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闇夜の爪  作者: べこちゃん
闇を撫でる爪
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千歳は小船から水の底を眺めている。

日の光が水面に反射して輝き、水底は苔が一面に覆われて人工河川は美しい緑を彩っている。

彼女は左手を水に浸ける。波紋が辺りに広がっていき、水底が揺らめく。

クロウはそれを隣で静かに見つめていた。

あれから一週間がたったが彼らは未だにウォーター・ビレイにいた。

シェル・キャトルの一件により、嫌と言う程の取り調べを受ける事になってしまったからだ。

特に千歳はコロンの無断使用などにより、かなり問いつめられた。

だが、それにより一つの事実が分かった。

ニナ・ヘイズルという名の軍人は存在しなかった。

千歳の話を聞いた軍人が調べた結果それが分かったのだ。

また、それは愚か基地の監視カメラには千歳の姿は映ってはいたが、ニナの姿は影すら見あたらなかったという。

結局、彼女の正体は分からぬまま千歳が解放されたのはつい先程の事であった。

冷たい水に指を晒しながら千歳は波紋を見つめながらため息をつく。

あれから、彼女は元気がない。

それは感情の起伏が少ないクロウですら気にする程であった。

しかし、彼はどう彼女に接したら良いのか分からないでいた。

自分の右手を見つめる。

非常に大きな手だ。

そして、自分の右手を水面を見つめている千歳の頭に優しく置いた。


「……何ですか?」億劫そうに言う千歳。


「大した意味はない」クロウはいつもの通り答えた。


「そうですか」



素っ気なく答えると、千歳はすぐに水面を見つめ直す。

自分が落ち込んだ時、兄はいつも黙って頭を撫でてくれた。

彼女はそれを思い出す。

気がつけば自然と笑みを浮かべている。

クロウはそれに気づいたのだろうか、彼も微かに笑みを浮かべていた。


序章はこれにて完結


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