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81.面接

 面接と言っても、別に志望理由だとか意気込みを聞く訳では無い。

 聞くのは名前と特技だ。


「はい、というわけで適当に並んでください」


 屋敷の庭にぞろぞろといる者たちが、慎司の一声で列を作る。

 グランとステルを除いた17名、その先頭は先ほど襲いかかってきた大剣を持つ男だ。

 慎司は全員が並んだことを確認すると、男に話しかける。


「……アナタの名前は?」

「俺はライアンって言うんだ。シンジの旦那には簡単に止められちまったが、剣には自信がある。剣術の指南なんかもできるぜ」

「ふーん。予想通り奴隷の指導者として召喚された奴か。ライアン、もういいぞ」

「あれ?旦那、これだけでいいのか?」


 思ったよりもあっさりと話が終わったことにライアンが不思議そうな顔をするが、慎司は別に今すぐ全員の全ての能力を知りたい訳では無い。


「ああ、一先ずはこれだけだ。人となりは追々知っていけばいいさ」

「……そんなもんかねぇ?まぁ旦那がそれでいいなら俺は構わねぇけどな」


 ライアンが脇によけると次に現れたのは執事服に身を包んだ初老の男性だ。

 慎司と目が合うと、綺麗な礼を1度見せ、その男は口を開く。


「私はルーカスと申します。ライアン殿のように武芸に秀でていることはありませんが、微力ながら旦那様の補佐と使用人たちの取りまとめを努めさせて頂きたいと思っております」

