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気ままに異世界無双  作者: 塩をかけられたナメクジ
異世界での新生活
5/163

5.ステータスと大都市ランカン

ブックマーク数が20を超えてました……

ありがとうございます!!


嬉しくて喜びの舞を踊ったことは内緒です

 

 軽い力で木を殴る。

 ぐらぐらと木が大きく揺れるが、根元から折れたりはしなかった。手加減成功である。


「全力出したら国を滅ぼせるな……」


 慎司は少し冗談めかして呟いた。

慎司は一刻も早くスキルなり装備なりで自分の力を抑制する必要があると感じていた。進化したとあれば、勿論力だけでなく他の素早さや体の頑強さも軒並み上昇しているのだろう。冗談ではなく滅ぼせてしまいそうだ。

 このままでは街に着いた時に化け物認定されてしまう。


 そうして、何度か力を抜いて木を揺らしていると、不意に頭の中にアナウンスが聞こえた。


 《手加減スキルを習得しました》


 どんな効果を持っているかは分からないが、取り敢えず慎司はスキルを試そうとした。

 だが、ここで重要なことに気付く。


「スキルってどうやって使うんだ?そもそも手加減ってパッシブなのか?」


 そう、今までなんとなく使ってきた《体術スキル》も《剣術スキル》も、体が勝手に動いたために特に不自由しなかった。魔法に関するスキルだって、リーティアから聞いたとおり魔法名を口に出せば発動した。

 しかし、今回ばかりは使用方法がわからない。


「そもそも俺のステータスがわからんぞ……」


 慎司は考え得る限りの行為を尽くして、ステータスを知ろうとしてみた。

 手を振る、VRMMOでもあるまいし当然意味はなかった。ステータスと叫んでも変化はない。

 若干やけくそ気味に、慎司は自分に鑑定の力を向けてみた。

 どうやらこれが正解だったようで、頭に情報が流れ込んでくる。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 黒木慎司 18歳 男

 種族:超人

 専攻職:剣聖/魔導王

 精霊王の加護


 Lv.255

 HP:9999/9999

 MP:9999/9999

 STR:999

 VIT:999

 DEX:999

 INT:999

 AGI:999


 スキル

 剣術MAX

(飛翔剣、受け流し、魔刃、奥義)

 体術3

 火魔法3

 水魔法2

 風魔法2

 土魔法2

 打撃耐性

 斬撃耐性

 火耐性

 並列思考

 手加減

 鑑定:極

 完璧な体

 残りスキルポイント600


 称号

 超越者、最強のその先へ、魔剣に選ばれし者


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「カンストしてるじゃねぇか!」


 慎司は心の底から叫んだ。狼でレベルが上がったのは5回程。すなわちあの鎧との1戦で249程レベルが上がっていることになる。


 鎧、強すぎである。


 それよりも、種族の超人とはなんなのか。人類やめてしまったようだ。

 流れ込んできた情報の内、手加減に対してより意識を集中させる。すると、手加減スキルの詳細が判明した。


 《手加減》

 攻撃の意思を持たない行動が全て人並みの力に抑制される。

 攻撃の際、自分の力を自在に調整できる。


 手加減のスキルはまさしく慎司が求めていたものだった。これでどうにか街に行っても化け物扱いされずに済みそうである。

 慎司は他にも気になるスキルに意識を割く。


 《並列思考》

 脳に負担がかかるような処理をスキルで補助することにより、ある程度処理速度を上昇させる


 火球を50個作った時に得たスキルだ。

 どうやらこのスキルがあると魔法を使用しながら剣を振るったり、スキルを使用しながら他のスキルを使用できたりするらしい。


 《鑑定:極》

 対象に意識を集中させると詳細な情報が手に入る。同レベルの隠蔽効果までは見破ることができるが、隠蔽効果が鑑定のレベルを上回ると情報が取得できない。


 かなり前から使っているスキルだが、しっかりと説明を見ると大変チートである。

 慎司が知りたいことは全て筒抜けとなるのだ。スキルレベルが極となっているため、ほぼ間違いなく見破れるだろう。


 《完璧な体》

 HPとMPの自然回復量が上昇する。

 身体能力が飛躍的に上昇する。


 鎧と殴り合えていたのは、このスキルのおかげだろうか。慎司が苦もなく戦闘をできるのは、身体能力の上昇によるものだろう。普通ならあんなに動くとすぐにスタミナが切れて動けなくなる。


