冒険者ギルド
ムダに長くなった…でもこういう登場人物も好きなんです…読みにくいかもしれませんがよろしくお願いします!
戦闘狂達に押され危うくホモォ…な展開になりそうな所をヴィヴィアンに助けてもらい、慌ててその場を離れたイーリスはちょうど昼時を回っていたのでヴィヴィアンに頼んで食事を運んでもらい、その時に誘ったソフィと共に食事を摂ることにする。
「イーリスは帝都をいつ旅立つ予定なのかしら?」
「そうですね、多分明日には立とうと思ってますよ。とはいえ自分のペースでゆっくりと回るつもりなので、滞在してもいいのならもう少しゆっくりと楽しんでからにするつもりです。」
「本当!?恥ずかしながら私と同い年の友達は実はイーリスが初めてなの…勿論ヴィヴィアンや、他の侍女との仲は良いのだけれど、やっぱり従者と君主でしょう?イーリスのように外からの友達というのは初めてだからとっても嬉しいの!だから帰ってきたら色んなお話を聞かせてね!」
「ええ、勿論ですよ!聞いてるだけで旅立ちたくなるような楽しい旅の話を沢山用意してくるので覚悟してくださいね?」
「ふふふ、楽しみにしてるわ!」
そんなやり取りをしながら食事を終えた後は、旅で動きやすいよう冒険者ギルドへ入るために推薦状を書いてもらいに皇帝の執務室を尋ねる。
そしてノックをすると返事が返ってくるので中へと入る
「失礼します。」
「そなたか、推薦状の件だろう?すでに出来ておる。」
どうやら既に書き終わっていたようなので、ルースから推薦状を受け取る。
「目立たぬ程度にと言っていたので、一般的に一人前として見られるDランクにあげるように書いておいたぞ?…しかし本当に良いのか?Bランク魔獣だけでなくオスカルにも勝つその強さ…間違いなくAランク上位以上に入ることができるぞ?」
「いえ、大丈夫です。あまり人の目に立つような事は好きじゃないんです。…普通にしていても目立ちがちなので。」
「そうであろうな、儂でもそなた程に整った顔をした者は数える程しか知らぬ。とはいえソフィには負けるがな!フハハハハ!」
(親バカ乙…まぁ確かにうちの娘にも匹敵する可愛さではあるのは間違いないが、うちのイーリスが一番に決まってんだろォ!)
完全に自分の事は棚の上にあげている彼であった。
その後適当に相槌をうち、親バカモードに突入しかけている皇帝を側近が引き止めた所で、皇帝の執務室を出た後はさっそくギルド本部へと向かう。
足早に王城から出たイーリス達二人は門番に敬礼をされながら出て行く
なお、ヴィヴィアンの今の格好はメイド服を着替えて従士のような控えめの服装をしている。
これは王城に勤めるメイドがギルド本部のある下町に降りてくる事はないので、目立つことを避けた為だ。
「うーん、やっぱりこの姿だと目立ちますね…チラチラと目を向けられます。」
「イーリス様はお美しいですから、皆さん目を奪われるのでしょう。」
「ヴィヴィアンさんもとっても綺麗な人ですよ?ほら、ヴィヴィアンさんに目がいっている人もいるじゃないですか。」
「お褒めに預かり光栄です。イーリス様。」
そんなやり取りをしながら貴族街を歩いていると、金銀で作られた車体には宝石が散りばめられた凄まじく悪趣味な馬車が走っているのをみかける
(うぉ…な、なんだあの馬車。ソフィと乗ってきた馬車は確かに豪華だったけど、ただ豪華なだけじゃなくて凄いなって思ったけど…あれは酷いな。目に毒なレベルだぞ…ありえねー。)
と、そんな事を考えていると、その馬車が何故かイーリスの前に止まる。
凄まじく嫌な予感がしたので急いで回れ右をしたその瞬間…
「これはこれは…なんと美しいお嬢様でしょうか…御付きの方もまた素晴らしい。どうして背を向けるのでしょうか?」
ねっとりとまとわりつくような太った人間特有の声色、そしてそちらに体を向けなくてもわかるほどに向けられる気色の悪い視線を全身に感じながらも、居酒屋バイトをしていた時の営業スマイルを思い出しながら、ゆっくりと振り向く。
「こ、これはき、貴族…様…わ、私の様な者に何かご、御用でしょうか?」
凄まじく動揺しながらもなんとか顔は崩さずにお約束のような台詞吐き出す。
(き、き、キメェェェェ!!!な、なんだあれ!?に、人間か?フロッグフットなんじゃねぇのか!?)
