第50話:『おばちゃん、次の扉と新たな影に触れる』
アリアの記憶の光が消え、
トモエたちは再び遺跡の封印の間に立っていた。
ユウトが震える声で言う。
「おばちゃん……
アリアさん……ほんまに消えてもうたんやな」
トモエは静かに頷いた。
「せやけど……
あの人の想いは、ちゃんと残っとる」
カイルは水晶を見つめながら言った。
「光と影の始まり……
アリアの罪……
そして“二つの心”……」
リリアは胸に手を当てた。
「光の継承者……
あなたがその一人……」
トモエは苦笑した。
「うちはただの大阪のおばちゃんやで。
せやけど……
やらなあかんことがあるんやろな」
そのとき――
――ゴゴゴゴゴ……
遺跡の奥から、
低い振動音が響いた。
ユウトが身をすくめる。
「おばちゃん……
なんか動いてる!」
カイルが杖を構える。
「遺跡の奥……
何かが起動したんです!」
リリアは目を見開いた。
「アリア様の記憶を解放したことで……
“次の扉”が開いたのかもしれません!」
トモエは深呼吸した。
「よっしゃ。
行ってみよか」
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◆ ◆ ◆
◆ 遺跡の奥へ
封印の間を抜け、
さらに奥へ進むと――
そこには、
巨大な石の扉がそびえ立っていた。
扉には、
光と影が絡み合うような紋章が刻まれている。
ユウトが呟く。
「これ……
さっきの扉よりも……大きい」
カイルは震える声で言う。
「この紋章……
“調和の紋”です。
光と影が一つになることを示す……」
リリアは息を呑む。
「アリア様が最後に残した封印……
ここに何があるのか……」
トモエは扉に手を伸ばした。
(光と影の調和……
アリアが辿り着けへんかった答え)
(うちが……
開けなあかん扉なんや)
「マナ・ライト……!」
――パァァァァァッ!!
扉が光り、
ゆっくりと開いていく。
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん!!
扉が……!」
カイルは目を見開く。
「開いた……!
おばちゃん先生の光で……!」
リリアは震える声で言った。
「あなたこそ……
真の継承者……!」
トモエは苦笑した。
「褒めすぎやで……
うち、照れるわ」
扉の奥には――
広い空間が広がっていた。
中央には、
巨大な石碑が立っている。
石碑には、
古代文字が刻まれていた。
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◆ ◆ ◆
◆ 石碑に刻まれた“予言”
カイルが石碑に近づき、
文字を読み上げる。
「“光と影は巡り、
再び一つとなる時――
新たな影が生まれん”」
ユウトが不安そうに言う。
「新たな……影?」
リリアは震える声で言った。
「影の根源が消えても……
影そのものは消えない……
アリア様が言っていた通り……」
トモエは石碑に手を当てた。
(影は心から生まれる。
せやから、影は消えへん)
(せやけど……
“新たな影”ってなんや)
そのとき――
――スゥ……
空気が冷たくなった。
ユウトが身を震わせる。
「おばちゃん……
なんか来る……!」
カイルが杖を構える。
「影の気配……
でも……今までの影と違う……!」
リリアは後ずさる。
「これは……
“悪意”やない……
もっと……深い……」
トモエは前に出た。
「みんな、下がり!」
影がゆっくりと形を成す。
しかし――
それは“人影”ではなかった。
黒い霧が渦を巻き、
やがて“獣”の形を作った。
四足で立ち、
鋭い牙を持ち、
目は深い闇のように黒い。
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん!!
あれ……影の獣や!!」
カイルが震える声で言う。
「こんなの……
見たことない……!」
リリアは息を呑む。
「これは……
“心の影”が暴走した姿……!」
トモエは杖を構えた。
(影の根源が消えても……
影は生まれる)
(これは……
誰かの心が生んだ影や)
(せやけど……
こんなに強い影は初めてや)
「よっしゃ。
やったるで!」
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◆ ◆ ◆
◆ 影の獣との戦い
影の獣が咆哮し、
トモエたちに飛びかかる。
「グォォォォォッ!!」
ユウトが叫ぶ。
「《光の矢》!!」
――シュバァァッ!!
光の矢が獣に当たるが、
霧のようにすり抜けた。
「えっ!?
効いてへん!!」
カイルが叫ぶ。
「《光弾》!!」
――パァンッ!!
しかし、光弾も霧に吸い込まれた。
リリアが震える声で言う。
「この影……
“形”が不安定……
普通の攻撃じゃ効かない……!」
トモエは歯を食いしばった。
(せやったら……
うちの光で包むしかない)
「マナバースト!!」
――パァァァァァッ!!
光の波が獣を包む。
獣は苦しむように吠えた。
「グォォォ……!」
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん!!
効いてる!!」
カイルが続ける。
「おばちゃん先生の光……
“心の影”に反応してるんです!」
リリアは目を見開いた。
「あなたの光は……
影を“癒す”光……!」
トモエはさらに光を強めた。
「マナ・ヒールライト!!」
――パァァァァァァッ!!
光が獣を包み込み、
影はゆっくりと消えていった。
最後に、
獣は小さな声で呟いた。
「……たすけて……」
そして完全に消えた。
ユウトは涙をこらえながら言った。
「おばちゃん……
あれも……誰かの心の影やったんやな……」
トモエは静かに頷いた。
「せや。
影は倒すんやなくて……
救うもんなんや」
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◆ ◆ ◆
◆ 石碑の裏にあった“次の手紙”
影が消えたあと、
石碑の裏側に小さな箱が現れた。
リリアが驚く。
「これは……
古代の封印箱……!」
カイルが言う。
「アリア様が残したもの……?」
トモエは箱を開けた。
中には――
一通の手紙が入っていた。
ユウトが息を呑む。
「また……手紙……!」
トモエは手紙を開いた。
そこには、
アリアの筆跡でこう書かれていた。
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『光の継承者へ。
あなたがこの手紙を読んでいるということは、
“影の獣”が現れたのでしょう。』
『それは、
“次の影”の始まりにすぎません。』
『影は心から生まれる。
しかし――
“心を喰らう影”は別です。』
『どうか、
その影の正体を探しなさい。
それは……
あなたのすぐ近くにいる』
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トモエは息を呑んだ。
(うちの……
すぐ近く……?)
ユウトが不安そうに言う。
「おばちゃん……
どういうことなん?」
カイルも震える声で言う。
「まさか……
誰かが……影に……?」
リリアは顔を青くした。
「“心を喰らう影”……
そんなものが……?」
トモエは手紙を握りしめた。
(影は心から生まれる。
せやけど……
心を喰らう影は……
誰かの心を奪う影)
(そんな影が……
うちらの近くに……?)
「よっしゃ。
次の影の正体、探しに行くで!」
虎柄シャツが風に揺れ、
おばちゃんは新たな影へと立ち向かう決意を固めた。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
第50話では、
南の遺跡の奥で“次の扉”が開き、
新たな影――“影の獣”が登場しました。
そして、
アリアが残した新たな手紙により、
物語は次の段階へ進みます。
“心を喰らう影”
“次の影の始まり”
“あなたのすぐ近くにいる”
この言葉が示すものは何か。
誰が影に狙われているのか。
そして、影の正体とは――
次回、第51話では
“影の獣が生まれた理由”と“影に狙われた人物” が明らかになります。
読んでくださる皆さまの応援が、
私にとっての“光”です。
これからも、おばちゃんの物語を
どうぞよろしくお願いいたします。




