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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第76話:『おばちゃん、新しい世界の夜明けを見る』

光と影が調和したあと、

影の神殿は静かに輝いていた。


黒い霧は完全に消え、

代わりに柔らかな光が満ちている。


ユウトが目を丸くした。


「おばちゃん……

 なんか……空気が変わったなぁ……!」


カイルは神殿の壁に触れながら言った。


「影の気配が……

 穏やかになっている……

 まるで“呼吸”が整ったみたいだ……」


リリアは胸に手を当てた。


「世界が……

 軽くなったような……

 そんな感じがします……」


セイルは静かに頷いた。


「光と影が調和したことで、

 世界の“痛みの流れ”が変わったのです。

 これから世界は……

 新しい姿へと変わっていくでしょう」


トモエは影の王――少年の方を向いた。


少年は穏やかな表情で立っていた。

その瞳には、もう絶望の色はなかった。


「光の継承者……

 本当にありがとう」


トモエは微笑んだ。


「礼なんていらん。

 あんたはずっと……

 誰かに助けてほしかっただけや」


少年は小さく頷いた。


「うん……

 でも……

 あなたが来てくれたから……

 ぼくは……

 もう一度、立てた」


ユウトが涙をこらえながら言う。


「影の王……

 もう苦しまんでええんやな……?」


少年は優しく微笑んだ。


「もう大丈夫。

 でも……

 ぼくは“影”として……

 世界を見守り続ける」


カイルが息を呑む。


「影の王は……

 消えるわけじゃないんですか?」


少年は首を振った。


「影は消えない。

 痛みも、悲しみも、

 怒りも、孤独も、絶望も……

 全部、人が生きる証だから」


リリアは涙を拭った。


「影は……

 悪ではない……

 そういうことですね……」


少年はトモエを見つめた。


「光の継承者……

 あなたが選んだ未来は……

 “影を抱きしめる世界”。

 ぼくはその影として……

 優しく在り続ける」


トモエは少年の頭を撫でた。


「ええ子やな。

 あんたはもう……

 世界の敵やない。

 世界の“心”や」


少年は涙を浮かべた。


「……ありがとう……

 トモエ……」


---


◆ ◆ ◆


◆ 影の王との別れ


少年の身体が、

ゆっくりと光に包まれ始めた。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 影の王……消えてまうん!?」


少年は首を振った。


「消えるんじゃない。

 “世界に還る”んだ」


カイルは息を呑んだ。


「世界に……還る……?」


少年は微笑んだ。


「ぼくはこれから……

 世界の影として、

 人々の心に寄り添う。

 痛みを奪うんじゃなく……

 痛みを“抱きしめる影”として」


リリアは涙をこらえた。


「優しい影……

 そんな影が……

 世界に必要なんですね……」


セイルは静かに言った。


「影の王は、

 本来の役目を取り戻したのです。

 世界の影は……

 世界の心を守る存在へと戻った」


少年はトモエに向かって手を伸ばした。


「光の継承者……

 あなたが選んだ未来を……

 ぼくは守る。

 だから……

 あなたも……

 あなたの光を……

 世界に向けてほしい」


トモエは少年の手を握った。


「任せとき。

 うちは……

 これからも光を届けるで」


少年は嬉しそうに微笑んだ。


「……ありがとう……

 トモエ……

 さよならじゃないよ。

 また……会える」


光が弾け、

少年の姿はゆっくりと消えていった。


その光は、

世界中へと広がっていった。


---


◆ ◆ ◆


◆ 新しい世界の夜明け


光が収まると、

神殿の外に朝日が差し込んでいた。


ユウトが目を輝かせた。


「おばちゃん!!

 朝や!!

 世界が……

 新しくなったみたいや!!」


カイルは深呼吸した。


「空気が……

 軽い……

 影が優しくなっている……」


リリアは涙を浮かべながら微笑んだ。


「世界が……

 生まれ変わったんですね……」


セイルは静かに言った。


「光と影の調和が成された今、

 世界は新しい時代へと進みます。

 痛みは消えない。

 でも……

 痛みに寄り添う影がある世界です」


トモエは朝日を見上げた。


(影の王……

 あんたはもう一人やない)


(世界は……

 光と影が一緒に歩む世界になったんや)


「よっしゃ。

 帰ろか、みんな」


ユウトが笑った。


「うん!!

 おばちゃんと一緒に帰る!!」


カイルも頷いた。


「帰りましょう。

 新しい世界へ」


リリアは微笑んだ。


「おばちゃんさん……

 本当に……ありがとうございました」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 あなたの旅は終わりました。

 しかし――

 あなたの光は、これからも世界を照らすでしょう」


トモエは虎柄シャツを翻し、

仲間たちと共に歩き出した。


新しい世界の夜明けを背に受けながら。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第76話では、

影の王との別れ、そして光と影が調和した新しい世界の始まり

が描かれました。


影の王は敵ではなく、

“世界の心を守る影”として本来の姿へ戻り、

世界は光と影が共にある未来へ進み始めました。


おばちゃんの旅は一区切りを迎え、

新しい世界の夜明けを見届けることができました。


次回、第77話では

旅の余韻、仲間たちとの帰路、

そしておばちゃん自身の“これから”

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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