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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第72話:『おばちゃん、影の王の心の中へ』

影の王と手を取り合った瞬間、

神殿全体が大きく揺れた。


光と影が渦を巻き、

世界そのものが震えているようだった。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 大丈夫なん!?」


カイルは魔力の流れを読みながら言った。


「これは……

 光と影の“共鳴”……!

 影の王の心が、おばちゃんに触れようとしている……!」


リリアは胸を押さえた。


「こんな……

 こんな強い波動……

 初めて……!」


セイルは静かに言った。


「光の継承者が影の王と触れ合うとき、

 “心の世界”が開かれます。

 おばちゃんさんは今……

 影の王の心の奥へ入ろうとしているのです」


トモエは影の王の手を握り返した。


(影の王……

 あんたの心……

 見せてくれるんやな)


(うちは……

 逃げへんで)


光が弾け、

トモエの意識は――

影の王の心の中へと引き込まれた。


---


◆ ◆ ◆


◆ 影の王の心 ―― “世界の涙”が降る場所


目を開けると、

そこは広大な闇の世界だった。


しかし、ただの闇ではない。


空からは、

透明な“涙”が降っていた。


地面には、

割れた心の欠片が散らばっていた。


ユウトの声が遠くから聞こえる。


「おばちゃん……

 ここ……どこなん……?」


カイルの声も響く。


「これは……

 影の王の心の世界……!」


リリアは震える声で言った。


「こんな……

 こんな悲しい世界……

 見たことない……」


セイルの声が静かに響く。


「影の王は、

 世界中の悲しみを背負っている。

 この涙は……

 世界の涙です」


トモエは胸が締めつけられた。


(世界の涙……

 あんた……

 こんなものを一人で抱えてきたんか)


そのとき――

闇の奥から、

影の王の声が響いた。


『……光よ……

 これが……我の心……』


トモエは声の方へ歩き出した。


---


◆ ◆ ◆


◆ 世界の影の正体


闇の中心に、

影の王が立っていた。


しかしその姿は、

先ほどよりも小さく、

弱々しく見えた。


まるで――

一人の人間のようだった。


トモエは近づき、

静かに言った。


「あんた……

 こんなところで……

 ずっと一人で泣いとったんか?」


影の王は震える声で答えた。


『……我は……

 世界の影……

 世界の痛み……

 世界の絶望……

 すべてを背負って……

 ここに立っている……』


ユウトの声が震える。


「そんな……

 そんなの……

 一人で背負えるわけないやん……!」


カイルは拳を握った。


「影の王は……

 世界の“負の感情の受け皿”……

 だから……

 こんなにも苦しんで……!」


リリアは涙を流した。


「影の王は……

 悪じゃない……

 ただ……

 世界の痛みを抱えすぎただけ……!」


セイルは静かに言った。


「影の王は、

 “世界の心の影”。

 誰かが抱えきれなかった痛みが、

 すべてここに集まっているのです」


影の王は、

トモエを見つめた。


『……光よ……

 我は……

 もう立っていられない……

 世界の痛みが……

 重すぎる……』


トモエは影の王の手を取った。


「立たんでええ。

 倒れてもええ。

 泣いてもええ。

 弱くてもええ」


影の王は揺れた。


『……光よ……

 我は……

 弱くても……

 いいのか……?』


トモエは頷いた。


「ええよ。

 影は弱さやない。

 影は……

 “心が生きとる証拠”や」


影の王は涙を流した。


『……我は……

 ずっと……

 誰かに……

 そう言ってほしかった……』


トモエは影の王を抱きしめた。


「言うたる。

 何回でも言うたる。

 あんたは一人やない」


影の王の身体が光に包まれ、

闇が少しずつ薄れていった。


---


◆ ◆ ◆


◆ 世界の影の“本当の姿”


闇が晴れたあと、

影の王の姿は変わっていた。


黒いローブは消え、

そこに立っていたのは――


一人の少年。


ユウトが息を呑む。


「おばちゃん……

 影の王……

 子どもや……!」


カイルは震える声で言った。


「影の王の本体は……

 “世界の痛みを背負わされた少年”……!」


リリアは涙をこらえた。


「こんな……

 こんな小さな子が……

 世界の影を……?」


セイルは静かに言った。


「影の王は、

 本来は“世界の心の守り手”。

 しかし、世界の痛みが増えすぎて……

 少年の姿のまま、

 影に飲まれてしまったのです」


少年――影の王は、

トモエに向かって微笑んだ。


「……ありがとう……

 光の継承者……

 あなたが……

 来てくれて……

 嬉しかった……」


トモエは少年の頭を撫でた。


「うちは来たで。

 あんたを救うためにな」


少年は涙を流した。


「……もう……

 泣いても……いい……?」


トモエは優しく言った。


「泣き。

 泣いてええんやで」


少年は声を上げて泣いた。


その涙は――

世界の涙だった。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第72話では、

影の王の心の中へ入り、“世界の影”の本当の姿が明らかになる

という、物語の核心が描かれました。


影の王は敵ではなく、

“世界の痛みを背負わされた少年”。


世界中の悲しみ、絶望、孤独、怒り……

誰も抱えきれなかった感情が、

すべて少年に集まってしまった結果、

影の王という存在になってしまった。


おばちゃんはその痛みを受け止め、

少年の涙を認め、

影の王の“本当の心”に触れました。


次回、第73話では

影の王の涙が世界にどんな変化をもたらすのか、

そしておばちゃんが最後に選ぶ“光と影の未来”

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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