ダンジョン探索
今回も設定関係の話なので読みにくいうえに話が全く動いてないです…すいません。
目が覚めると昨日と同じようにやはりソフィが腕を抱き枕にしていたので、それをなんとか引き剥がした後は、昨日の調べ事で試したい事ができたので実験をかねてダンジョンへと向かうイーリスとヴィヴィアン。
「マヤミルから一番近いダンジョンは通常ここから2日ほどかかりますが、軍馬を使えば半日まで短縮できるのでご安心ください」
「軍馬で半日ですか…ノワールを出すのは駄目でしょうか?」
「アーテルワイバーンですか…そうですね、王城の裏から出て着地地点はダンジョンから外れの方にいけば人目にほとんど付く事はないので大丈夫でしょう。」
「それじゃあさっそく行きましょう」
王城の裏手に回ると誰も居ない事を確認した彼女はさっそくノワールを召喚し、大きな魔法陣から見慣れた姿のワイバーンが出現する。
「よしよし、今日はハイヤル洞窟に向かうから乗せてね。」
「グルゥ!!」
「イーリス様、よろしければ私もお供します。」
「本当ですか?そういえばヴィヴィアンはこないだも言ってたけど戦闘部のメイド長ですよね?と、いうことは腕には覚えが?」
「はい、武芸には多少の心得がございます」
「それじゃあノワールに乗ってください。」
「二人乗れるんですね、流石はアーテルワイバーンといったところでしょうか」
「そのための二人乗り用の鞍ですから!」
ノワールが乗りやすいように背をさげたのでさっそく二人共に鞍へと座る。それを確認したノワールは翼を大きく広げ羽ばたいた瞬間、急激な加速感と共に空へと大きく駆けていく。
「これは素晴らしい速度ですね…それなのに全く風を感じない。」
「この鞍には確か風魔法の特殊効果エンチャントがありますから。」
「そんなものが…凄いですね!」
「どんどん飛ばしますよ!」
そのままぐんぐんとスピードをあげていき、凄まじい勢いで周りの風景が流れていく。
それから数時間といったところで、雲に隠れて天辺が見えないほどの巨大で、長大な山が見えてくる。
イーリス達が着いたダンジョンはハイヤル洞窟と呼ばれるエレマ大陸でも有数の巨大なダンジョンだ。
帝都からもっとも近くにあるのと同時に帝都マヤミルの自然の要害としても聳え立つ「ハイヤル山脈」は一番高いところで標高1万mに達する巨大な山なため環境の厳しさもあるが、魔獣達の住処にもなっており、そのハイヤル山脈にできた洞窟とは名ばかりの階層上になった巨大なダンジョンと化している。
当然ながらゲーム時代にもダンジョンがあり、そこへと潜る事で装備の強化、入手などをしていた。
現実となった今でも変わらずにあるダンジョンはそれぞれ内部の違いは大きく変わり、通常の地域では考えられないほどの大量の魔獣も住み着いているのでいつ死んでもおかしくない場所ではあるが、同時にもっとも稼ぎ所となる場所でもある。
非常に幅の広い使用用途となる魔石が倒した魔獣から採れるだけでなく、そこにのみ生息する魔獣の素材、薬草、そして死んだ冒険者の装備等がダンジョンの地面に吸収され、その後自動的に宝箱として定期的に出現したり、そのダンジョン固有の強力な装備が極稀に入っているので、それらを狙ってやってくる冒険者が後を絶たないのだ。
そのダンジョンは帝都からもっとも近くにあるのと同時に帝都マヤミルの自然の要害としても聳え立つ「ハイヤル山脈」は環境の厳しさもあるが、魔獣達の住処にもなっており、そのハイヤル山脈にできた洞窟が巨大なダンジョンと化している。
全てのダンジョンにはそれぞれ上もしくは下方向に階層が存在していて、ゲーム時代では一定の層ごとによってセーブポイントのような物があった。
例えば10階層まで一度潜ったらそこに限り地上行きの転移魔法が使えるので、戻ったら補充、休憩等をして再び潜るということを繰り返す事ができた。
戦争とダンジョンは無関係であったおかげで今でもその機能は残ってはいるので問題はないが、ノーリスクだったゲーム時代とは異なり、転移時には重量に応じて魔力は取られてしまうので多くの場合は自力で潜り、自力で上がってくるというのが主流になっている。
