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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第84話:『おばちゃん、次に狙われた心を見つける』

ミオの心を救い、

空白の影を追い払った翌日。


トモエたちは街の広場に集まっていた。


ユウトが心配そうに言う。


「おばちゃん……

 空白の影って……

 まだ街のどっかにおるんやろ……?」


トモエは頷いた。


「せや。

 ミオちゃんから離れただけで、

 消えたわけやない」


カイルは地図を広げながら言った。


「昨日の影の残滓……

 まだ街のあちこちに残っています。

 完全に消えるまで、

 影は“宿主”を探し続けるはずです」


リリアは胸に手を当てた。


「空白の影……

 感情を奪う影……

 そんな影が広がったら……

 世界がまた苦しむ……」


セイルは静かに言った。


「空白の影は、

 “心の隙間”を探す影。

 心が弱った者、

 迷っている者、

 孤独を抱えた者……

 そういった心に入り込みます」


トモエは拳を握った。


(空白の影……

 あれは悪意やない。

 せやけど……

 放っといたら危ない)


「よっしゃ。

 次の影の気配、探しに行くで」


---


◆ ◆ ◆


◆ 街の外れ ―― 不自然な静けさ


影の残滓を追って歩くと、

街の外れにある古い倉庫へ辿り着いた。


ユウトが首をかしげる。


「おばちゃん……

 なんかここ……

 静かすぎへん?」


カイルは魔力を探りながら言った。


「影の気配……

 微弱だけど確かにある……」


リリアは震える声で言った。


「空白の影……

 ここにいる……?」


セイルは静かに頷いた。


「この倉庫……

 “心の揺らぎ”が集まっています。

 誰かが……

 ここで影に触れたのでしょう」


トモエは倉庫の扉を押し開けた。


中は薄暗く、

埃っぽい空気が漂っていた。


その奥に――

一人の少年が座り込んでいた。


---


◆ ◆ ◆


◆ 次の宿主 ―― “自分を責める少年”


少年は膝を抱え、

うつむいて震えていた。


ユウトが息を呑む。


「おばちゃん……

 あの子……!」


カイルは少年の影を見つめた。


「影が……

 揺れている……

 でも……

 ミオの時とは違う……」


リリアは胸を押さえた。


「この子……

 “自分を責めてる”……

 そんな影の揺れ方……」


セイルは静かに言った。


「空白の影は、

 “心の隙間”に入り込む。

 この少年は……

 自分を責めるあまり、

心に大きな空白を作ってしまったのでしょう」


トモエは少年の前にしゃがみ込んだ。


「なぁ。

 あんた……

 名前は?」


少年は小さく答えた。


「……タクト……」


ユウトが優しく言う。


「タクトくん……

 何があったん?」


タクトは震える声で言った。


「……ぼく……

 昨日……

 友だちとケンカして……

 ひどいこと言ってしまって……

 謝ろうと思ったけど……

 怖くて……

 胸が……

 空っぽになって……」


リリアは涙をこらえた。


「タクトくん……

 そんなに自分を責めなくても……」


カイルは影を見つめた。


「タクトの影……

 “自分を責める痛み”で揺れている……

 そこに空白の影が入り込もうとしている……!」


セイルは静かに言った。


「空白の影は、

 “自分を責める心”に寄り添う。

 その心を奪い、

 空白にしてしまうのです」


トモエはタクトの手を握った。


「タクトくん。

 あんたの心、

 うちが守ったる」


タクトは涙を流した。


「……助けて……

 ぼく……

 消えてしまいそうで……

 こわい……」


トモエは頷いた。


「大丈夫や。

 うちはここにおる」


その瞬間――

タクトの影が大きく揺れた。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 影が……!!」


カイルは震える声で言った。


「空白の影が……

 タクトの心に入り込もうとしてる!!」


リリアは涙声で言った。


「止めないと……!!」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 タクトの心の中へ……

 再び入る時です」


トモエはタクトの肩に手を置いた。


「タクトくん。

 うち、あんたの心に入ってもええか?」


タクトは涙を流しながら頷いた。


「……お願い……

 ぼく……

 もう一人じゃ……

 耐えられない……」


トモエは目を閉じた。


(タクトくん……

 あんたの心、絶対に守ったる)


光が弾け、

トモエの意識は――

タクトの心の中へと引き込まれた。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第84話では、

空白の影が“次に狙った心”――タクトという少年

が明らかになりました。


タクトは、

友だちとのケンカで自分を責めすぎ、

心に“空白”を作ってしまった。


その隙間に、

空白の影が入り込もうとしている。


空白の影は悪意を持たない。

ただ“空っぽ”であることが怖くて、

誰かの心を奪おうとする。


おばちゃんはタクトの心を守るため、

再び心の世界へ踏み込む決意をしました。


次回、第85話では

タクトの心の世界で、

おばちゃんが“自責の影”と対峙する

物語が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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