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第8話:『おばちゃん、魔法学校で大実験される』

翌朝。

トモエは宿屋の朝食を食べながら、昨日の授業のことを思い返していた。


「子どもら、ほんま元気やったなぁ……。うち、先生向いてるんかもしれへんわ」


ミーナが笑いながら言った。


「おばちゃんさん、昨日の子どもたち、ずっと“おばちゃん先生また来るかな”って話してましたよ」

「ほんまかいな。嬉しいわぁ」


スープを飲み干し、トモエは立ち上がった。


「ほな、今日も学校行ってくるわ。エリナ先生に挨拶せなアカンしな」

「いってらっしゃい。気をつけてくださいね」


虎柄シャツを揺らしながら、トモエは魔法学校へ向かった。


---


◆ 魔法学校の朝


校門に着くと、すでに子どもたちが集まっていた。


「おばちゃん先生、おはよう!」

「今日も授業してくれる?」

「昨日の続きしたい!」


トモエは笑った。


「今日はエリナ先生おるから、うちは補助やな。でも、時間あったらまたやるで」


子どもたちは大喜びで教室へ走っていった。


そこへ、エリナ先生が姿を見せた。


「おばちゃんさん、おはようございます」

「おはようさん。昨日はお疲れさんやったな」

「いえ、こちらこそ……本当に助かりました」


エリナは少し困ったような顔をした。


「実は……今日、上級教師の方々が“おばちゃんさんの魔力を見たい”と言っていまして」

「え、うちの魔力?」

「はい。昨日の市場の件もあり、あなたの魔力が“異質で強力”だと噂になっているのです」


トモエは頭をかいた。


「また噂になってもうたんか……」

「悪い噂ではありません。むしろ、皆さん興味津々で……」


エリナは申し訳なさそうに言った。


「もしよければ、今日の午前中、魔力測定の“特別実験”に協力していただけませんか?」

「実験……?」

「はい。もちろん危険なことはしません。魔力の流れを調べるだけです」


トモエは少し考えた。


(まぁ、うちの魔力で誰かの役に立つならええか)


「ええよ。やったるわ」

「ありがとうございます!」


---


◆ 魔力研究室へ


エリナに案内され、トモエは学校の奥にある「魔力研究室」へ向かった。


部屋の前には、白衣のようなローブを着た教師たちが集まっていた。


「この方が……噂の?」

「虎柄の……?」

「魔力暴走の……?」


トモエは苦笑した。


「なんや、うちの噂って変な方向に行ってへん?」

「い、いえ! 尊敬の意味で……!」


教師たちは慌てて頭を下げた。


研究室の中には、水晶の柱や魔法陣が並んでいる。


「ここに立っていただき、魔力を少しだけ流してください」

「少しだけな? 昨日みたいにドーンってならへん?」

「大丈夫です。こちらで調整しますので」


トモエは魔法陣の中心に立った。


「ほな、いくで……“マナフロー”」


――ふわぁぁぁぁ。


水晶の柱が淡く光り始めた。


教師たちがざわつく。


「すごい……!」

「魔力の純度が高い……!」

「こんな数値、見たことがない!」


トモエは不安になった。


「ちょ、ちょっと……大丈夫なん?」

「大丈夫です! むしろ素晴らしい結果です!」


エリナが説明した。


「おばちゃんさんの魔力は、この世界の魔力とは“性質が違う”ようです」

「性質が違う?」

「はい。まるで……“外の世界の力”そのもののような……」


トモエは首をかしげた。


「うち、ただの大阪のおばちゃんやで?」

「それが……信じられないほどの魔力を持っているのです」


教師の一人が言った。


「おばちゃんさん、もう少しだけ魔力を……」

「ええけど、ほんまにちょっとだけやで?」


トモエは手をかざした。


「マナフロー……っと」


――ドォォォォォンッ!


水晶の柱が眩しい光を放ち、研究室全体が震えた。


「ひぃぃぃっ!」

「ま、魔力が溢れてる!」

「制御装置が……!」


エリナが叫んだ。


「おばちゃんさん、ストップ!」

「ストップ!」


――ピタッ。


光が止まり、研究室は静かになった。


教師たちは呆然としていた。


「……すごい」

「これほどの魔力、王都の大魔導師でも……」

「いや、もしかするとそれ以上……」


トモエは頭を抱えた。


「うち、またやらかしたん?」

「い、いえ! むしろ大発見です!」


エリナが微笑んだ。


「おばちゃんさんの魔力は“人を助ける力”に特化しているようです」

「助ける力……?」

「はい。昨日の市場の件も、魔力供給も、子どもたちの魔法も……すべて“良い方向”に働いています」


トモエは胸に手を当てた。


(うちの魔力……誰かの役に立つんや)


---


◆ 子どもたちの歓迎


研究室を出ると、子どもたちが待っていた。


「おばちゃん先生!」

「実験どうやった?」

「また魔法見せて!」


トモエは笑った。


「実験はな……まぁ、ちょっとドタバタしたけど、無事やったで」

「おばちゃん先生、すごいんやろ?」

「うち? ただの大阪のおばちゃんや」


子どもたちは笑った。


「でも、すごいおばちゃんや!」

「魔法いっぱい教えて!」

「今日も授業して!」


エリナが言った。


「おばちゃんさん、午後の授業……少しだけ手伝っていただけますか?」

「もちろんや」


---


◆ 午後の授業


午後の授業は、昨日よりもさらに賑やかだった。


「おばちゃん先生、見て!」

「水玉が丸くなった!」

「昨日より大きい!」


トモエは一人ひとりに声をかけた。


「ええやん、上手やで」

「その調子や」

「焦らんでええ。ゆっくりやり」


子どもたちはどんどん自信をつけていった。


---


◆ 帰り道


授業が終わり、トモエは学校を後にした。


ユウトが隣で言った。


「おばちゃん、今日もすごかったね」

「せやな……なんか、毎日騒動起きてる気がするわ」

「でも、全部いい方向に行ってるよ」

「そう言うてくれると嬉しいわ」


トモエは空を見上げた。


異世界の空は、今日も優しい色をしていた。


「よっしゃ。明日も頑張るで」


虎柄シャツが夕風に揺れた。

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