そんなダンジョン付近までやってきたが、帝都から最寄りかつ最大級の大きさを誇るダンジョンなだけあり、かなり人通りが多いので人が少ない場所を探して飛び回る。
「この高度ならまず見つからないけど、どの辺に降りますか?」
「山の影に隠れれば大丈夫ですよ。」
「わかりました。…いや、ヴィヴィアンちょっといいですか?」
「…?はい、なんでしょうか。きゃっ!?」
少し試したい事があったので、ヴィヴィアンをお姫様抱っこすると、驚いたのか普段の凜とした態度からは思いもよらない可愛らしい声が上がる
「イ、イーリス様?」
「ノワールは結構大きいから人の少ないとこでも万が一を考えて…こうしたほうがいいかなって!」
そう言った瞬間、空中に魔法陣が現れ、そこにノワールが沈んでいく。
騎乗スキルを解除したためだ。
一瞬落下する感覚を覚えるが、すぐにそれは浮遊感へと変わる。イーリスがその白く大きな翼を広げて高度を維持したからだ。
「さて、このまま降りますね」
「は、はい…。」
周りに気を配りながら負担をかけない範囲で急いで下に降りたので、ヴィヴィアンの顔が真っ赤に染まっていた事に気が付かぬまま無事に下へと着地した後はすぐさまローブを羽織り、降りた時の風で若干乱れた髪を綺麗に直す
「それじゃあ行きましょう。…ヴィヴィアン?どうかしましたか?」
「あっ、い、いえ。なんでもありません、失礼しました。」
「…?」
何故目をそらし若干俯いているのか不思議に感じながらダンジョンの入り口へと向かうのだった。
「しかし、なかなかの人の数ですね。」
「ハイヤル洞窟は帝都に最も近いだけあって利用者は最も多いです。入り口もここだけじゃなくて他にも色々ありますよ。…その分未帰還者も多いんですが。」
(それでもダンジョンの利用者は増え続けるという事はそれだけ魅力的でもある…ってことか。まぁ、入っていく冒険者たちも死ぬ可能性があるのは覚悟の上だろうし、自業自得だから関係のないことだな。)
「わかりました、それじゃあ気を付けていきましょう。」
さっそくダンジョンの入り口へと入り、奥へと進むと通路が二つに分かれている。冒険者らしい装備をした人たちは皆左側に。馬車などを連れた商人らしいキャラバンは右側にむかっている。
「これは…?」
「右側は隣国、アグニス王国へと繋がる道ですね。単純な国力や領土の広さでいえばエレマ大陸最大の国家です。…その分国内外に関わらずあまり評判のいい王国とは言えませんが、このハイヤル山脈のおかげで侵攻を何度も退けていますよ」
「なるほど。ここはクレイ帝国最前線でもあるんですね。だから外側ではなく、内側向かってにこれだけ立派な要塞があったわけですか」
「はい。今回はダンジョンに向かうので左側になります。」
ヴィヴィアンに促された左側へと向かう。すると…
「なんだか関所みたいなのがありますね」
「最上層ならGランクが適層階なので、そのチェックをするための場所ですね。一定階層ごとに同じものがいくつもありますよ。」
「なるほど…」
イーリス達の場合はDランクなので問題なく進む。ヴィヴィアンも何故かギルドカードを持っていので聞いてみると急遽ルースによって用意されたとのことだった。
イーリス達の場合は最高位ジョブゆえの高い魔力量を持っているうえにかなりの軽装なので、さっそく転移魔法でDランク適正階層まで降りようとし近づいたときだった…転移魔法が光り輝いたかと思うと、血だらけでボロボロの3人の冒険者がその場に現れる。
「ぐぅっ…お、おい誰か助けてくれ…金なら渡すから…」
どうやら見慣れた光景なのだろう。数人ほどの冒険者たちがその3人を介抱する。
(体はボロボロの割にインナー等は無事だし、かなりの軽装なのを見る所魔獣にやられた為、魔力を補うための緊急脱出用の魔石辺りを使用してこの転移魔法を起動したってところか。誰も助けないなら軽く治療してあげようとは思ったが、大丈夫そうだな)
「私たちも気を引き締めていきましょう。」
「はい。」
さっそく転移魔方陣を起動し、下の階層へと転移するのだった。




