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王城

今年では最初で最後の1日2回更新です!w

 帝都へと入ってから更に数分ほどした頃に同じく大きな城壁と城門をくぐると先ほどよりも人の往来が少なくなった代わりに身なりが豪華な人たちばかりになってくる。

 更に周りの家々は非常に豪華な造りであったり、写真でしか見たことのないような屋敷ばかりが連なっているのを見る限り貴族街のようだ。


(なるほど、ここらへんは貴族街って感じかな。その先にも城壁が見えるから、その次が王城か…下町、貴族街、王城って感じかな?しかし本当に王族って凄いな、貴族様なのに皆頭を下げてるよ…まぁ、地位が絶対的なのは当たり前か。)


 そんな事を考えていると王城に着いたようで馬車が停止し、扉が開かれる。と、それと同時に非常に豪華な衣装を身に纏った威厳のある中年あたりの男性と女性に付くように同じく中年近いが執事の様なフォーマルな衣装を身にまとった男性、そして上等そうな立派な鎧を着た男達等様々な人物が駆け寄ってくる


「ソフィ!無事でよかった…!セルペンテネグロに襲われたという伝令を聞いたときは寿命が縮まったぞ…!」

「怪我は!?怪我はないのね!?」

「あぁ…!お前達もたった15人でよく護ってくれた!」

「いえ、実は…」


 と、ここでアルフがここまでの経緯を掻い摘んで説明をする。


「そうだったのか…イーリスと言ったな?よくぞ私の娘をセルペンテネグロから護ってくれた…!報酬は必ず約束しよう!」

「私からも娘を救ってくれて助かったわ、ありがとね?」

「(おいおいおい、いきなり皇帝と皇后かよ…普通に王城から出てきたが大丈夫なのか…?と、とりあえず当たり障りのない事を言うか…)いえ、姫様のご危機とあらば当然の事をしたまでのことです。」

「うむ、大義であった!おい!」

「はっ!それではイーリス様。こちらへどうぞ」

「は、はい。わかりました。」


 流れるような応対に若干戸惑いつつもソフィと分かれたイーリスは皇帝の側に控えていた側近と思われる男性に応接間であろう豪華な部屋へと通される。


(うへぇ…マジでTVでしか見たことのないような調度品ばっかだな。この部屋だけで一体いくらかかってるんだこれは、考えたくもないぜ。客を通すんだから当たり前っちゃ当たり目の豪華さなんだろうが…)


 落ち着きなくキョロキョロと見渡したいが侍女がすぐ傍で控えているのでその気持ちをグッと抑える。


 出された今まで飲んだ事のない程の美味しい紅茶とお菓子を食べていると、先ほどの側近らしき男が入ってくる。


「イーリス様ですね?私、アルベルト様、マリアンネ様の御付をしているルースと申します。」


 名前や流れから察するにどうやら先ほどの皇帝、皇后の名前とそれに付く執事のようだ。


「イーリスで大丈夫ですよ、よろしくお願いします。」

「此度のご活躍に関してアルベルト様から直々に報酬をお渡ししたいとのことです。ローブをこちらへ置いた後に謁見の間へお越しください。」

「すいません。このローブは皇帝様の前でも自分以外の目がある場所では脱ぐ事は難しいので…なんとかなりませんでしょうか?」

「わかりました。それでは行きましょう」



(まさかの即オッケーかよ…なんでだろ、信用?たった1回助けただけでか?無用心すぎやしないか?)


 若干戸惑いながらも案内された謁見の間へと入っていく。すると威厳のある男性と女性の隣にはソフィが座っている。


(うわー、さっきも思ったがあんなザ・みかど!感のある人初めて見たよ…って本物だから当たり前か。えっと、ど、どうすりゃいいんだ?とりあえず頭を下げるか)


「よい、慣れておらんのだろう?楽にせい。娘からそなたのことは聞いている。よくぞ危機から救ってくれた!しかし、どうやってセルペンテネグロを倒したのだ?」

「私の魔法の中で一番の威力を誇るジャッジメントにより討伐しました」

「ジャッジメント…?まさかあなたは白魔道士(クレリック)なのかしら?」

「いえ、それとは別の最高位ジョブである聖騎士(パラディン)です。聖騎士は単体に対する聖魔法であれば白魔道士並みに扱えますので。」

「ほォ…最高位ジョブを持つものは極一部の者のはず。我が国でも最高位ジョブを持つものは数える程しかおらんと言うのに…そなたは一体何者なのだ?」

「申し訳ありませんがそればかりはお話しできません。しかし、ソフィ様の味方であることは間違いありません。(いや、これはマジだって…大陸有数の国相手に喧嘩売れるかよ…異世界テンプレのクソ国家ってわけでもなさそうだし)」


