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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第60話:『おばちゃん、影の心と向き合う』

三つの試練を越えたあと、

森の空気はどこか澄んでいた。


ユウトが深呼吸しながら言う。


「おばちゃん……

 なんか、空気が軽くなった気がするな」


カイルは頷きながら周囲を見渡す。


「影の濃度が下がっています。

 ルクスが……次の段階へ進んだ証拠です」


リリアは胸に手を当てた。


「影の心……

 あなたたちの成長を見て、

 次の場所へ移動したんですね……」


セイルは静かに言った。


「ルクスは“逃げている”のではありません。

 あなたたちが追いつくのを待っているのです」


トモエは拳を握った。


(ルクス……

 あんたはうちらを試しながら、

 ずっと待っとったんやな)


「よっしゃ。

 行こか、みんな」


四人は頷き、

森の奥へと進んだ。


---


◆ ◆ ◆


◆ 影の道が示す先


森を抜けると、

そこには小さな湖が広がっていた。


水面は鏡のように静かで、

風ひとつ吹いていない。


ユウトが不思議そうに言う。


「おばちゃん……

 なんか、ここだけ空気が違うで」


カイルは湖を見つめながら言った。


「影の気配が……

 湖の中心に集まっています」


リリアは息を呑む。


「まるで……

 “呼ばれている”みたい……」


セイルは静かに頷いた。


「ここが“影の心”の居場所。

 ルクスがあなたを待つ場所です」


トモエは湖のほとりに立ち、

水面を見つめた。


(ルクス……

 あんたはここにおるんやな)


そのとき――

湖面が揺れた。


――スゥ……


黒い霧が水面から立ち上り、

ゆっくりと人の形を作り始めた。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 ルクスや!!」


カイルは杖を構える。


「でも……

 前よりも……穏やかだ……」


リリアは震える声で言った。


「影なのに……

 こんなに静かで……優しい気配……」


セイルは静かに言った。


「これが“影の心”の本来の姿です」


黒い霧は完全に形を成し、

人影となった。


その姿は――

どこかトモエに似ていた。


ユウトが驚く。


「えっ……

 おばちゃんに似てる……?」


カイルは息を呑んだ。


「影の心は……

 光の継承者の“心の写し”……!」


リリアは涙をこらえた。


「だから……

 おばちゃんさんに似ているんですね……」


トモエは影に近づいた。


「ルクス……

 あんたが……影の心なんやな」


影は静かに頷いた。


「……光の継承者……

 ようやく……来たか……」


トモエは微笑んだ。


「待たせたな」


影――ルクスは、

ゆっくりと手を伸ばした。


「……お前の光……

 試させてもらった……」


ユウトが言う。


「三つの試練……

 全部、ルクスが……?」


ルクスは頷いた。


「……光は……

 影を照らす……

 だが……

 影を理解せねば……

 光は……壊れる……」


カイルは息を呑んだ。


「だから……

 おばちゃん先生に試練を……!」


リリアは涙を流した。


「あなたは……

 おばちゃんさんを傷つけるためじゃなく……

 守るために……!」


セイルは静かに言った。


「影の心は、

 光の継承者の“弱さ”を補う存在。

 あなたを壊さないために、

 影はあなたに寄り添うのです」


トモエはルクスの手を取った。


「ルクス。

 あんたは……

 うちの影なんやな」


ルクスは静かに言った。


「……影は……

 光の裏側……

 お前が……

 自分を責める時……

 お前が……

 誰かを救おうとして傷つく時……

 我は……生まれた……」


トモエは胸が締めつけられた。


(うちが……

 自分を後回しにしてきたから……

 ルクスは生まれたんか)


ルクスは続けた。


「……光よ……

 お前は……

 誰かを照らすことばかり考えて……

 自分を照らさなかった……」


ユウトが涙をこらえながら言う。


「おばちゃん……

 僕らのために……

 ずっと無理してたんや……」


カイルも震える声で言った。


「だから……

影が“心”として形を持った……」


リリアは涙を拭った。


「おばちゃんさん……

 あなたは優しすぎるんです……」


トモエはルクスの手を握り返した。


「ルクス。

 あんたは……

 うちの影や」


「せやけど……

 あんたは敵やない」


「うちは……

 あんたと一緒に歩きたい」


ルクスは揺れ、

光を帯び始めた。


「……光よ……

 お前が……

 我を受け入れるなら……

 我は……

 お前の“もう一つの心”となろう……」


トモエは頷いた。


「うちの光は……

 影と一緒に輝くんや」


ルクスは静かに溶け、

トモエの胸の中へと吸い込まれていった。


ユウトが驚く。


「おばちゃん!!

 ルクスが……!」


カイルは微笑んだ。


「影の心が……

 おばちゃん先生の中に……戻ったんだ」


リリアは涙を流した。


「これで……

 光と影が一つに……!」


セイルは静かに言った。


「光の継承者としての力が……

 完全に目覚めました」


トモエは胸に手を当てた。


(ルクス……

 あんたはもう一人やない)


(うちは……

 光と影、両方を抱えて進む)


「よっしゃ。

 次は……

 この力で世界を照らすで!」


虎柄シャツが光を反射し、

おばちゃんは新たな光を胸に歩き出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第60話では、

影の心“ルクス”との再会と融合

という、物語の大きな節目を描きました。


三つの試練はすべて、

おばちゃんが“自分自身の影”と向き合うためのもの。


そしてルクスは敵ではなく、

おばちゃんの心が生んだ“もう一つの心”。


光と影は対立ではなく、

補い合う存在。


おばちゃんはついに、

光と影の両方を受け入れ、

“真の光の継承者”として目覚めました。


次回、第61話では

新たな力を得たおばちゃんが、

世界に広がる影の異変に立ち向かう新章の幕開け

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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