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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第91話:『おばちゃん、リオの“本当の絶望”に触れる』

リオの心の工房の奥へと進むと、

空気が急に冷たくなった。


ユウトの声が遠くから聞こえる。


「おばちゃん!!

 なんか……空気が変わったで……!」


トモエは静かに答えた。


「せやな……

 ここから先は、リオくんの“本音”が眠っとる場所や」


カイルの声が続く。


「心の最深部……

 そこには、本人すら気づいていない“本当の絶望”があるはずです」


リリアは胸に手を当てた。


「リオさん……

 どれだけ苦しかったんだろう……」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 覚悟を持って進んでください。

 ここから先は……

 あなた自身の心も揺らぎます」


トモエは深呼吸した。


(リオくん……

 あんたの心、絶対に守ったる)


---


◆ ◆ ◆


◆ 心の最深部 ―― “真っ暗な部屋”


工房の奥にある扉を開けると、

そこは――

真っ暗な部屋だった。


光も、音も、風もない。

ただ、重たい沈黙だけが広がっている。


ユウトが震える声で言う。


「おばちゃん……

 ここ……怖い……」


カイルは静かに言った。


「これは……

 “心が完全に閉じた状態”……

 リオさんは……

 自分の心を守るために、

 すべてを閉ざしてしまったんです」


リリアは涙をこらえた。


「こんなに……

 真っ暗になるほど……

 リオさん……

 苦しかったんだ……」


セイルは頷いた。


「心の最深部が暗闇に包まれるのは、

 “自分の存在を否定した時”です」


トモエは一歩踏み出した。


(リオくん……

 あんた、どれだけ一人で抱えとったんや)


その瞬間――

暗闇の奥から声が聞こえた。


『……来ないで……

 ここは……

 ぼくの……

 “終わり”だから……』


トモエは息を呑んだ。


---


◆ ◆ ◆


◆ 暗闇の中のリオ


暗闇の奥に、

リオが座り込んでいた。


現実のリオよりも幼く、

弱々しく、

まるで“心の中の子ども”のようだった。


ユウトが涙声で言う。


「リオ兄ちゃん……

 なんでこんなとこに……!」


リオは顔を上げた。


その瞳は――

完全な絶望を宿していた。


「……ぼくは……

 誰の役にも立てない……

 魔道具も……

 うまく作れない……

 失敗ばかりで……

 迷惑ばかりで……

 だから……

 ここにいる……」


リリアは涙をこぼした。


「そんな……

 そんなことないよ……!」


カイルは震える声で言った。


「リオさん……

 あなたは……

 ずっと頑張ってきた……

 誰よりも……!」


セイルは静かに言った。


「しかし……

 心が折れた者は、

 “自分の価値”を見失う。

 リオは……

 自分を許せなかったのでしょう」


トモエはリオの前にしゃがみ込んだ。


「なぁ、リオくん。

 あんた……

 ほんまに自分のこと、そんなふうに思っとったんか?」


リオは震えた。


「……ぼく……

 誰かに必要とされてるなんて……

 思えなかった……

 だから……

 心の欠片を……

 手放した……」


トモエはリオの手を握った。


「必要とされてへんなんて、誰が言うたんや?」


リオは小さく首を振った。


「……誰も……

 言ってない……

 でも……

 ぼくが勝手に……

 そう思って……」


トモエは優しく言った。


「それが“心の影”や。

 あんたの心が疲れすぎて、

 自分を責めてしもたんや」


リオは涙をこぼした。


「……ぼく……

 本当は……

 誰かに……

 助けてほしかった……

 でも……

 言えなかった……」


トモエはリオを抱きしめた。


「言うてええんやで。

 弱音吐いてええんや。

 泣いてええんや。

 あんたは一人やない」


リオは声を上げて泣いた。


その瞬間――

暗闇が揺れた。


---


◆ ◆ ◆


◆ 絶望の影の出現


暗闇の奥から、

巨大な影が姿を現した。


空白の影とは違う。

これは――

リオの“絶望”そのものだった。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 あれ……!!」


カイルは震える声で言った。


「絶望の影……

 リオさんが自分を否定し続けた結果……

 生まれた影……!」


リリアは涙声で言った。


「こんなの……

 リオさん……

 どれだけ苦しかったの……!」


セイルは静かに言った。


「絶望の影は、

 “自分の存在を否定した心”が生む影。

 空白の影が戻ろうとしたことで、

 この影が表に出てしまったのです」


影は低い声で言った。


『……リオは……

 自分を……

 許せない……

 だから……

 ぼくが……

 ここにいる……』


トモエは影に向かって言った。


「リオくんは許したいんや。

 せやけど……

 怖いだけや」


影は揺れた。


『……許せない……

 許したら……

 また失敗する……

 また迷惑をかける……

 だから……

 許せない……』


トモエは影に近づいた。


「失敗してええんやで」


影は震えた。


『……え……?』


「失敗するのが人間や。

 失敗して、悩んで、泣いて……

 それでも前に進むんや。

 あんたは……

 リオくんの“絶望”やろ?

 なら……

 リオくんの“希望”も知っとるはずや」


影は揺れ、

暗闇が少しだけ薄くなった。


リオが涙を流しながら言った。


「……ぼく……

 もう一度……

 自分を……

 信じたい……」


影は静かに言った。


『……なら……

 ぼくは……

 消える……』


トモエは首を振った。


「消えんでええ。

 あんたはリオくんの一部や。

 消えるんやなくて――

 “落ち着いたらええ”」


影は小さく揺れ、

リオの胸の中へと溶けていった。


暗闇がゆっくりと光に変わっていく。


---


◆ ◆ ◆


◆ 現実へ戻る


光が広がり、

トモエは現実へ戻ってきた。


リオは涙を流しながら目を開けた。


ユウトが叫ぶ。


「リオ兄ちゃん!!

 大丈夫なん!?」


リオは涙を拭いながら微笑んだ。


「……うん……

 ぼく……

 もう一度……

 自分を信じてみる……」


カイルは胸を撫で下ろした。


「絶望の影……

 完全に落ち着きました」


リリアは涙を拭った。


「よかった……

 本当に……よかった……」


セイルは静かに言った。


「しかし……

 空白の影はまだ世界に存在します。

 リオの欠片は戻りましたが……

 他にも“欠片”を失った者がいるかもしれません」


トモエは立ち上がった。


(心の欠片を失った人……

 まだおるんかもしれへん)


「よっしゃ。

 次の影――

 探しに行こか」


虎柄シャツが揺れ、

おばちゃんは再び歩き出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第91話では、

リオの心の最深部で“絶望の影”と向き合う回

が描かれました。


空白の影の正体は、

リオが失ってしまった“自信”の欠片。


そしてその欠片が戻ろうとしたことで、

リオの心の奥に隠れていた

“絶望の影”

が姿を現しました。


おばちゃんはその絶望を否定せず、

抱きしめ、

受け止め、

“落ち着かせる”という優しい解決を選びました。


今回も改善点として:


• 日常の温かい朝食シーン

• キャラの掛け合い

• 読者が共感しやすい悩み(自信喪失・自己否定)

• 心の世界の丁寧な描写

• おばちゃんの成長

• 次回への強い引き



これらを自然に物語へ組み込みました。


次回、第92話では

空白の影が“なぜ生まれたのか”という核心に迫る回

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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