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84.友達候補

累計PVが150万突破しました。ありがとうございます!

 

 慎司は買った4人の奴隷を連れて、屋敷に戻った。

 4人は屋敷の大きさを見て呆気にとられ、口をポカンと開けたまま動かなくなってしまう。


「ボーッとしてないで、さっさと中に入りな」


 慎司が声を掛けて門をくぐると、惚けていた4人も慌ててついてくる。

 ルナは慎司の右隣に黙ってついてきている。


 門にはグランが立っており、奴隷たちがやたらとグランを怖がっていて、グランが半泣きになっていたのは見なかったことにする。


「おかえりなさいませ、旦那様。その子たちが今朝話していらっしゃったアリス様の友達候補ですか?」


 玄関を入ってすぐ、リリアが当然のように慎司たちを出迎える。

 朝食の時に奴隷を買ってくることは伝えた上に、リリアには奴隷商の場所も聞いているため気になったのか、リリアが奴隷たちを見ながら尋ねる。


「おう。頼んでた食事はもうできてるか?」

「はい、すぐにお出しできますよ」


 食事を用意させたのは買ってきた奴隷たちに食べさせるためだ。

 奴隷は恐らく最低限の食事ぐらいしか与えられていないだろうと思った慎司は、予めすぐに出せるような食事をリリアに頼んでおいたのだ。

 慎司としては、まずは胃袋を掴んで奴隷たちの心象を良くしておくのは大事だと考えた。


(リリアやメイドたちの料理、ほんとに美味いからなぁ)


 朝食を思い出しながら、慎司は食堂に向かい、奴隷たちを適当な場所へ座らせる。

 奴隷たちは既に慣れたのか、豪華な内装には驚かなくなっていた。


「さて、ようこそ俺たちの屋敷へ。自己紹介といきたいところだが、君たちはお腹が減っていると思う。育ち盛りなんだから、よく食べるというのはとても大事だ」


 椅子に座り、テーブル越しに奴隷たちの目を見つめながら慎司は話す。


「まずはお腹をいっぱいにするのが大事なのだ。というわけで……リリア、持ってきてくれ」

「かしこまりました」


 扉の近くにいたリリアに配膳するよう頼むと、料理はすぐに運ばれてきた。

 緑の鮮やかなサラダに、芳醇な香りのスープ。何より目を引くのは厚く切られたステーキだ。

 奴隷たちは皆口元に手をやり、涎が垂れそうになるのを我慢しながら、視線を慎司と料理の間で行ったりきたりさせている。


 全ての料理が目の前に置かれると、奴隷たちは堪らないとばかりに全員が目を輝かせる。

 食べたことが到底ないような美味しそうな料理への期待からか、誰かの腹が鳴る。


「ははは……食べていいんだぜ?君たちのための料理なんだからね」


 慎司が苦笑しながらそう言うと、奴隷たちは物凄い勢いで料理を食べ始める。

 余程お腹が減っていたのか、その勢いは凄まじく、案の定肉を喉に詰まらせる者が出てくる。


「はい、お水です」

「んぐっ!んぐっ!」


 その度にリリアやメイドたちが水を差し出し、ゆっくり食べるように諭すのだが、リリアたちの作る絶品料理を味わってしまった奴隷たちには残念ながらその声は届かず、がむしゃらに料理を貪るのだった。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 全員が料理を食べ終わるのを確認して、慎司は口を開く。


「随分と凄まじい食べっぷりだったなぁ。それでこそ子どもってもんだな。んじゃ、腹ごしらえも済んだようなので、自己紹介をしてもらおうと思う。名前と年齢、得意なことを教えてくれ……赤毛のやつから頼む」


 かなり遅い自己紹介になるが、慎司はまずは赤毛の少年を指さす。


「は、はい!僕の名前はバルドです。歳は9歳になります。村にいた頃は剣の練習をしていたので剣が得意だと思います」

「ふんふん、バルドね。剣は誰かに習ってたのか?」

「いえ、昔村に来た冒険者の人に憧れて1人で剣を振っていただけです」


 赤毛の少年──バルドは、歳の割りにはしっかりしているようで、ハッキリと受け答えをする。

 剣が得意と言うバルドには、後でライアンに引き合せる必要があるだろう。


「んじゃ、次。白髪のほう」

「ラスティです。年齢は、7歳です。得意なことは、えーと、分かんないです……ごめんなさい」

「ラスティ、ね。謝らなくてもいいぞ?分からないならこれから見つけていけばいいんだからな」


 得意なことが見当たらず、項垂れるラスティに慎司は務めて明るく声をかけてやる。

 すると、ラスティは安心したような顔でしっかりと頷く。固く握られた拳は、決意の表れだったりするのだろうか。


(意外と熱血タイプなのか?)


