒騎士衣装から着替える時に気付いた。

 昨日はゴブリンを倒しまくったけど、討伐部位とか持って帰ってくると考えるまで気が回らなかったしドラゴンの鱗は俺にとって朗報だった。


 ドラゴンの鱗と言えば高値というのが相場。

 これからの宿代とクロの食事も考えるとこれを利用させてもらってもいいだろう。


「……分かった。ちゃんと鑑定した上で買取させてもらおう」


 そりゃそうか。いきなりドラゴンの鱗と言って信じてすぐ買取にはないらないよな。


「あぁ、頼む」


 俺はそう言葉を残して依頼達成の報告をするべく、ギルドを後にした。


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