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奴隷市場

後書きでかなりしょーもない事書いてるので飛ばしても問題なしです。


無力化するためにカールの腕を斬りおとしてしまったので失血死する前に回復魔法を唱えて腕の部分のみを止血する。


(回復ポーションでもいいんだけど俺の手持ちには最高クラスのしかないからなぁ…ゲーム時代は常に999×5スタックは常備してたから数はともかく問題はその効果が高過ぎる事なんだよな)


 アディには回復ポーションが7段階で分けられてはいるがその効果は単純な回復量の違いだけである。

 店売りではランク5までが最高だが、生産職のみはランク7を生産できるのでプレイヤー経営の露店で購入するのがゲーム時代での常識で、数多く所有するのも大量に買い溜めて減ったら大量に補充をしていたせいだ。


 ちなみにゲーム時代ではこれら回復ポーションのゴリ押しをさせないために1度飲むと20秒間使用できないクールタイムが存在していて、同時にこれらを数秒程度ではあるが、短縮させるスキルや特殊効果エンチャントもある。


 設定フレーバーテキストでは回復アイテムには絶対に必要な下地となる薬品に20秒の間隔を空けずに飲むとポーション酔いとよばれる状態異常になってしまうので使用できない。とされている。


 実は生産する際にはその薬品を使用するようなコマンドや描写はないのだが、ただの設定なのでどっかのタイミングでそれを使用しているのだろう。とイーリスの脳内では結論付けている。


 しかし、そういったゲーム時代の常識は今まで同様現実になってから通用しなくなっていた。


 20秒の間隔が必要なのは変わらないのだが、イーリスの持つ最高クラスの【回復ポーション7】はもはや伝説化していて、現存する最高ポーションですら【回復ポーション5】になっている。


 なお、7クラスになると難関ダンジョンの最深部などは寿命の長いネトゲには避けられぬインフレ火力になっているのでそれに対応する為の回復量を誇っている。

 コストも相応ではあるが、最前線プレイヤーが愛用するポーションなのだが、HPの概念がない現在では欠損した腕の外傷や断面次第では軽く縫っておくだけで手足がくっ付いたり、傷だらけで瀕死の人間が即復活するレベルでもランク5なので、ランク7を使えばどのような効果をもたらすのか…それを想像したイーリスはヴィヴィアンだけならともかくヴェラの居る前では使用しない事にしたのだ。


「カールは衛兵に突き出して罪を償ってもらうのは間違いないんですが、このまま突き出しても問題ないですか?」

「捜査が難航していたのは証拠が全く見つからないことだったので、難しいと思われます。証人としてヴェラ様に出てもらおうにも、この国では下町の住人が買収されて嘘の証言をする事が多発していたので、今現在では下町住人の証言の信頼性は非常に低いですね…」

「そうですか…」


(現代と違って指紋採取なんかの科学的捜査のできないこっちじゃ状況証拠か自白くらいしか証拠にならないもんな。それに濡れ衣、賄賂を使ったでっちあげもありそうだし、この国の警察的組織ははアテにならねえか…。)


「ん…そういえば、彼女達が奴隷として売られる話を聞いた時にも疑問に思ったんですが、アグニス王国では犯罪奴隷以外の奴隷も扱われているという事ですか?」

「はい、クレイ帝国では犯罪を犯した者のみ人身売買をする事を認められていますが、アグニス王国では特にそういった事は規制されておりません。」

「それならカールはその奴隷市場に売り払っちゃうのがアリですが、Bランクと中々に高いのが厄介ですね…」

「そうですね、Bランクにもなると指名依頼も多く依頼され、ギルド側としても頼る事が多くなるので行方不明となれば捜査が行われると思います。」

「うーん…困りましたね…これが低ランクなら問題なかったんですけど…」

「この男はパーティーを組んでいますか?」

「いえ、それはないと思います。最初に会った時は誰も居ませんでしたし、何よりいくら隠していたとはいえ、こんな狂気を持った人間とパーティーを組める冒険者なんて居るとは思えません」

「それなら問題ないでしょう。冒険者が誰にも告げずに別の街に拠点を移すことは珍しくありません。それがソロならば尚更のことでしょう。」

「つまり突然居なくなっても怪しむ者が少ないという事ですか」

「そうなります。」

「それじゃあヴェラさん達を孤児院に送ったら売っちゃいますか」


 足と手だけを縛られていただけなので特に問題なく4人で孤児院へと戻っていく。

 