 そう宣言をして真摯に皇帝、皇后を見つめる。


「ふむ…わかった、これ以上の詮索はしないでおこう。そのローブを外せない事にも関係があるのだろう?」

「その通りです、申し訳ありません。しかし、何故ローブを着たまま謁見の許可を?失礼に値するのでは?(暗殺者(アサシン)だったらローブの下に大量の暗器を隠せるぞ?)」


 言外に不用心なのでは?と含みを持たせる言い方をする。


「もし、そなたが儂らに対してよからぬ事を考えて近付いているのなら、先程の城門で事を起こしているであろう。それなのに逃げにくい謁見の間に来る暗殺者等聞いたこともないわ。それに何より儂自身そう簡単にやられやせぬ。元S級冒険者として活躍していたからな。最後にそなたの目と雰囲気だ。」

「目…ですか?」

「歴戦の猛者を感じさせる雰囲気を、持ちながらも、裏の者独特の陰の気配が微塵も感じれぬからな。」


(なにそのチート洞察力…何者だよ…って皇帝か)


「さて、それでは約束の報酬だ。」


 皇帝が目配せすると先程の側近がやってくるので小袋を受け取る。


「確認してもよろしいでしょうか?」

「構わぬ」


 さっそく受け取った小袋を確認すると、驚いたことに白金貨(100万ユノ)が5枚も入っている。


「そなたは最近この辺に来たと聞いた。であれば旅には金が何かと入りようであろう?素直に受け取るといい」


 どうやら考えが顔に出てたようで先に言われてしまったのでそのまま受け取る事にする。


「それと馬の用意もできるぞ?魔法によって改造されているから非常に優秀な馬だ」


(馬か…正直いらないんだよな…普通の馬の上位種程度なら自分で飛んだ方が多分早いし、騎乗ペットならアーテルワイバーンが既に居るしなぁ。)


 アディには広大なMAPゆえにファストトラベルか騎乗ペットによる移動が当たり前であり、様々な乗馬ペットがある中で最上位の黒いワイバーンが彼の持っているペットだ。戦闘には勿論、飛行可能な騎乗ペットの中では一番早く移動できるので上級者達に人気のペットである。

彼女の場合は自身が空を飛べるので気分で使う程度ではあるが手に入れていたのだ。


「いえ、既に私には騎乗ペットがいるので大丈夫です。」

「そうか、ちなみにそれはどんなペットだ?」

「ノワール…いえ。アーテルワイバーンですね。今は呼んでいませんが。」


 アディの頃はキーコマンドで召喚、送還していたのだが、こちらでも同じようで、思い浮かべると召喚キーコマンドが頭の中に浮かび上がるのだ。


「アーテルワイバーンだと!?それに呼んでいないとはどういう事だ?」


 辺りが騒然とする。側近やソフィも同様に驚いているようだ。


「私は一体限定ですが召喚魔法のようなものが使えるのです。」

「ふむ…嘘ではないだろうが…にわかには信じがたいな…」

「よかったらお見せしましょうか?」

「おぉ!本当か?ではよろしく頼む。ここは狭いから余計な混乱を招く前に人払いをしてから訓練場に案内しよう。」

「あなた!それはいくらなんでも危険…と言ってもあなたは聴きませんね…わかったわ、ルース!手配をお願いできるかしら?」

「よくわかっておるではないか、それではよろしく頼むぞ?」

「はっ、承知しました。」


(アーテルワイバーンってこっちだとそこそこ高ランクだもんな。というか別大陸(前作)で手に入れたペットだけど、こっちの大陸でもアーテルワイバーンは居るんだな。)


 等と考えてから10分ほどに人払いが終わったようで案内された訓練場に向かう。

大きさとしてはサッカー場を半分にした程度であろうか?そこそこ広いので問題なく呼び出せそうだ。


「それでは頼む。」


 さっそくペット召喚のコマンドを思い浮かべるとアディの頃に見慣れたウィンドウが浮かび上がるので選択をすると、直径10mはありそうな巨大な魔法陣が浮かび上がり、光り輝く。


 そしてそれと同時に地面から出てくるようにズズッといつもの見慣れたワイバーンが出てくる。


 この姿はまさに圧巻。黒く輝く鱗、強靭な翼と体躯、その鋭い瞳に睨まれた弱者は蛇ならぬワイバーンに睨まれた蛙と言ったところだろう。

 皇帝、側近や同じように観に来ていた騎士団長等一部を除き周りのものはその雰囲気に完全に圧倒されているようだ。


 しかし、彼女はその様子に臆することもなく近付くとまるで撫でてとでも言わんばかりにワイバーンが顔を下げて目を閉じている。

その思い通りに頭を撫でると猫のように気持ち良さそうに喉を鳴らすのだった。


(う〜ん、相変わらずノワールはカッコいいな!それに当たり前だけどゲームの頃とは全然違うな…なんというかまさに生きてるって感じだな。こんな風に戯れてくるなんて事してこなかったもんな。)


