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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第47話:『おばちゃん、南の遺跡への道で試される』

南へ向かう街道は、

北の山とは違い、どこか柔らかい空気が流れていた。


草原を渡る風は暖かく、

遠くには白い雲がゆっくりと流れている。


ユウトが深呼吸した。


「おばちゃん……

 なんか、旅ってええなぁ」


「せやろ?

 街の外の空気は、胸が広がるわ」


カイルは地図を見ながら言う。


「今日の目的地は“風見の丘”です。

 そこまで行けば、遺跡まであと二日」


リリアは馬車の中から顔を出した。


「護衛の方もだいぶ回復してきました。

 でも……まだ歩くのは難しいみたいで」


トモエは頷いた。


「無理させたらあかん。

 ゆっくり行こか」


四人は穏やかな道を進んでいった。


しかし――

その穏やかさは、突然破られた。


---


◆ ◆ ◆


◆ 道を塞ぐ“黒い霧”


カイルが急に立ち止まった。


「……おばちゃん先生。

 前方……なんか変です」


トモエも目を細める。


「ほんまや……

 あれ、霧か?」


道の先に、

黒い霧がゆらゆらと漂っていた。


ユウトが不安そうに言う。


「おばちゃん……

 これ、影の気配ちゃう?」


リリアは震える声で言った。


「こんな場所に……影が?」


トモエは護符を取り出した。


バルドが作ってくれた“光の護符”が、

かすかに光っている。


「……影やな。

 せやけど、北の山の影とは違う」


カイルが眉をひそめる。


「違う……?」


トモエは霧に近づきながら言った。


「これは……

 “誰かの心の影”や」


ユウトが息を呑む。


「心の……影?」


トモエは頷いた。


「影の根源は消えた。

 せやけど、人の心に影がある限り……

 こういう“残滓”は生まれるんや」


リリアが震える声で言う。


「じゃあ……

 この霧は誰かの……?」


トモエは霧に手をかざした。


「……悲しみの影やな」


その瞬間――

霧がうねり、形を変えた。


黒い霧は人の形を作り、

ゆっくりとこちらへ歩いてくる。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!」


トモエは杖を構えた。


「みんな、下がり!」


---


◆ ◆ ◆


◆ “影の残滓”との戦い


霧の人影は、

声にならない声を発していた。


「……たすけて……」

「……さみしい……」

「……こわい……」


リリアが胸を押さえる。


「この声……

 胸に刺さる……」


カイルが震える。


「これ……

 ただの魔物やない……!」


トモエは静かに言った。


「これは“心の影”。

 倒すんやなくて……

 “癒す”んや」


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!

 どうしたらええん!?」


トモエは深呼吸した。


(この影……

 誰かの悲しみが形になったんや)


(せやから――

 光で包んだらええ)


「ユウト、カイル。

 うちに魔力を合わせて」


二人は頷き、杖を構えた。


「《光の共鳴》!!」


――パァァァァァッ!!


三人の光が重なり、

柔らかい光の波が霧の影を包み込む。


影は苦しむように揺れたが、

やがて動きを止めた。


「……あったかい……」

「……ありがとう……」


影は静かに消えていった。


リリアは涙を拭った。


「今の……

 本当に救われたみたいでした……」


カイルも胸に手を当てる。


「影って……

 倒すだけやないんですね」


トモエは微笑んだ。


「せや。

 影は“心”や。

 心は、光で照らせる」


ユウトは嬉しそうに言った。


「おばちゃん……

 僕、もっと光の魔法を覚えたい!」


「任しとき。

 あんたは光の素質あるで」


---


◆ ◆ ◆


◆ 霧の残した“手がかり”


影が消えたあと、

地面に小さな光の粒が残っていた。


リリアが拾い上げる。


「これは……

 “記憶の欠片”……?」


カイルが驚く。


「そんなものが……

 影の残滓から?」


トモエは光の粒を見つめた。


(これは……

 誰かの記憶や)


(しかも……

 古代魔法の気配がする)


ユウトが言う。


「おばちゃん……

 これ、遺跡と関係あるん?」


トモエは頷いた。


「せやろな。

 この影……

 遺跡の方角から流れてきたんや」


リリアは震える声で言った。


「遺跡で……

 何かが起きている……?」


トモエは護符を握りしめた。


(影の根源は消えた。

 せやけど……

 新しい影が動き出してる)


「よっしゃ。

 急いで遺跡に向かうで!」


ユウトが叫ぶ。


「うん!!」


カイルも頷く。


「行きましょう!」


リリアは胸に手を当てた。


「私も……

 覚悟を決めます」


風が吹き、

草原が揺れた。


虎柄シャツが風に踊り、

おばちゃんは南の遺跡へ向けて歩き出した。



ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第47話では、

“南の遺跡へ向かう道中での最初の試練”として、

影の根源が消えた後も残る“心の影”を描きました。


影は倒すだけではなく、

“癒す”こともできる。

これは、おばちゃんの光の本質に深く関わるテーマです。


そして、

影が残した“記憶の欠片”は、

南の遺跡で起きている異変の前触れ。


次回から、

物語はさらに深い謎へと踏み込んでいきます。


読んでくださる皆さまの応援が、

私にとっての“光”です。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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