フロッグフットとはEランク魔獣に指定されている体長2m程の丸々と太った蛙の魔獣だ。
体が粘膜で覆われており、刃が通りにくいが、火に対して完全に無力であり、火炎瓶を当てるだけで倒す事のできる雑魚魔獣だ。
とはいえ、その太った体の大部分を占める脂はこちらでいう動物性油脂の役割をしており、食用や燃料など庶民の間で広く利用されるので、槌などの鈍器系でタコ殴りにして倒すのが常識となっている。
(まだ図鑑と絵でしか見たことねーけど…あんな豚みたいな人間初めて見たぞ…)
そう、イーリスに話しかけてきたその男性は思わず蛙の魔獣に例えてしまう程に醜悪な見た目をしていた。
でっぷりと膨れ上がった腹、脂が至るとこにつき、ぶよぶよになっている手足、そして顎は肉がつきすぎて三重にもなっていて、肌は浅黒く、血色も悪い。
さらにその来ている服もこれまた馬車にも引けを取らない金銀の刺繍に散りばめられた宝石によって、少なくとも人間が着るようには見えない程に光り輝いている。
一度見たら夢に出た来そうな程にその男は醜悪な見た目をしていた。
更にはその男から凄まじくねっとりした品定めでもするかのような鳥肌立ちまくりの視線を向けられるのだ。これに恐怖しない人など一人も居ないだろう。
「ぐふ、いやなに。領地の視察を終え帰宅途中であった所で見た事のない程にお美しいお嬢様方がおりましてな。ご挨拶をしようと思いましてな、私の知る限りではこの貴族街では見た事のないお方ですが、どこの家系の方でしょうか?」
「(キモいキモいキモい…喋るなそんな目を向けるな口を開くな息をするな…はっ!)い、いえ私は貴族ではありません…」
「貴族ではない…?…平民が何故この貴族街に?」
先程までの紳士的態度から一辺、急に見下したような口調と素振りをみせる。
「先程まで王城に居ましたが、下町に用があったので、貴族街を通っている最中でした。」
「平民が王城に…?冗談はよせ、貴様のような平民が皇帝様に用などのあるわけなかろう。」
「いえ、本当の事でございます。それはこの王室メイドであるヴィヴィアンが保証いたします。」
「…フンッ、そんな格好をした王室メイドなど居るわけがなかろう。」
「(しまった…!今の服は外行き用の服…何か身分を証明する物は…)」
「おい、貴様。名はなんという?」
「イ…えっと、ル、ルディナです。」
「喜べルディナ、本来平民がこの貴族街に無許可で入るなど重罪であるが、貴様は今日から儂の側室となるから見逃してやろう。それにそこのヴィヴィアンとやら。王室メイドなんぞを騙るなど本来ならばこれも重罪だがその顔に免じて許してやるから来い。」
「(マズいわね…ジャコモ様はあまり評判の良い方ではないとは伺っていたけれど、まさかここまで傲慢な方だったなんてなんて…)それはお断りします。もし、本当に偽物ならば私は今から王城に行ってその真偽を確かめて参ります。」
「フンッ、とかなんとかいって一人で逃げるつもりだろう?おい、お前ら!こいつらを馬車に連れ込め!」
私兵らしい人物達がイーリスを囲み、馬車に連れ込もうとしたので、実力行使に出るかとイーリスが身構えた時だった。
「おい、ジャコモ。貴様何をしている?」
「なにって、この者を馬車に…なっ!?」
その声をする方向に私兵、そしてジャコモが声のする方向り目を向ける。
そしてその人物は、なんとアルベルトの側近、ルースであった。
「馬車…?何を言っている、この者はアルベルト様の客人だぞ?そんな悪趣味な馬車に乗せるなど、アルベルト様に泥を塗るつもりか?」
「め、め、め、滅相もご、ごさいません!!ちょ、ちょっと視察帰りの疲れか判断がに、鈍っていまして…し、失礼しました!おい!貴様ら!もう行くぞ!」
貴族とは思えないような無様な逃げ足でその場を大急ぎで離れていく。
「全く、あんなんでも貴族としてはそこそこできるからタチが悪い…っと、我が国の貴族がとんだご無礼を…どうか許してほしい。」
「私も着いて居ながらに何もできずに申し訳ありません!」
「そんな!私には何もなかったんですから!大丈夫なので二人とも顔をあげてください!」
腰を90度に曲げて見た事のない程の綺麗な謝罪にあたふたしつつルースとヴィヴィアンを嗜める(たしなめる)イーリス。
