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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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62/124

第62話:『おばちゃん、世界に広がる影の波動を聞く』

影の波を鎮めたあと、

森の空気はどこか張りつめていた。


ユウトが空を見上げながら言う。


「おばちゃん……

 なんか、空の色……変やない?」


カイルも眉を寄せた。


「影の濃度……

 さっきよりも高くなっています。

 これは“自然な影”ではありません」


リリアは胸に手を当て、

震える声で呟いた。


「まるで……

 世界そのものが怯えているみたい……」


トモエは胸の奥に意識を向けた。

そこには、ルクス――影の心の気配がある。


『……光よ……

 この影は……我ではない……』


(ルクスでもない影……

 せやったら、誰の影なんや)


セイルが険しい表情で言った。


「光の継承者。

 あなたが感じているのは――

 “世界規模の影の波動”です」


ユウトが驚く。


「世界規模……!?」


カイルは息を呑んだ。


「そんな影……

 本当に存在するんですか……?」


セイルは静かに頷いた。


「存在します。

 “影のシャドウロード”と呼ばれる存在が」


リリアは顔を青くした。


「影の……王……?」


トモエは眉をひそめた。


「影の王って……

 影の根源とは違うんか?」


セイルはゆっくりと説明した。


「影の根源は“個人の影”が極限まで膨らんだもの。

 しかし影の王は――

 世界中の負の感情が集まって生まれる“集合影”」


ユウトが震える声で言う。


「世界中の……

 悲しみとか、不安とか……

 全部集まって……?」


カイルは拳を握った。


「そんな存在……

 どうやって対処すれば……」


セイルは首を振った。


「倒すのではありません。

 “理解”するのです」


リリアは息を呑んだ。


「影の王を……理解……?」


トモエは胸に手を当てた。


(影は悪やない。

 心の一部や)


(せやけど……

 世界中の心の影が集まった存在……

 それは……うち一人でどうにかできるんか?)


そのとき――

湖の水面が揺れた。


――ザワァ……


黒い霧が水面に映り、

巨大な影の“輪郭”が浮かび上がった。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 あれ……!」


カイルは震える声で言う。


「影の王の……

 “影”……!」


リリアは顔を青くした。


「こんな……

 こんな大きな影……!」


セイルは静かに言った。


「これは本体ではありません。

 影の王があなたに送った“予兆”です」


影の輪郭はゆっくりと口を開いた。


『……光よ……

 お前が影を受け入れたなら……

 次は……

 “世界の影”を見よ……』


ユウトが震える。


「世界の……影……?」


影は続けた。


『……影は心から生まれる……

 ならば……

 世界の影は……

 世界の心……』


カイルは息を呑んだ。


「世界の……心……?」


リリアは涙をこらえながら言った。


「そんな……

 そんなもの……

 どうやって……?」


トモエは影に向かって叫んだ。


「影の王!

 あんたは何がしたいんや!」


影は静かに答えた。


『……光よ……

 我を……

 “救え”……』


そして影は消えた。


ユウトは震える声で言った。


「おばちゃん……

 影の王……

 助けてほしいって……?」


カイルも驚く。


「影の王が……

 救いを求めている……?」


リリアは涙を流した。


「影は……

 誰かの心の叫び……

 世界の影は……

 世界の叫び……?」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 あなたの旅はここからが本番です」


トモエは胸に手を当てた。


(影の王……

 あんたは敵やない)


(うちは……

 あんたを救う)


「よっしゃ。

 世界の影、見に行くで!」


虎柄シャツが風に揺れ、

おばちゃんは新たな旅へ踏み出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第62話では、

ついに “影の王”という世界規模の影の存在 が明かされました。


影の王は敵ではなく、

“世界の心の影”そのもの。


そして、

おばちゃんに向かって「救え」と告げるという、

これまでとはまったく違うスケールの物語が始まります。


光と影の調和を得たおばちゃんが、

世界の影とどう向き合うのか――

ここから物語は新章へ突入します。


次回、第63話では

影の王の気配を追い、最初の“世界の影”の地へ向かう旅の始まり

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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