「へー、ルーカスね。執事ってことでいいのか?」

「間違いないかと」


 妙に固い態度で接してくるルーカス。

 慎司は少し居心地の悪さを感じたが、これから屋敷の主となるのだから、そのような態度にも慣れていくべきだろう。

 慎司はそう心の整理をつけてルーカスを下がらせた。


 次に来るのは司書を思い起こさせる風貌の男だ。

 柔らかい雰囲気と優しげな目元が特徴的である。


「僕の名前はチェスターと言います。文字の読み書きや算術を教えることができます」

「チェスターね、はい。……教師?みたいなもんか」

「そうですね。もしお子さんがいらっしゃるならお教えさせて頂きますよ?」

「おー多分頼むことになる。その時はよろしく頼むな」

「はい、尽力します」


 教師として、文字の読み書きや算術を教えれるとなると、奴隷を購入して教育を受けさせることが可能になる。

 それに、アリスにも教育は受けさせるつもりだったので、チェスターが温和そうな人柄で慎司は正直かなり安心していた。

 もしチェスターが性格に難のある人物だった場合、アリスに何かする前に消さなければならなかったのだから。


「んじゃ次……って、随分とわかりやすいのが来たな……」

「どういう意味かしら、それ?」


 チェスターの次は、まるで魔女のような格好──とんがり帽子に黒いローブを着た女性だった。

 見た目から分かる通りの魔法使いだろう。


「そのまんまだよ。名前は?」

「私の名前はレイラよ。まぁ分かっているようだけれど、魔法使いね。攻撃魔法だろうが回復魔法だろうが上級までならどんな属性でも使えるわ」

「ほー、そりゃすごいな」


 慎司が素直に褒めてやると、レイラは苦虫を噛み潰したような顔をする。


「なによそれ、嫌味?アナタの方が莫大な魔力を持っているし、質も上じゃない。どうせアナタも全属性がつかえたりするんでしょう?」

「まぁ、使えるぞ?」


 そう答えると、一気にレイラの雰囲気が変わる。

 ずいっと顔を近づけてくると、小声でなにやら(まく)し立ててきたのだ。

「……ほらやっぱり。ねぇ、アナタの魔力ってすごい質が高いのね?それだけ魔力があるなら少しぐらい最上級魔法ぶっぱなしてみない?」


 目に怪しい光をたたえて話しかけてくるレイラを引き剥がそうとするも、どこから湧いてくるのか分からないが凄まじい力で離れまいとしてくる。


「は、な、れ、ろ……!」

「ね、ね?ちょっとだけだから!その魔力で魔法を撃ってほしいだけなの!ね、ね!?」

「うるせぇ、話が進まねぇだろ。後で聞くから退いてろ」


 引っ付いてくるレイラを上昇したステータスで引き剥がしてグランの元へ投げ捨てる。

 アイコンタクトでレイラを拘束するように伝えて、慎司は次の人に向き直る。

 メガネをかけた理知的な雰囲気の女性だ。


「えっと、ごめんな。まずは名前を教えてくれ。ついでに特技も」

「問題はないです。私の名前はティエラ、特技と言いますか、礼儀作法についてお教えすることができると思います」

「おー、是非ともアリスに教えて欲しいな……。いやでも、貴族になるわけじゃねぇしな……」


 礼儀作法について教えられると言うティエラ。

 慎司は別に気にしていないが、アリスが野蛮な行動をとるのは好ましくないだろう。

 慎司としては、可愛いアリスには是非とも礼儀作法をマスターしてドレス等を着こなして上流階級よろしく振舞ってみてもらいたいのだ。

 考えているうちに、心の中の声がつい漏れてしまう。


「そう。言うならばそれは天使……白いドレスを着たアリスが初めてで緊張しながら慣れない言葉遣いで……」

「あの……?」


 ティエラの呼びかけにも応じずただ空想の中でアリスを愛でる慎司。

 それはもうとびきりの気持ち悪さであった。


「逆に黒のドレスでいつもより大人びた雰囲気を醸し出すアリスもまた……いい!」


 ひとしきりトリップをし終えた慎司の顔は妙に恍惚としており、間近でみたティエラの顔はかなり引き()っていた。

 傍にいるアルテマの凍えそうになるほど冷たい視線を受けて、慎司は一息つくとキリッとした顔をする。


「頼んだよ、ティエラ。全ては君にかかっている」

「はぁ……、頑張らせていただきます」

「よし。それじゃ……えっと、メイドさんたち」


 ティエラが紹介を終えると次に現れるのは12人のメイドたちだ。

 赤、青、黄。鮮やかな色合いの髪の毛の者もいれば、黒や茶色といった落ち着いた色合いの者もいる。


「うーん、そのなんて言うか……名前は?」

「レッドです」

「ブルーです」

「イエローです」


 慎司が名前を聞くと、メイドたちは一斉に答え出す。

 それも、髪色と同じ名前だ。

 赤髪がレッド、青髪がブルー。なんという安直な名前の付け方だと思うが、実はこのメイドたち、顔立ちがほぼ同じで見分けがつかないのだ。

 髪色で判断することができるが、身長や目の大きさ、鼻の高さにまつげの長さまで同じ。

 名前も髪色と同じのため、それはそれでわかりやすくて良いのかもしれない。


「結局みんな髪色と同じ名前なのね。それで、使用人としての仕事は任せろと。ふむふむ」

「マスター、それに加えてある程度ならば戦闘もこなせます。いざとなったらメイド流撲殺術(メイドパワー)で片付けることが可能です」

「マスターってのは俺か……?なんだそれ……まぁいいや。とにかくよろしく頼むぞ」

「はい、マスター」


 一糸乱れぬ動作でお辞儀をするメイドたち。

 彼女たちはリリアと一緒に屋敷で働くことになるため、後でリリアと会わせる必要があるだろう。


(てか、レッド……男かよ)


 どうでもいいことに囚われつつも、慎司は取り敢えず全員の名前と役職を把握したのだった。




グラン&ステル

Lv.255

HP9999/9999

MP9999/9999


STR:999

VIT:999

DEX:999

INT:999

AGI:999


ライアン

Lv.200

HP9999/9999

MP8000/8000


STR:999

VIT:999

DEX:800

INT:800

AGI:800


レイラ

Lv.200

HP8000/8000

MP9999/9999


STR:800

VIT:800

DEX:800

INT:999

AGI:800


チェスター&ティエラ

Lv.150

HP7500/7500

MP7000/7000


STR:500

VIT:500

DEX:600

INT:500

AGI:600


ルーカス&メイドたち

Lv.120

HP5000/5000

MP6000/6000


STR:500

VIT:300

DEX:999

INT:400

AGI:400

突然炸裂する親バカ。

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