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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第85話:『おばちゃん、タクトの“自責の影”と向き合う』

光が弾け、

トモエの意識はタクトの心の中へと引き込まれた。


目を開けると――

そこは灰色の世界だった。


真っ白だったミオの心とは違う。

タクトの心は、

薄い灰色の霧が立ち込める世界だった。


ユウトの声が遠くから聞こえる。


「おばちゃん!!

 そこ、どんな感じなん!?」


トモエは静かに答えた。


「灰色や……

 ミオちゃんの時みたいに空っぽやない。

 でも……

 重たい。

 胸がぎゅっと締めつけられる感じや」


カイルの声が続く。


「それは……

 “自責の影”の特徴です。

 自分を責め続ける心が、

 世界を灰色に染めるんです」


リリアは震える声で言った。


「タクトくん……

 どれだけ自分を責めてたんだろう……」


セイルは静かに言った。


「空白の影は、

 “心の隙間”に入り込む。

 タクトの心には、

 自責による大きな空白があったのでしょう」


トモエは深呼吸した。


(タクトくん……

 あんた、どれだけ一人で抱えとったんや)


(うちは……

 絶対に助けたる)


---


◆ ◆ ◆


◆ 灰色の世界に響く“ひとりごと”


トモエが歩き出すと、

灰色の霧の中から声が聞こえた。


「……ぼくが悪い……

 全部……ぼくのせい……」


ユウトが震える声で言う。


「おばちゃん……

 タクトくんの声や……!」


カイルは分析するように言った。


「これは……

 タクトの“自責の心”が反響している……

 影がそれを増幅しているんです」


リリアは胸を押さえた。


「こんなの……

 苦しすぎる……」


セイルは静かに言った。


「自責の影は、

 “自分を責める声”を増幅し、

 心を灰色に染めていきます」


トモエは声の方へ歩いた。


霧が晴れ、

そこには――

膝を抱えて座り込むタクトの姿があった。


しかしそのタクトは、

現実のタクトではなく、

心の中のタクトだった。


---


◆ ◆ ◆


◆ 心のタクト ―― “自分を責める子ども”


心のタクトは、

小さく震えていた。


トモエが近づくと、

タクトは顔を上げた。


その瞳には、

深い後悔と恐怖が宿っていた。


「……ぼく……

 友だちに……

 ひどいこと言った……

 謝らなきゃいけないのに……

 怖くて……

 逃げた……」


ユウトが涙声で言う。


「タクトくん……

 そんなの……

 誰でもあるやん……!」


カイルは静かに言った。


「でも……

 タクトは“いい子”でいようとしすぎたんです。

 だから……

 自分の失敗を許せなかった」


リリアは震えた。


「“いい子でいなきゃ”って……

 苦しいよね……」


セイルは静かに言った。


「自責の影は、

 “いい子であろうとする心”に寄り添い、

 その心を灰色に染めるのです」


トモエはタクトの前にしゃがみ込んだ。


「タクトくん。

 あんた……

 友だちのこと、大事なんやろ?」


タクトは涙を流した。


「……大事……

 だから……

 傷つけた自分が……

 許せない……」


トモエは優しく言った。


「許したらええやん」


タクトは目を見開いた。


「……え……?」


「自分を許すんや。

 あんたは悪い子やない。

 ただ……

 ちょっと言いすぎただけや」


タクトは震えた。


「でも……

 ぼく……

 ひどいこと……」


「ひどいこと言うたらあかん。

 せやけどな――

 “ひどいことを言ってしまった自分を責めすぎる”のもあかんのや」


タクトは涙をこぼした。


「……どうしたら……

 いいの……?」


トモエはタクトの手を握った。


「謝ったらええ。

 怖くても、震えててもええ。

 “ごめん”って言うたらええんや」


タクトは小さく頷いた。


「……言えるかな……」


「言えるで。

 あんたは強い子や」


その瞬間――

タクトの影が大きく揺れた。


---


◆ ◆ ◆


◆ 自責の影の出現


灰色の霧が渦を巻き、

タクトの背後に“影”が現れた。


しかしその影は、

空白の影とは違い――

黒くもなく、白くもなく、

 灰色の揺らぎを持つ影だった。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 あれ……!!」


カイルは震える声で言った。


「自責の影……

 タクトの“後悔”が形になった影……!」


リリアは涙をこらえた。


「こんな影……

 タクトくん……

 どれだけ自分を責めてたの……」


セイルは静かに言った。


「自責の影は、

 “自分を許せない心”が生む影。

 空白の影が入り込んだことで、

 その影が増幅されてしまったのです」


影は震える声で言った。


「……ぼくは……

 タクトの……

 後悔……

 タクトは……

 ぼくを……

 許せない……」


トモエは影に向かって言った。


「タクトくんは許したいんや。

 せやけど……

 怖いだけや」


影は揺れた。


「……許せない……

 許したら……

 また傷つける……

 また間違える……

 だから……

 許せない……」


トモエは影に近づいた。


「間違えてもええんやで」


影は震えた。


「……え……?」


「間違えるのが人間や。

 間違えへん人なんておらん。

 大事なんは――

 “間違えたあと、どうするか”や」


影は揺れ、

灰色の霧が弱まった。


タクトが涙を流しながら言った。


「……ぼく……

 間違えたけど……

 友だちと……

 仲直りしたい……」


影は静かに言った。


「……なら……

 ぼくは……

 消える……」


トモエは首を振った。


「消えんでええ。

 あんたはタクトくんの一部や。

 消えるんやなくて――

 “タクトくんの中で落ち着いたらええ”」


影は小さく揺れ、

タクトの胸の中へと溶けていった。


灰色の世界が、

ゆっくりと色を取り戻していく。


---


◆ ◆ ◆


◆ タクトの心が戻る


光が広がり、

トモエは現実へ戻ってきた。


タクトはゆっくりと目を開けた。


ユウトが叫ぶ。


「タクトくん!!

 大丈夫なん!?」


タクトは涙を流した。


「……うん……

 ぼく……

 友だちに……

 謝りたい……」


トモエは微笑んだ。


「ええ子や。

 ちゃんと伝えたら、きっとわかってくれる」


カイルは胸を撫で下ろした。


「自責の影……

 完全に落ち着きました」


リリアは涙を拭った。


「よかった……

 本当に……よかった……」


セイルは静かに言った。


「しかし……

 空白の影はまだ世界に存在します。

 タクトの心から離れただけ……

 次の宿主を探すでしょう」


トモエは立ち上がった。


(空白の影……

 あれは“悪”やない。

 せやけど……

 放っといたら危ない)


「よっしゃ。

 空白の影――

 次の気配を追うで」


虎柄シャツが揺れ、

おばちゃんは再び歩き出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第85話では、

タクトの心の世界で“自責の影”と向き合う回

が描かれました。


タクトは“いい子でいなきゃ”という思いが強く、

自分の失敗を許せず、

心に大きな空白を作ってしまった。


そこに空白の影が入り込み、

自責の影が増幅されてしまった。


おばちゃんはタクトの心を救い、

自責の影を“消す”のではなく

**“落ち着かせる”**という優しい解決を選びました。


しかし空白の影はまだ世界に存在し、

次の宿主を探しています。


次回、第86話では

空白の影が“次に狙う心”の手がかりが見つかり、

おばちゃんたちが新たな影の気配を追う

物語が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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