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ベルク山岳地帯

えっ?話流れが第1話と変わらない?

き、気のせいですよ…す、すんません、次から変わりますから…!

 エレマ大陸でも建国から数百年しか経っていないにも関わらず最大級の国力を誇る「クレイ帝国」の帝都「マヤミル」へと続く街道の途中にはベルク山岳地帯と呼ばれる場所がある。

 そこは大小様々な山々が連なっており、深い深い渓谷もあれば、ダンジョンと化した洞窟、または盗賊や魔物達の住処となる洞穴などが存在している。

そんな場所から一際大きな爆発音や、怒声が響き渡る。


「第一隊下がれ!魔法の支援が来るぞ!」

「クソ!なんであれだけ魔法に打たれてピンピンしてるんだ!」

「毒吐きに気を付けろ!蒸発時の毒霧を吸ったらおしまいだぞ!」

「ぐあああッ!う、腕がァ…!」


 まさに地獄絵図。尾の一撃により砕かれた鎧からはありえない方向へと曲がった腕や毒霧によって動けなくなった者たちが地面に転がっている。


「このままじゃ…ソフィ様!私達が食い止めます!今すぐに逃げてください!」

「そんな…貴方達はどうするの!?」

「我ら近衛は命を賭けてお守りするのが仕事です!何人かお着けしますのでここはどうかお逃げください!おいお前ら!絶対姫様をお守りするんだぞ!」

「わかりました!隊長…絶対戻ってきてくださいよ!」

「貴方達…わかったわ!馬車を出して!」


 御者に指示を飛ばして、護衛の騎士達も馬を蹴って駆けようとしたその瞬間、アルフと呼ばれた人物の怒声が響き渡る


「なッ!魔法だと…?いや、なんだこの複雑で巨大な魔法陣は…!マズい!皆!離れろ!他の奴らも今すぐ伏せろォ!!!」


 周りの近衛は日頃の訓練の成果を感じさせる素早い対応によって一斉に距離をとったり伏せていく、そして突然の事で対応ができていない姫を庇うように馬車内の侍女達も少し遅れて伏せた瞬間であった。


 伏せて耳を塞いでいたのに周りの音が聴こえにくくなるほどの凄まじい爆音と光が当たり一面を覆いつくしていく。


「クッ…な、何がいったいどうなって…ッ!セルペンテネグロは?!…なっ!」


 煙が晴れ、先ほどまで自分が対峙していた蛇の存在を思い出しそちらに目を向けるとそこには先ほどの忌まわしき蛇の骨格だけが残っているのみであった。


「な、なんという威力だ…先ほどの凄まじい光と骨格だけになったコイツをみる限り聖魔法であることには違いないだろうが、まさかあのセルペンテネグロが一撃でこの有様だなんて…ありえない…」


(先ほどまで対峙していた蛇はBランクに指定されている強力な魔物のはず、団長ならともかく、私達1小隊程度の近衛では時間稼ぎが精一杯…それに先ほどの魔法陣も見たことのない巨大で複雑な魔法陣であったな…いったい誰が?)


 そんな事を考えて辺りを見渡した瞬間、岩の陰から人影が現れる。


「だれだ!?」

「あっと、すいません。驚かせるつもりはなかったんですが…大丈夫でしたか?状況が悪かったようなので助けに入ったのですが…」


 その岩陰から現れたのは銀の髪をした美しい女性であった。



――――――――――――――――――



(うわぁ…まさかジャッジメントがあんなに派手だなんて思わなかったな…Bランク指定っていうと中盤あたりでそこそこ強いから単体系聖魔法では最強の魔法を使ったんだが、一撃とは思わなかったな。この大陸のランク決定基準は結構低いのかな?しかし聖騎士(パラディン)でこれだから大賢者(ワイズマン)でクリムゾンフレアなんか使ってたら、あの人たちはまず間違いなく巻き添えを食らってたろうな、危ない危ない。とりあえず無事を確認しにいくか)


 そう考えてから、岩陰から身を出すと警戒感抜群の鋭い声をかけられる


「誰だ!?」

「あっと、すいません。驚かせるつもりはなかったんですが…大丈夫でしたか?状況が悪かったようなので助けに入ったのですが…」

「…まさかこれをやったのは貴女か?」

「はい、ここを通って帝都へと向かう途中に戦闘音が聞こえたので駆けつけたところ、劣勢だったようなので助けにはいりました。」

「そうか…いや、助かった。情けない事にソフィ様が逃げる時間稼ぎしかできなかったので本当に助かった、ありがとう。私の名前はアルフだ。今回の近衛隊の隊長を勤めている。」

「イーリスです。それならよかったです、ちょっとした回復魔法が使えるのでよかったら治療もお手伝いしますよ」

「本当か!?それは助かる!こっちへ来てくれ」


 連れられて向かった先にはすでに3人ほどの人たちが治療にあたっているようだ。

 同じように腕がありえない方向へと曲がっている者の傍へと駆け寄り回復魔法を唱える。

 聖騎士は単体限定等下位ではあるが治療魔法を使うことができるからだ。


「大丈夫ですか?今治療しますね」

「あ、あぁ…(すっげえ美人…うわ、なんかいい香りがするな…)」


 なにやら曖昧な返事が返ってくるが構わずに治療を開始すると徐々に腕が元の正常な位置へと戻っていく


(うぉぉ…な、なんか不気味だ…しかし攻撃魔法と違って回復魔法はゲームの頃よりもかなり遅いな…数秒で傷が塞がるってわけではないなんて変なところでリアルだな。まぁ、30秒ほどで骨折していた腕が治るだけでも十分異常だが…)