「これは…見事なワイバーンだな。アーテルワイバーンの中でも更に上位に位置するのではないか?」

「少なくともアルベルト様と同じSランククラスはあるかと…私達の騎士団でも竜騎兵は下位のワイバーンだというのに…」


(Sランクか…こいつはあの蛇と同じBランクのはずなんだがな。Cから先は強さがインフレしていくけど、やっぱまだ戦争の影響が残っているのか基準が少し高めなんだな。)


「触ってみますか?とっても大人しいので大丈夫ですよ。いいよね?ノワール?」

「グルゥ…グルルゥ!」


 何を言ってるかはわからないが声色的に承諾を貰えたようだ。


「おぉ!是非とも頼む!」


 真っ先に名乗り出た皇帝がワイバーンに近付いていき、翼や体を撫でる。


「グルルゥゥ…」


 どうやら鱗でも感覚があるようで気持ち良さそうに声を出している。


「おぉ…おぉ!これは素晴らしいな。普通ワイバーンと言えば気性が荒く、うちの騎士団のように卵から育てたり、完膚なきまで叩きのめして上位の存在として認めさせねばならないのだが…随分と大人しいのだな。」

「イーリスちゃん、私も触ってみてもいいかしら?」

「えぇ、大丈夫ですよ。」

「…あら、これは素晴らしいなで心地ね。羽毛などの毛並みとはまた違ったいい触り心地ね」


 アルベルトとマリアンヌが触った後には同じく見に来ていたクレイ帝国の近衛騎士団長オスカル=カサスと自己紹介をしてきた人物もイーリスが召喚したワイバーンに触れる。


「素晴らしい鱗だ…美しくも頑強さを感じる、まさに最上位のワイバーン種だな。」

「うむ、我が国の竜騎兵でもこれ程のワイバーンを従えることができれば、大幅な戦力アップとなるだろう。」

「えぇ、我らの竜騎兵も他国よりも勝っていると思っていましたが、これは考えを改める必要がありそうですね。」

「あなた、オスカル、血が騒いで語りだしたくなるのはわかるけれど今は客人の前なのよ、自重なさってください。」

「む…そうであったな。すまん。」


 そのまま戦力会議が始まりそうな流れになるところで皇后が止めに入るのだった。


「しかし、アーテルワイバーンを従え、Bランクの魔物を一撃なぞ其方は本当に何者なのだ?何故娘を助け、更に手の内を見せる?」


 言外に良からぬことを考えておらぬだろうな?と含みを持たせる。


(そりゃ警戒しますよねー。ノワールを出したのはやりすぎだったかなぁ…この国はまだ軽くしか見てないけどそれでも皇帝の人柄も国も素晴らしい事がわかったからこそ、顔を覚えてもらいたくて色々やったんだが…)


「…それは勿論、顔を覚えてもらうためです。正直に言いますとアルベルト様、マリアンネ様、そしてこの国に一目惚れしたからです。」

「ほう?」

「私は最近この国…いえ、この大陸にやってきましたが、それでもこのアルベルト様、マリアンネ様、ソフィ様、そしてお二人に使える御二方の人柄も素晴らしく、そしてこれ程まで栄えた国は見たことがありません。その為に顔を覚えていただきたかったのです。」

「なるほど、そういう事か。ならばその点は安心するがいい、そもそも娘を危機から救ってくれた時点で既に顔は覚えておる。」

「ありがとうございます!」

「ふむ。それならば、そなたを子爵級にもできるぞ?」

「いえ、それは大丈夫です。あまり目立ちたくないので。ですがその代わり冒険者ギルドに入る予定なので目立たない程度で一定のランクまで上げてくださると嬉しいです。」

「わかった、一応聞いてみるが我らの騎士団に入るつもりはないか?」

「確かにこの国は非常に気に入ったので魅力的な提案ではありますが、折角この大陸にやってきたので自分の足で様々な場所を見て回りたいのです。ですが、もし旅を終えても同じ気持ちであるならばその時はお願いしたいです。」

「そうか…安心しろ。我が国では強者はいつでも歓迎だ!先代様が名のある冒険者でな、建国からまだ200年程度の新興国なお陰で強い程に出世できる実力主義国家だからな。」


「(なるほど、やたらと他者に寛容というかここの帝がオープンなのはそういうことだったのか。)わかりました!」


 その後、日が暮れて夜も更けてきたのでひとまず王城にて泊まることにしたイーリスは食事の用意が終わるまで客間にて待つことになるのだった。

ノワールといい蛇といい名づけがそのまんますぎなんだよなァ?

イーリス(作者)のネーミングセンスが壊滅的なのは許してください!

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