「…感謝します。後でジャコモにはキツく注意を言い渡しておくのでご安心ください。あのジャコモはあまり評判が良くありませんが、評判のいい貴族もいるんですよ」
「そうでしょうね、あんなにも王に相応しい方は居ないと思います。アルベルト様には自然と着いていこうと思える気持ちになりますよ。」
「そうですね…アルベルト様は本当に素晴らしいお方です。」
「ええ、本当にそう思います…それでルースさん、なんで貴族街に?」
「いえ、ここに暮らすとある貴族に用がございまして。そこに向かっている最中にイーリス様を見つけたのですが、何やら様子がおかしかった物ですから」
「なるほど…改めてありがとうございます」
「いえいえ、客人をもてなす者として当然の事をしたまでです。」
その後は特に何かある訳でもなく貴族街を出た後はギルド本部へとたどり着く。なお、やはり顔立ちによってトラブルが起きてしまったので、顔を隠せる服装をしていないヴィヴィアンを除いて、フードを深く被っている。
「うわぁ…す、凄い活気ですね。」
本部へと向かう途中もまた感動の連続であった。
露店からの熱気や匂いによって引き付ける食品関係の露店、冒険者らしき屈強な格好をした男性が眉間に皺を寄せ、露店の品物を物色している。
その光景はゲーム時代では感じられなかった人々の生気を感じ取れる程の活気だった。
「このギルド本部は各地に散らばるギルド支部の本部ですからね、ここの活気は帝都の中でも相当ですよ。」
内部は3階まで吹き抜け構造をしており、外部から見た感じでは5階建てのようだ。
一階部分は酒場らしく、少し遅れた昼食を摂るものもいれば、まだ昼間にも関わらず、すでに酒盛りをしている者など様々だ。二階の一部にも酒場の席があるらしく二階からも騒ぐ声が聞こえてくる。
そしてその広さも中々の物があり、ギルドカウンターらしき所には、これまた見目麗しい受付嬢が何人も座っていて、鼻の下をだらしなく伸ばした男性冒険者の対応をしているのが伺える。
更にはイケメンの男性受付員も何人か居るらしく、こちらは女性冒険者の応対をしている。
受付の一角には高さ2m長さは10m程もありそうな巨大な掲示板が置いてあり、沢山の冒険者達がその掲示板と睨めっこしている。
(うひゃー…こりゃゲーム時代とは比べ物にならん活気だな…ゲーム時代じゃどこいっても受注、達成、依頼を請け負う3人しか居なかったもんなぁ。)
「えっと、これはどこの列に並べばいいんでしょうか?」
「仕切りを挟んだ右側は依頼達成報告、失敗などを担当しており、左側の依頼受付カウンター依頼の受注、取り消しに合わせて新規受付も兼ねていますので、推薦状も合わせて渡すと良いかと思われます。」
言われるがままに受付に並び、自分の番が来たので早速受付嬢にギルド新規登録の旨を伝える
「ギルドの新規登録ですね?それではここに必要事項を記入してください。文字が書けない場合は代筆も受けております。」
早速言われた通りに名前、年齢、性別、ジョブ等々を書き込んでいく。
なお、ジョブは聖騎士とは書けないので下位のジョブである戦士と書き込む。
「それと、これもお願いします。」
「推薦状ですね、推薦人は…えっ!?」
推薦状自体はそこまで珍しくもないので、慣れた手つきで封を開けようとした瞬間、その封をしていたシールを見て驚愕する。
「(お、王室紋章の封…!?な、何者なの!?)か、確認いたします…」
震える手でゆっくりと封を開け、紙を取り出す。
しかし、その紙は更に紐の様な物で軽く三つ折りされていて、一枚の紙が一緒に入っている。何かと思いその紙を読むと…
「(この推薦状はギルドマスターのみに見せる事…!?ひ、ヒェッ…)しょ、少々お待ちください…!」
「…?は、はい?」
慌てて立った為に椅子が音を立てて倒れるが、直す暇なく奥のへと消えていく。その慌てぶりと音に後ろに並んでいた冒険者や隣の列に居た受付嬢、冒険者達は訝しそうな目でイーリス達を見つめる。
(おいおい、皇帝様…一体何を書いたんだ…めっちゃ目立っとるやん…)
そんな事を考えつつ、刺さる視線に気が付かぬフリをしている事数分…先程のギルド受付嬢が慌てた様子で戻ってくる。
「お、お待たせしました。奥でギルドマスターがお待ちです。ど、どうぞこちらへ…」
