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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第80話:『おばちゃん、世界の揺らぎを感じる』

新しい世界が始まってから、

穏やかな日々が続いていた。


光と影が調和し、

人々は互いに寄り添い、

街には優しい空気が流れている。


トモエは朝の光を浴びながら、

家の前で洗濯物を干していた。


「ふぅ〜……

 今日もええ天気やなぁ」


ユウトが元気に飛び出してくる。


「おばちゃん!

 今日の朝ごはん、最高やったで!!

 おかわり三杯いけたわ!」


トモエは笑った。


「食べすぎや。

 でも元気なのはええことや」


カイルとリリアも家から出てきた。


カイルは空を見上げながら言った。


「世界が変わってから……

 空の色が本当に綺麗になりましたね」


リリアは微笑んだ。


「影が優しくなったから……

 人の心も軽くなったんでしょうね」


セイルは静かに頷いた。


「世界は調和へ向かっています。

 しかし――

 調和は“終わり”ではなく“始まり”です」


トモエは首をかしげた。


「始まり……?」


セイルは答えず、

ただ静かに空を見つめた。


---


◆ ◆ ◆


◆ 街の広場 ―― 小さな違和感


街の広場に着くと、

昨日と同じように人々が集まっていた。


しかし――

トモエはすぐに気づいた。


(なんや……

 空気がちょっと違う)


ユウトが首をかしげる。


「おばちゃん……

 なんか静かやない?」


カイルも周囲を見渡した。


「人は多いのに……

 声が少ない……?」


リリアは胸に手を当てた。


「なんだか……

 ざわざわする……」


セイルは静かに言った。


「世界の影が……

 揺らいでいます」


トモエは眉をひそめた。


「影の王は……

 元気やったはずやろ?」


セイルは頷いた。


「ええ。

 影の王は安定しています。

 しかし――

 “世界の影”は影の王だけではありません」


トモエは息を呑んだ。


(世界の影……

 影の王以外にも……

 何かあるんか?)


そのとき――

広場の中央で、

一人の少年が突然倒れた。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 あの子!!」


人々が駆け寄る。


少年は苦しそうに胸を押さえ、

震える声で言った。


「……こわい……

 なんか……

 胸が……苦しい……」


トモエは少年の手を握った。


「大丈夫や。

 落ち着き」


しかし――

少年の影が、

微かに揺れていた。


リリアが息を呑む。


「おばちゃん……

 あの影……

 なんか……変……!」


カイルは震える声で言った。


「影が……

 “ざわついている”……

 こんなの……初めてです……!」


セイルは静かに言った。


「これは……

 “影の乱れ”です」


トモエは少年の影を見つめた。


(影が……

 不安定になっとる)


(なんでや……

 影の王は安定しとるはずやのに)


少年は涙を流した。


「……こわい……

 なんで……

 こんな気持ち……」


トモエは少年の背中をさすった。


「大丈夫や。

 あんたは一人やない」


その瞬間――

少年の影がふっと静まり、

呼吸が落ち着いた。


ユウトが胸を撫で下ろす。


「よかった……

 ほんまによかった……!」


カイルは眉を寄せた。


「でも……

 今の影の揺らぎ……

 ただ事じゃない……」


リリアは震える声で言った。


「影が……

 不安を吸いすぎている……?」


セイルは静かに言った。


「世界の影が調和したことで、

 “新しい影”が生まれ始めています」


トモエは息を呑んだ。


「新しい影……?」


セイルは頷いた。


「光と影が調和した世界では、

 “影の質”が変わる。

 それは良いことでもあり……

 同時に“未知”でもある」


トモエは拳を握った。


(新しい影……

 それは……

 まだ誰も知らん影)


(うちは……

 また動かなあかんのかもしれん)


---


◆ ◆ ◆


◆ 夜の訪れ ―― 影の王からの“警告”


その夜。

トモエは一人、公園に向かった。


風が吹き、

影が揺れる。


ふと――

影が足元に寄り添った。


『……トモエ……』


トモエは静かに言った。


「影の王か。

 今日のこと、知っとるんやろ?」


影の王の声は、

どこか不安げだった。


『……世界の影が……

 揺らいでいる……

 ぼくにも……

 理由がわからない……』


トモエは息を呑んだ。


「影の王でも……

 わからんのか?」


影の王は静かに答えた。


『……これは……

 “新しい影”……

 ぼくが生まれる前には……

 存在しなかった影……』


トモエは拳を握った。


「新しい影……

 それが……

 世界を揺らしとるんか?」


影の王は震える声で言った。


『……トモエ……

 ぼくは……

 怖い……

 この影は……

 ぼくの知らない影……』


トモエは影に手を伸ばした。


「大丈夫や。

 あんたは一人やない」


影の王は静かに言った。


『……トモエ……

 お願い……

 この影を……

 見つけて……』


トモエは頷いた。


「任せとき。

 うちは光の継承者や。

 新しい影でも……

 向き合ったる」


影の王の声は、

風に溶けて消えた。


---


◆ ◆ ◆


◆ 新しい影の気配


翌朝。

トモエは仲間たちに話した。


ユウトは拳を握った。


「おばちゃん!

 また旅に出るんか!?」


カイルは真剣な表情で言った。


「新しい影……

 それは世界の“未知”……

 僕たちも行きます」


リリアは震えながらも頷いた。


「影が苦しんでいるなら……

 放っておけません……!」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 あなたの次の旅が始まります。

 “新しい影”を探す旅が」


トモエは深く息を吸った。


(新しい影……

 未知の影……

 世界が変わったことで生まれた影)


(うちは……

 また歩き出すんや)


「よっしゃ。

 行こか、みんな。

 新しい影を探しに」


虎柄シャツが朝日に揺れ、

おばちゃんは再び歩き出した。


新しい世界の“次の物語”が、

静かに幕を開けた。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第80話では、

新しい世界で起こる“最初の異変”

が描かれました。


影の王が安定しているにもかかわらず、

世界の影が揺らぎ始める。


それは――

“新しい影”の誕生。


光と影が調和したことで、

世界は新しい段階へ進み、

その中で“未知の影”が生まれ始めています。


おばちゃんは再び立ち上がり、

新しい影を探す旅へ向かう決意を固めました。


次回、第81話では

新しい影の“最初の手がかり”が見つかり、

おばちゃんたちが新たな旅へ踏み出す

物語が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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