「チートだなぁ……まぁ、死にたくないからこれはこれで良いか。自分の身は自分で守るべしってやつだな」


 スキル欄の一番下には、スキルポイントなる物が確認できるが、それについてはなんとなく慎司は当たりをつけていた。

 成長させることができるスキルなら、伸び悩むまでは地道にレベルを上げていくのが良いだろう。きっとそうすることでスキルポイントの節約にもなる。

 慎司は有限の物に対して、少々ケチ臭くなる自分の性分を自覚するも、やはり方針は変えないのであった。


「んー……加護ってなんだ?リーティアにもらったやつだろうけど。またチートか?」


 《精霊王の加護》

 魔法の威力が2倍になる。

 魔法を習得しやすくなる。


「やっぱりチートじゃないか!」


 慎司はなんとなく手に持って遊ばしていた木の枝を地面に叩き付ける。

 魔法の威力が2倍である。もうこの時点で意味がわからないが、さらに魔法の習得の補助までついている。慎司はリーティアに深く感謝した。


「良し、こんなもんだろ。次は森から出て街を目指してみるか」


 慎司はそう言うと来た道を引き返す。どうやら狼は狩り尽くしてしまったようで、1匹たりとも出てこない。あれほどうるさかった狼がいないと、なんだか寂しく感じてしまうのは、慎司が瞬殺してしまうため恐怖を感じないからだろうか。

 とにかく歩いていると、遂に森の出口が見えてくる。段々と差し込む光が強くなっていることからも、外へ続いていると思えた。


「ようやく人と触れ合える……かな」


 実は話したと言っても精霊王と鎧のみである慎司は、濃密な時間を過ごしていたということも相まって、かなり人恋しくなっていた。

 森の外に広がる光景を適当に予想しながら慎司は軽い足取りで出口へ向かおうとした。

 あと数歩で、出口に差し掛かろうとした瞬間、いつかの感覚が肌を撫でた。


『シンジ、外へ行くのですか?』

「リーティア……そのつもりだよ」


 濃密な魔力を感じて後ろを振り返ると、そこにはリーティアがいた。リーティアは少し寂しそうな顔をした後、ゆらゆらと慎司に近寄ってくる。


「なんだ?」

『この森から1番近い街でも歩きでは5時間かかります。馬車を使っても随分と長い時間がかかります。私は貴方に加護を授けました。しかし、貴方を街に送るぐらいのことはしてあげても良いと思っています』


 リーティアの言葉に慎司は驚いた。どうやら思っていたよりもこの森は街から離れた場所にあるらしい。

 幸い、送ってくれると言うので頼んでみることにした。慎司は面倒なことは好きじゃないのだ。


「本当か?ありがたい。是非頼むよ」

『ふふっ、わかりました。それでは私の手を握ってください』


 慎司が送ってもらうよう頼むと、リーティアは柔らかく微笑み、手を差し出してきた。精霊ということもあり、やたらと綺麗なその手に慎司は一瞬自分の手で触れることを躊躇う。