「えっ?あ、はい…」
見た事のない(顔が見えないのもあるが)冒険者に付く赤毛の美人が居る時点で実はそこそこ目立って居たのだが、その対応の異常さに更に目立っており、当初の目的はすでに完全に崩れてしまっているイーリスであった。
「し、失礼します。お連れいたしました。」
「入れ。」
短く帰ってきた返事に応対して入ると、そこには2mはありそうな筋骨隆々なこれまた皇帝に負けない程の迫力を持つ男性が座っていた。
椅子や机も特注らしく、隣の秘書用らしきデスクとのサイズは大きく違っている。
「お前たちがイーリスか?…アメーリア、ご苦労だった。下がっていいぞ」
「は、はい!失礼します!」
「…さて、早速本題に入ろう。正直、ここに書いてあることは信じられないのだが、皇帝直筆の推薦状なのだから信じざるおえん…何者なのだ?と聞きたいのは山々だが、深く追求はするな。と書いてあるのでやめておこう。しかし、目立たぬように取り計らう事と書いてあるが、王家からの推薦状を書いてもらう時点で目立ちまくっているのだから少々無理があるのではないか…?」
「あ、あはは…確かにアメーリアさんに推薦状を渡した時は慌てて奥へと消えていったので凄く目立ってましたね…」
「一応、その辺も見込んでか対応も穏便にとは書いてあるが、いくらギルド本部の受付嬢とはいえ驚かない方が無理があるぞ。本来ならいつもの推薦状の様にDランクカードを渡せばいいだけなのだがな…」
「あ、あははは…」
「まぁ、よい。ここに書いてある通り、Dランクカードを渡そう。…これがDランクカードだ。それとギルドの説明は?」
「お願いします。」
ギルドマスターから教えてもらった事はゲーム時代とさほど変わらないようだ。
まず、冒険者ギルドに入らなければ世界各地にあるランク分けされた迷宮、ダンジョンには入る事ができない事。
勿論、そのランクに対応しなければ入る事は許されない。
次に冒険者は街から街へと転々とする者も居るので、ギルドカードが身分証明となる事。
その為、ハンスがゴナイの町へと入る際に見せていたのはギルドカードだったようだ。
冒険者ギルドには依頼が来る事も多く、ダンジョンでモンスターの素材を売ることで生計を立てるものも居れば、その依頼報酬によって生計を立てるものもいる。
依頼ランクもまたランク分けされているので、こちらも下のランクを受けることは可能だが、上のランクを受けることはできないようになっている。
ランクはHから始まりH、G、F、E、D、C、B、A、S、SSまで存在している。
ギルドカードはCまでは色分けされていて赤、黄、緑、青、紫まで分けられており、CからSSは素材が変化して銅、銀、金、ミスリル銀、オリハルコンとなっているようだ。
なお、H~Dまでは条件を満たすだけでランクが上がっていくが、Cから先は更に試験に合格しなければならなくならず、更に全体的な難易度も大幅に上がっていく為にCから先は急激に人数が減っていくことになる。
「なるほど…わかりました。」
「とはいえ、ここに書いてあることが事実ならばすぐにでもCランクに上がることは可能だろう。期待しているぞ?」
「…ちなみにそこに書いてあることとは?」
「Bランク魔獣を独りで、しかも一撃で消し飛ばしたことや、あの鉄壁のオスカルをタイマンで負かした等と書いてあるぞ?これらは全て本当なのだろう?」
「そ、そうですね…で、でも公言はしないでくださいね?」
「わかっている、ここの手紙にもそう書いてある。Sランクギルドマスターとして公言しないとここに誓おう」
「ありがとうございます!」
こうしてなんとか冒険者ギルドに入れたイーリスはギルドマスターの部屋から退室したあとは、1階に降り、すでに手遅れだが目立たぬ用足早にギルド本部を出ようとするが…
「おい、そこのねーちゃん達。いったい何やらかしたんだい?」
やはり冒険者達によって呼び止められてしまうのだった。
ギルドのランク関係について修正しました。
そんなに大きな変更ではないんですが、ランクのバランス関係は割と勢いで決めてしまったところがあり、少しおかしくなってしまったので前の話をあわせて修正しました。
今後はこういった事が起きないようにしたいと思います。