 無事に治療を終えた後は、毒によってやられた者には状態回復魔法等を唱えて同じように治療にあたっていくのだった。


 こうして数分ほど経ったところで全員の治療が終わったかどうか見渡すがそれ以上の負傷者は居ないようだ。すると、先ほどの豪華な馬車から一人の美しい女性が降りてくる


「危ないところを助けていただいてありがとうございました。私の名前はソフィ=クレイル=ヴィンデンブルフと言います。クレイ帝国の第1皇女ですわ。」


 イーリスと同じように腰近くまで伸びた綺麗な金色の髪は太陽の光に照らされて美しく輝いている。

鼻は高く、目はややおっとりした目じりの下がった目、整った眉そして碧く澄んだ瞳で、全体的に大人しそうな印象をうけるが全てにおいて完成されているその顔立ちは間違いなく男達の目をひきつけてやまないだろう。


(おいおい…まさかの大陸最大級国家の第1皇女かよ…っていうかこれまたすっげえ美人だな。何か知り合う女性全員が美人なんだが、これはエレマ大陸には美形が多いのか?まぁ日本人からしたら欧米系の顔立ちは皆美人、美男に見えるもんでもあるが…)


「あ、そんな畏まらなくてもいいんですよ、あなたは私達の命の恩人ですからね。」

「いえ、自分はこの喋り方が素なので…。それにしてもまさか皇女様一行だったなんて…」

「ソフィ様、セルペンテネグロはもう居ませんがなるべく早くココから離れた方がいいです。呑まれた者の骨も拾い、2人の死体も回収したので行きましょう。」

「わかったわ、イーリスさんも王都にてお礼をしたいので着いてきてくれませんか?」


(お礼…第1皇女を助けたとなると王様に謁見とかしそうだが、天人族ってのがバレそうだから遠慮したいけど、王族の誘いって基本的に断れないんじゃないっけ?でもお礼も別に金は間に合ってるからなぁ。でも帝都には最初から行くつもりだったし…うーむ…)


「そうですね…帝都には用事があったのでお願いします。」

「ふふ、それじゃあ一緒に行きましょう?帝都まではまだ距離があるから乗ってくださいな」

「それじゃあお言葉に甘えて、失礼します」


 豪華ながらも趣味の悪そうな金ぴかというわけでもなく様々な場所に意匠を凝らした華美な装飾が施された馬車に乗り込む。


「それでは行きましょう。馬車を出して」


 馬車が進むと同時にとあることに驚かされる


「随分と…揺れが少ないですね。」

「えぇ、王族専用の馬車なので乗り心地はいいんですの。それにしても、イーリスさんはとってもお美しいんですね、私もそこそこ自身の容姿には自信があったのですが、失くしてしまいそうです」

「いえいえ、自分なんてソフィ様に比べたらそんな…」

「あら、褒めても何もでませんよ?でも嬉しいわ。それと公然の前以外では様はいらないわ、命の恩人ですから名前で呼んでください。」

「はい、わかりました。ソフィさん」


 こうして適当な談笑を交えつつ王都へと進み、山を抜け、森を抜ける事数時間。人の往来も多くなるが、その往来の者達の全員が恭しく馬車に礼をしている。


(うわぁ…マジで本物の王族なんだな。これは本当にマズいな、今はインベントリに運よく入ってた輪郭がぼやける擬装のローブを着て羽の膨らみを誤魔化してるけど、謁見とかあったらその時は間違いなくローブを取られるよなぁ。その時になったらなんとかお願いしてみるか)


「着きましたわ、ここが我らの帝都【マヤミル】です。自慢の都市なのでゆっくりしてくださいね」


 馬車の窓から見えたその光景はまさに圧巻。


 恐らく20mはあると思われる非常に巨大な城壁が高く高く聳え立っている。

そして御城であろう一際高い建物を中心に長く長く城壁が続いていて、圧倒的な威圧感を感じさせる。


(うっおォッ…お、思わず変な声が出るところだったぜ。すげえ…すげえ!城壁の端なんて途中から見えなくなってるじゃねえか!い、いったい何kmあるってんだ?しかもあの立派な高い城もノイシュヴァンシュタイン城なんて目じゃねえな…まぁ写真でしか見たことないけどさ)


 その光景に圧倒されながらも馬車は帝都の入り口へと進んでいき、そのまま門番達が規律よく礼をしているのを横目で見ながら城門を潜り、王城へと向かっていくのだった。


3/4追記 この先に出てくる人物がソフィとどうしても同じ印象を与える見た目をしているからです。同時にソフィのキャラ付け上あまり合わない印象だったのもあったので変更しました。

 

 すいません、今までイメージしていた印象ガラっと変えてしまいますが、これが最後の変更になります!

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