『どうしました?』


 心底不思議そうな顔をするリーティア。その顔が、まるで何を躊躇っているの?と言わんばかりであるため、慎司は少し間を置いてしっかりとリーティアの細い指を握った。


「じゃあ、頼むよ」

『では……またお会いした時はゆっくりと、話をしてくださいね』

「そうだな、わかった」

『ありがとうございます。それでは、テレポーテーション!』


 リーティアが最後にそう叫ぶと、慎司はいつの間にか森の中から、街の近くの草原に立っていた。


「すげぇ、転移魔法ってやつか」


 《転移魔法を習得しました》


 流れるアナウンスに、慎司はもう驚かない。なんとなく習得する気はしていたのだ。

 何はともあれ、こうして街にたどり着いた訳である。さっさと街に入るべく慎司は門を目指して歩き出した。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 ただ、この時門に滞在する兵士達は尋常じゃないぐらい慌てていた。

 いつものように、訪れる行商人や冒険者を捌いていたら、突然おかしな魔力量の何かが街の近くに一瞬で現れたのだ。

 2人一組のうち、片方の兵士が上司に連絡するべく飛び出し、残った方の兵士は覚悟を決めていた。

 後に兵士はこう語ったと言う。


「あれは化け物に違いない……」


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 なんか騒がしいな……、慎司はその程度に思っていたが、わらわらと集まり出す兵士を見て、今更ながら魔力が垂れ流しなことに気づいた。


「あ、やべ。止め方わかんねぇな。ふんっ!」


 慎司が気合いを入れてみると、漏れ出ていた魔力がピタリとなくなった。


 《魔力操作を習得しました》


「これでもスキル手に入るのか、なんでもありだな」


 魔力を感じなくなったためか、若干殺気立っていた兵士達が引っ込んでいく。

 列を形成していた行商人や冒険者達も元に戻ったようだ。

 慎司は涼しい顔をして列の最後尾に並ぶ。

 列は意外にもぐんぐん進み、あっという間に慎司の番となった。


「身元を確認できるものはあるか?」

「すみません、どこかで無くしたようで持ってないのです」


 やたらとガタイのいい兵士が質問してくるが、慎司はあらかじめ決めていた答えを返す。

 すると、兵士は嫌な顔一つせずに門の隣にある建物へ案内してくれた。


「ここで身分証明書を発行してもらえ。次無くしたら罰金になるから注意しろよ?」

「ありがとうございます」


 案内された建物に入ると、先程よりは線の細い兵士が座っていた。

 目の前にある机には謎の道具が置かれている。


「これに手を置いてくれ、アンタに犯罪経歴があるかどうか調べるからな。問題ないならこちらでちゃちゃっと身分証明書を作ってやる」

「はぁ、こうですかね」


 言われた通りに慎司が手を置くと、謎の道具が青く光る。

 赤とかに光ったらダメなのだろう。


「問題なしだな。名前と年齢を教えてくれ、必要事項だからな」

「黒木慎司です、年齢18ですね」

「クロキ・シンジ?名字持ちってか。となるとアンタはホウトウの生まれなのか?貴族様には見えないしな」


 ホウトウとやらが理解出来ないが、話の流れから慎司は国の名前であると考える。

 ここは話を合わせるべきだろう。


「そんなとこですね」

「なんか歯切れ悪い言い方だな……まぁいい。できたぞ、これがアンタの身分証明書だ。もう無くすなよ?無料発行は1回までだからな」

「はは、注意します……」

「まぁ、何はともあれ……ようこそランカンへ」


 慎司は身分証明書をアイテムボックスに放り入れ、門を潜る。

 異世界に来てから1日目、濃密な時間を過ごした慎司はとても疲れていた。精霊王に会い、その数十分後に最高の騎士との死闘。

 夕日が沈みかけているため、夕方だとわかるが慎司は3日ぐらい過ごしたような気がしていた。


「まずは……宿を取ろう。全ては明日からだ」


 たどり着いた大都市ランカン、慎司の異世界での新生活が始まろうとしていた。

ようやく街に到着しました。

長い森編だった……


そろそろ女の子も出てくるはずですので、もうしばらくお付き合い下さい。


※一部修正をしました

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