 ラスティの次は女の子組だ。

 慎司は手前に座っている亜麻色の髪の毛の女の子を指さす。


「次は、そっちの子ね」

「私は、ニア。7歳よ。少しだけ火魔法が使えるわ」

「ニアね、ほいほい。その歳で火魔法を使えるのか、ニアは凄いんだな」


 短く告げるニア。

 火魔法が使えると言うニアを慎司が褒めると、ニアは恥ずかしそうに顔を背けてしまう。

 あまり感情を表に出さないようだが、ちゃんと照れるらしい。


「はい、じゃ最後は君ね」

「はーい。私はリフレットっていいます!歳はラスティ君やニアちゃんと同じ7歳で、得意なのは弓です!」


 青髪の少女──リフレットは元気いっぱいといった調子で話す。

 どうやら歳が離れているのはバルドだけらしく、リフレット含むラスティとニアの3人は同い年のようだ。


「リフレットは弓が得意なのか。狩りでもやってたのか?」

「うん。……じゃなくて、はい。小さい頃からやっとくようにーって狩りに参加させられてたので」

「ふーん。みんななかなか戦えそうじゃないか」


 バルドは剣で前衛を、中衛に弓を使えるリフレット、その後ろに魔法使いであるニアが入り、ラスティができれば盾役といったところだろうか。

 結構バランスの取れたパーティーとして、アリスの護衛に期待ができそうである。


「んじゃ、最後に俺のことを知ってもらおうか。さっきから呼ばれてるし知ってるかもしれないが、俺は君たちを買ったシンジだ。ご主人様なりシンジ様なり好きに呼んでくれ。得意なことは剣っちゃ剣だけど、別に魔法も使える。魔法は一応全ての属性を使えるぞ」


 剣が得意と言ったところでバルドが、魔法について話したところでニアがピクリと反応する。


「後で紹介するけど、この家には俺の家族と使用人、後は……教師なんかもいたりする。皆にはちゃんと伝えておくから、仲良くしてやってくれ」


 4人ともがコクコクと頷きながら話を聞いているのをおかしく思いつつ、慎司は本題へと話を進める。


「んで、君たちを買った理由なんだけどな。前にも言ったけど、娘と友達になって欲しいんだよ。そして、できれば守ってやって欲しい」


 慎司がそう言うと、「1つ宜しいでしょうか?」とバルドが手を挙げる。


「なんだ?」

「シンジ様の子どもを守るのには、僕たちでは到底力不足です。どうして僕たちを選んだのですか?」


 バルドの言葉に、慎司はニヤリと笑う。

 確かにバルドの言う通りである。友達になるのは歳が近い方がいいのかもしれないが、護衛となるのであれば、それこそお金で人を雇えばいいのである。

 それを分かっているからこそ、バルドは自分たちがやる必要はあるのか、という質問をしたのだろう。


(思ったよりも考えがしっかりしているし、頭の回転も悪くない。リーダーに向いている性格だな、こりゃ)


 内心でバルドという逸材にほくそ笑みながら、慎司は質問に答えてやる。


「ご指摘はごもっともだ。よく考えてるな、バルドは。だけどな、確かに護衛なんかは誰でもいい、金さえ積めばいくらでも雇えるだろうな。しかし、信頼できるかと言われれば答えはNOだ」

「お金で動く人は、お金で裏切る……ってことですか?」


 最後まで言っていないのに、結論を導き出したバルドに慎司は心からの賞賛を送る。


「その通りだ。だからこそ、君たちには俺の娘と友達になってもらい、お互いに信頼し、助け合うような関係を築いて欲しいんだ」

「……なるほど。ありがとうございました」


 頭の回転の早いバルドはすぐに話を理解し、飲み込んだようだが、ラスティやニア、リフレットはよく分かっていないという顔をしている。


「あー、要するにだ。君たちは友達が困っているなら助けたいと思うだろ?」


 ざっくりとした言葉に、3人は頷く。


「それなら、君たちは深く考えずに俺の娘と友達になってくれりゃあ、それでいい。そうしてくれるなら、概ね俺の願い通りになる」


 3人は(ようや)く理解したのか、ニッコリと笑って「わかりました!」と返事をした。


 まるで教師にでもなった気分で慎司は思わず苦笑する。

 そして、ふと思う。


 ──そういえば、()()にもこんな素直なヤツがいたな。


(……は?部下ってなんだよ、後輩の間違いか?)


 自分の中の違和感に自分でツッコミを入れて、慎司は頭を切り替える。


「ま、こんなところだろう。バルドたちも今日は疲れただろう。今から部屋に案内してもらうから、今日は休むといい。夕食は部屋に届けてやるから、部屋から出るなよ」


 慎司はバルドたちに部屋から出ないように言い含める。理由は、アリスへのサプライズとするためだ。


「ああ、別に眠いなら寝てもいいからな。明日からは本格的にお仕事開始ってわけだから、英気を養うといい」


 部屋に案内させようとリリアを探したところで、思い出したかのように、寝てもいいと伝えておく。

 そして、今度こそリリアを呼ぶ。


「リリアー、ちょっと来てくれ」

「はい。なんですか旦那様?」

「バルドたちの部屋はもう使えるか?」


 慎司はリリアを呼び、部屋が使えるかどうかの確認をとる。

 なんだかんだでバルドたちにとって今日はかなり激動の1日となるだろう。それならば、早めに休ませる方がいいと思ったのだ。


「はい、大丈夫ですよ」

「わかった。それならバルドたちを部屋に案内してやってくれ」

「かしこまりました」


 小さくお辞儀をして、リリアは栗色の髪の毛を揺らしてバルドたちに近づく。


「それじゃバルドくん、ラスティくんは私についてきてくださいね。ニアちゃん、リフレットちゃんはこちらの赤い髪のレッドさんについていってください」


 いつの間にかいたレッドと共に、リリアは4人を連れて食堂を後にする。

 バルドたちを見送った慎司はライアンとレイラに、奴隷たちの稽古を頼むことを伝えるため、2人を探すのだった。

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