「院長さん!ヴェラさん達を無事に保護できました。犯人も無事に捕まったのでもう安全ですよ。」

「ほ、本当ですか!ありがとうございます!本当に感謝してもしきれません…!」

「いえいえ、ここの子達が悲しむ顔なんて私は見たくなかっただけですから。」

「イーリスさん、本当に今回は助かりました。私の命の恩人です!」

「あ、あはは…(う、うーんこんな感謝ばっかされると、嬉しい分かゆくてたまらんな…。本当にここの子達には元気に育って欲しいだけなんだが…)と、とりあえずこの男は連れて行く場所があるので大人しいうちに行ってきますね。ヴィヴィアン場所はわかる?」

「はい、案内いたします」


 途中自分と同じくはじめての場所のはずなのにどうしてそんなに正確に位置を把握しているのか聞くと、どうやら合間を縫ってこの都市についての情報収集をしていたおかげ。という答えが返ってくるが、さも当たり前のように言ってしまう辺りは流石は王室メイド長といったところなのだろう。

 

 しばらくそのまま歩くと目的地にたどり着く。


 着いた場所は下町と上街をわける城壁に沿うように建物が立ち並び、メインストリートからは少し外れた場所に位置している。

 

 それでも国内最大規模の奴隷市場なのでその広さと人の多さはメインストリートの露店市場とほとんど変わらぬ賑わいを見せている。恐らくその大きさゆえにメインストリートには収まりきらなかったからここにあるのだろう。

 

 大小様々な建築物が立ち並び、全ての建築物に檻が大量に並びまるでショーウィンドウのようだが、そこに飾られている商品は全て「人」であった。

 意外にも檻に入れられてる者は生気のある顔をしているものも居て、道行く裕福そうな人にのみ様々なアプローチを送っている。いい客に買ってもらう為なのだろう。

 

 そんな光景は「日本」という平和な国の一般的な大学生であった黒川彰人にとっては到底受け入れがたい光景であり、覚悟していても強い衝撃をうけてしまい思わず一言こぼしてしまう。

 

「人が…まるで…物じゃないか…」


 盗賊、殺人者は全員犯罪奴隷という扱いは納得していた彼だったので躊躇いなくカールを奴隷市場に売り払う事を決めたが、何の罪もない人間もこの中にはいるのだろう。

 だが、いきなり見ず知らずの人達全員を助けたいと思う程ではなかった。

 それはそこまでお人好しではなかったのと同時に、自分の周りさえ幸せであればいいという考えの人間だからだ。

 

 これは至極当然な考えでもあるだろう。人間だれしも自分が一番可愛いのだ、自分や自分の周りがよければそれでいい。そんな考えである彼を責める資格のある人間など存在しない。

 

 しかし、だからといってすっぱりと割り切れる程には彼はドライな人間ではなかった。

 そういった様々な思考が入り乱れていき、思わずその場で立ち止まり蹲ってしまう。

 

「…まッ?イー…さまッ!イーリス様!」

「えっ…?」

「どうされました?当然蹲るなんて…どこか具合が悪いのでしょうか?よろしければこの男は私が売っておくので、イーリス様は先に宿にお戻りになられますか?」

「い、いえ。大丈夫です。少し、考え事をしていました。」

「そうですか?…無理は禁物です、辛い時はすぐにおっしゃってください。」

「えぇ、ありがとうね、ヴィヴィアン。」


 なんとか思考を落ち着かせて奴隷市場を回っていくが、ふと一つの檻に目が付く。


「も、もしかして…」


 そう呟き、檻に近づくと思わずその中にいる人間に目を奪われる。

 

 ふさふさとやわらかそうな灰色の毛並みが全身に生えているが、全体的な骨格は人間の骨格をしていて、顔つきもやや人間よりだ。

 人間が毛皮を被っているようなものと思えば一番イメージしやすいだろう。


そう、最初に選べる4種族のうちの一つ「獣人族」と呼ばれる種族が奴隷として捕まっていたのだ。

 

 

(ケ、ケモだーッ!!しかもドストライクのケモ度が高い方のケモだ!!)


 そう、彼は翼フェチでもあり、ケモナーでもあったのだ…

 

「ヴ、ヴィヴィアン…あ、あの店で売りましょう。」

「はい、畏まりました。」


 完全にその獣人目当てであることを隠しながらその店へとはいっていくのだった。

最後に出てきたケモはかいけつゾロリ、名探偵ホームズといった獣度がそこそこ高いケモタイプの子と思えばイメージできると思います。

はい。完全に作者の趣味です!作者としては骨格が獣そのままに二足歩行で服着てるレベルのケモまでイケます!()

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