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第7話:『おばちゃん、魔法学校で授業する』

リューネの朝は、今日も柔らかい光に包まれていた。

宿屋の窓から差し込む陽光を浴びながら、トモエは大きく伸びをした。


「よっしゃ、今日も頑張るでぇ……って、今日は魔法学校の日やったな」


昨日の市場騒動の疲れが少し残っていたが、子どもたちの笑顔を思い出すと自然と力が湧いてくる。


宿屋の女将・ミーナが声をかけてきた。


「おばちゃんさん、今日も学校に行くんですよね?」

「せや。子どもらが“また来て”って言うてくれたからな」

「ふふ、子どもたちに大人気ですねぇ」

「うちはな、子どもに好かれるタイプやねん」


ミーナは笑いながら、温かいスープを差し出した。


「これ飲んで、元気出してくださいね」

「ありがとうなぁ。ほんま、ここの宿は居心地ええわ」


スープを飲み干し、トモエは虎柄シャツを整えて宿屋を出た。


---


◆ 魔法学校へ向かう道


学校へ向かう途中、街の人々が次々と声をかけてくる。


「おばちゃん、おはよう!」

「昨日の市場、助かったで!」

「今日も学校行くんやろ?」


トモエは笑顔で手を振った。


「みんな元気やなぁ。うちも負けてられへんわ」


ユウトが駆け寄ってきた。


「おばちゃん! 今日も一緒に学校行こ!」

「おはよう、ユウト。今日も案内頼むで」

「うん!」


二人は並んで歩きながら、昨日の話をした。


「おばちゃん、昨日の魔力供給、ほんまにすごかったよ」

「いやぁ……ちょっとやりすぎたけどな」

「でも、街のみんな喜んでたよ」

「そう言うてくれると嬉しいわ」


学校が見えてくると、子どもたちの声が聞こえてきた。


「おばちゃん来た!」

「おばちゃん先生や!」

「今日も魔法教えて!」


トモエは苦笑しながらも、胸が温かくなった。


---


◆ エリナ先生からのお願い


校門の前で、エリナ先生が待っていた。


「おばちゃんさん、おはようございます」

「おはようさん。今日もよろしく頼むで」

「実は……お願いがありまして」


エリナは少し困ったような顔をした。


「今日、私が急な会議で授業に出られない時間がありまして……」

「ほうほう」

「その間、子どもたちの授業を……おばちゃんさんにお願いできませんか?」


トモエは目を丸くした。


「え、うちが?」

「はい。昨日の子どもたちの反応を見て、あなたなら安心して任せられると思いました」


ユウトが横から言った。


「おばちゃん、絶対できるよ!」

「いやいや、うちは先生ちゃうで……」


そう言いながらも、子どもたちの期待に満ちた目がトモエを見つめていた。


「おばちゃん先生、やって!」

「昨日の続きしたい!」

「おばちゃんの魔法、もっと見たい!」


トモエはため息をついた。


「しゃあないなぁ……ほな、やったるわ」


エリナは深く頭を下げた。


「ありがとうございます。助かります」


---


◆ おばちゃん先生、授業開始


教室に入ると、子どもたちが一斉に席についた。


「おばちゃん先生、よろしくお願いします!」

「今日は何するん?」

「魔法の練習?」


トモエは教壇に立ち、胸を張った。


「ほな、今日は“生活魔法の応用”をやるで」


子どもたちがざわつく。


「応用って難しそう……」

「できるかなぁ……」


トモエは笑った。


「大丈夫や。うちがついとるやろ?」


子どもたちの顔がぱっと明るくなる。


「まずは、水の魔法“アクア”や。昨日よりちょっとだけ大きい水玉作ってみよか」


トモエは手を前に出し、ゆっくり魔力を流した。


「アクア」


――ぽわん。


昨日より少し大きな水玉が浮かび上がる。


「わぁぁぁ!」

「きれい!」

「おばちゃん、上手!」


トモエは胸を張った。


「せやろ? みんなもやってみ」


子どもたちが一斉に唱える。


「アクア!」


小さな水玉がぽこぽこと生まれた。


「できた!」

「昨日より大きい!」

「おばちゃん先生、見て!」


トモエは一人ひとりの水玉を見て回った。


「ええやん、上手やで」

「お、あんたのは形がきれいやな」

「ちょっと魔力強すぎる子は、力抜いてな」


子どもたちは嬉しそうに笑った。


---


◆ トラブル発生


授業が順調に進んでいたそのとき――


「うわぁぁぁっ!」


一人の男の子が叫んだ。


「どうしたん?」

「水玉が……止まらへん!」


男の子の手から、次々と水玉が生まれていた。


「アクアアクアアクアアクアアクア……!」


「ちょ、ちょっと待って! 止めなあかん!」


トモエは男の子の手を握った。


「ストップや! ストップ言うてみ!」

「す、ストップ!」


――ピタッ。


水玉が止まり、男の子はへたり込んだ。


「こわかったぁ……」

「大丈夫や。よう頑張ったな」


トモエは男の子の頭を優しく撫でた。


「魔法はな、怖いときもある。でも、ちゃんと向き合えば大丈夫や」


男の子は涙を拭きながら頷いた。


---


◆ 子どもたちの成長


授業の後半は、子どもたちが自分のペースで魔法を練習した。


「おばちゃん先生、見て!」

「昨日より上手くなった!」

「水玉が丸くなった!」


トモエは一人ひとりに声をかけた。


「ええやん、すごいやん」

「その調子やで」

「焦らんでええ。ゆっくりやり」


子どもたちはどんどん自信をつけていった。


---


◆ 授業終了


授業が終わると、子どもたちがトモエの周りに集まった。


「おばちゃん先生、ありがとう!」

「また来てな!」

「明日も授業して!」


トモエは笑った。


「明日はエリナ先生戻ってくるやろ。でも、また来るで」


子どもたちは大喜びで教室を走り回った。


---


◆ エリナ先生の評価


エリナが戻ってきた。


「おばちゃんさん、どうでしたか?」

「なんとか無事に終わったわ」

「子どもたちが、とても楽しそうでした。あなたのおかげです」


エリナは深く頭を下げた。


「本当に……ありがとうございます」

「そんな大げさな……うちはただの大阪のおばちゃんやで」


エリナは微笑んだ。


「いえ。あなたは“人を元気にする魔法”を持っています」


トモエは照れくさそうに笑った。


---


◆ 帰り道


学校を出ると、夕日が街を染めていた。


ユウトが言った。


「おばちゃん、今日もすごかったね」

「せやな……なんか、先生って大変やな」

「でも、おばちゃんに向いてるよ」

「そうか?」


ユウトは笑った。


「うん。おばちゃんがいると、みんな元気になるから」


トモエは空を見上げた。


異世界の空は、今日も優しい色をしていた。


「よっしゃ。明日も頑張るで」


虎柄シャツが夕風に揺れた。

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