第45話:『おばちゃん、旅立ちの準備を始める』
封印された手紙を開いた翌朝。
街はいつも通りの賑わいを見せていたが、
トモエの胸の中には、
昨日とは違う“ざわめき”が残っていた。
(光の継承者……
二つの心……
扉を開く……)
(なんや、胸がそわそわするわ)
市場を歩いていると、
ユウトが駆け寄ってきた。
「おばちゃん!
今日、旅の準備するんやろ?」
「せや。
手紙の送り主を探すんは、
うちらの新しい仕事や」
ユウトは嬉しそうに笑った。
「僕、もう準備できてるで!」
「はやっ。
ほんまに楽しみにしとったんやな」
ユウトは照れながら頷いた。
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◆ バルドの鍛冶屋で
まず向かったのは、
鍛冶屋バルドの店。
「おう、トモエ!
来ると思っとったで!」
バルドは大きな箱をドンと置いた。
「これや。
旅立つ前に渡しときたかったんや」
箱の中には――
白銀に輝く小さな護符が入っていた。
「これ……?」
「“光の護符”や。
お前の魔力に合わせて作った。
影の気配を感じたら光って知らせてくれる」
トモエは目を丸くした。
「こんなん作れるんか!?」
「当たり前やろ。
お前のためやからな」
トモエは胸が熱くなった。
「ありがとう、バルド。
大事に使わせてもらうわ」
バルドは照れくさそうに鼻をこすった。
「気ぃつけて行けよ。
帰ってくるまで店閉めへんからな」
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◆ エリナの魔法学校で
次に向かったのは魔法学校。
エリナはすでに準備していたようで、
机の上には数冊の本が積まれていた。
「おばちゃんさん。
旅に持っていってください」
「なんやこれ?」
「“古代魔法の基礎”
“光魔力の応用”
“封印術の歴史”」
ユウトが目を輝かせる。
「すごい……!
こんな本、普通は触らせてもらえへんやつや!」
エリナは微笑んだ。
「あなたたちなら大丈夫です。
それに……手紙の送り主を探すには、
古代魔法の知識が必要になるはずです」
トモエは本を抱えながら言った。
「エリナ先生……
ほんまにありがとうな」
「いえ。
あなたたちが帰ってくるのを、
ここで待っていますから」
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◆ サラの郵便局で
郵便局では、
サラが大きな地図を広げていた。
「おばちゃんさん!
手紙の封印に使われていた魔法文字……
“南の遺跡”で見つかったものと似てるんです!」
「南の遺跡……?」
サラは地図を指差した。
「ここです。
街から三日の距離にある古代遺跡。
昔、光の魔法使いが住んでいたって噂があります」
ユウトが言った。
「じゃあ……
手紙の送り主は、その人なん?」
サラは首を振った。
「わかりません。
でも、手がかりがあるのは確かです」
トモエは地図を見つめた。
(南の遺跡……
なんや、胸がざわざわする)
「よっしゃ。
まずはそこに行ってみよか」
サラは嬉しそうに頷いた。
「気をつけてくださいね。
帰ってきたら、また手紙の仕分け手伝ってください!」
「任しとき!」
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◆ カイルの決意
街の外れに向かう途中、
カイルが走ってきた。
「おばちゃん先生!!」
「どうしたん、カイル?」
カイルは息を切らしながら言った。
「僕も……
一緒に行きたい!」
トモエは驚いた。
「カイル……
あんた、学校はどうするん?」
「先生に言ったら、
“あなたはもう自分で学べる段階です”って」
エリナが遠くから手を振っていた。
(あの人……ほんまにええ先生やな)
カイルは続けた。
「僕……
影の核の子を救ったとき、思ったんです」
「僕も……
誰かを照らせる人になりたいって」
トモエは微笑んだ。
「カイル。
あんたの気持ち、ちゃんと受け取ったで」
「一緒に行こ」
カイルは涙をこらえながら笑った。
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◆ 旅立ちの朝
翌朝。
街の門の前には、
すでに多くの人が集まっていた。
「おばちゃんさん、気をつけて!」
「ユウトくん、無理したらあかんで!」
「カイル、ちゃんと食べるんやで!」
「帰ってきたら、たこ焼き食べさせてや!」
トモエは笑った。
「みんな……ありがとうな」
バルドが言う。
「トモエ。
お前は街の光や。
どこ行っても、胸張って歩け」
エリナが言う。
「あなたたちなら大丈夫です。
必ず帰ってきてください」
サラが言う。
「手紙の送り主……
見つけたら教えてくださいね!」
ユウトが言う。
「おばちゃん……
行こ!」
カイルが言う。
「僕らの旅……始まるんですね」
トモエは深呼吸した。
(影は終わってへん)
(せやけど……
うちはもう怖くない)
(ユウトとカイルと一緒なら、
どんな影でも照らせる)
「よっしゃ。
行くで、みんな!」
虎柄シャツが朝日に照らされ、
おばちゃんは新しい冒険へと歩き出した。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
第45話では、
“街の日常”と“新しい冒険の始まり”をつなぐ回として、
仲間たちの想いと街の温かさを丁寧に描きました。
封印された手紙の送り主、
“光の継承者”という言葉、
そして“二つの心”という謎。
物語はここから、
新しい章へと進んでいきます。
読んでくださる皆さまの応援が、
私にとっての“光”です。
これからも、おばちゃんの物語を
どうぞよろしくお願いいたします。




