第48話:『おばちゃん、南の遺跡の封印に触れる』
南へ向かう旅を始めて三日目。
草原は次第に岩肌の多い地形へと変わり、
空気にはどこか乾いた匂いが混じり始めていた。
ユウトが汗を拭いながら言う。
「おばちゃん……
なんか、空気が変わってきたなぁ」
「せやな。
遺跡が近いんやろ」
カイルは地図を確認しながら頷く。
「この先の谷を抜ければ……
“南の遺跡”の入り口が見えるはずです」
リリアは馬車の中から顔を出し、
少し緊張した表情で言った。
「南の遺跡は……
古代魔法文明の中心地だったと言われています。
光の魔法使いが最後に姿を消した場所でもあります」
トモエは眉をひそめた。
(光の魔法使い……
手紙の送り主と関係あるんやろか)
(うちが“光の継承者”って言われたんも……
ここに答えがあるんかもしれへん)
「よっしゃ。
気ぃ引き締めて行くで」
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◆ ◆ ◆
◆ 南の遺跡、姿を現す
谷を抜けた瞬間――
視界が一気に開けた。
「わぁ……!」
ユウトが思わず声を上げる。
そこには、
巨大な石造りの神殿が広がっていた。
崩れた柱、
風化した壁、
しかしその中心には、
今も淡く光る“紋章”が刻まれている。
カイルが息を呑む。
「これが……
南の遺跡……!」
リリアは胸に手を当てた。
「この場所……
ずっと来たかったんです」
トモエは遺跡を見上げた。
(なんや……胸がざわざわする)
(ここ……
うち、来たことあるんやろか)
ユウトが不安そうに言う。
「おばちゃん……
大丈夫?」
「大丈夫や。
ただ……なんか懐かしい気がしてな」
カイルが言う。
「遺跡の中心に“封印の間”があります。
まずはそこへ向かいましょう」
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◆ ◆ ◆
◆ 封印の間へ
遺跡の内部は薄暗く、
壁には古代文字が刻まれていた。
リリアが指でなぞる。
「この文字……
“光と影は対にして一つ”……
そんな意味です」
トモエは思わず呟いた。
「影の核の子が言うてたことと……
似てるなぁ」
ユウトが言う。
「おばちゃん……
やっぱりここ、影と関係あるん?」
「せやろな。
影は心から生まれる。
古代の人もそれを知っとったんや」
奥へ進むと、
巨大な扉が現れた。
扉には、
“光の紋章”と“影の紋章”が重なるように刻まれている。
カイルが驚く。
「これ……
封印の間の扉……!」
リリアは震える声で言った。
「この扉……
普通の魔法では開きません。
“光の継承者”だけが開けられると……」
トモエは扉に手を伸ばした。
(光の継承者……
ほんまにうちなんか?)
(せやけど……
ここまで来たんや)
(開けなあかん)
「よっしゃ。
やってみるで」
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◆ ◆ ◆
◆ 光の扉が反応する
トモエが扉に触れた瞬間――
――パァァァァァッ!!
扉の紋章が光り、
遺跡全体が震えた。
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん!!
扉が……!」
カイルが目を見開く。
「反応してる……!
おばちゃん先生の光に……!」
リリアは震えながら言った。
「やっぱり……
あなたが“光の継承者”……!」
トモエは光に包まれながら、
扉に魔力を流し込んだ。
「マナ・ライト……!」
光が扉を満たし、
紋章が完全に輝いた。
――ゴゴゴゴゴ……
扉がゆっくりと開いていく。
ユウトが息を呑む。
「おばちゃん……
すごい……!」
トモエは苦笑した。
「うちもびっくりやわ」
扉の向こうには――
広い円形の部屋が広がっていた。
中央には、
古代の祭壇のような台座。
その上には、
淡く光る“水晶”が浮かんでいた。
カイルが震える声で言う。
「これは……
“記憶の水晶”……!」
リリアは目を潤ませた。
「伝説の……
光の魔法使いの記憶が封じられている……!」
トモエは水晶に近づいた。
(光の魔法使い……
手紙の送り主……
うちと同じ光を持つ者……)
(あんたは……
何を残したんや)
トモエが水晶に触れた瞬間――
――パァァァァァッ!!
強烈な光が部屋を満たし、
四人の視界が白く染まった。
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん!!」
カイルが声を上げる。
「光が……強すぎる……!」
リリアが震える。
「これは……
記憶の解放……!」
トモエは光の中で、
誰かの声を聞いた。
『光の継承者よ……
ようやく来たか』
(……誰?)
『我は“初代光の魔法使い”
アリア・ルミナス』
(初代……!?)
『お前に伝えるべきことがある』
光がさらに強くなり、
トモエの意識は深い記憶の世界へと引き込まれていった。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
第48話では、
ついに 南の遺跡に到着し、封印の間が開く瞬間 を描きました。
そして――
“初代光の魔法使い”アリア・ルミナスの記憶が解放され、
物語は次の大きな真実へと踏み込んでいきます。
光の継承者とは何か。
影はなぜ生まれるのか。
そして、手紙の送り主の正体とは――
次回、第49話では
アリアの記憶の中で語られる“光と影の始まり” が明かされます。
読んでくださる皆さまの応援が、
私にとっての“光”です。
これからも、おばちゃんの物語を
どうぞよろしくお願いいたします。




