第44話:『おばちゃん、封印された手紙を開く』
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
第44話では、
北の山編の余韻を受けつつ、
新しい物語の火種となる“封印された手紙”を中心に描きました。
影の根源との戦いは終わりましたが、
“影”という存在そのものは、
心がある限り消えるものではありません。
そして、
おばちゃんとユウトの“二つの光”が
これからどんな未来を照らすのか――
物語は新しい章へと進んでいきます。
読んでくださる皆さまの応援が、
私にとっての“光”です。
これからも、おばちゃんの物語を
どうぞよろしくお願いいたします。
北の山から帰還して数日。
街はすっかり平和を取り戻し、
人々の表情にも明るさが戻っていた。
トモエは朝の市場を歩きながら、
新しい日常の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
(ほんまに……平和ってええなぁ)
パン屋の香り、
鍛冶屋の金属音、
子どもたちの笑い声――
どれもこれも、心に染みる。
そんな中、
郵便局のサラが慌てた様子で駆け寄ってきた。
「おばちゃんさん! 来てください!」
「なんやなんや、朝から慌ただしいな」
サラは息を切らしながら言った。
「例の……“封印された手紙”が……
また光り始めたんです!」
トモエは眉をひそめた。
(あの手紙……
北の山の影が消えたあと、突然光り出したやつや)
「わかった。行こか」
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◆ 郵便局の奥で
郵便局の奥の部屋には、
淡い光を放つ封筒が置かれていた。
封筒は古い魔法文字で封印され、
触れると温かい光が指先に伝わってくる。
サラが不安そうに言った。
「おばちゃんさん……
この封印、普通の魔法じゃないんです」
「せやな……
なんか胸がざわざわするわ」
トモエは封筒を手に取った。
(この光……
どこかで感じたことある)
(せや……
影の核の子の“心”の光に似てるんや)
ユウトが部屋に入ってきた。
「おばちゃん!
手紙、また光ってるん?」
「せや。
どうもただの手紙やなさそうや」
ユウトは封筒を見つめ、
小さく呟いた。
「……なんか、呼ばれてる気がする」
トモエはユウトの肩に手を置いた。
「ユウト。
あんた、何か感じるんか?」
ユウトは頷いた。
「うん……
この光、どこか懐かしい」
(懐かしい……?)
(ユウトと関係あるんか?)
サラが言った。
「おばちゃんさんの光なら……
封印を解けるかもしれません」
トモエは深呼吸した。
「よっしゃ。
やってみるで」
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◆ 封印を解く
トモエは封筒に手をかざし、
光の魔力を流し込んだ。
「マナ・ライト……」
――パァァァァァッ!!
封筒が強く光り、
部屋全体が白く染まる。
ユウトが目を細める。
「おばちゃん……!」
サラが息を呑む。
「封印が……解けていく……!」
封筒の魔法文字が一つずつ消え、
最後の封印が光とともに弾けた。
――パキンッ。
封筒が静かに開いた。
トモエは中から一枚の手紙を取り出した。
紙は古く、
しかし光を帯びている。
「なんや……
これ、ただの手紙やないな」
ユウトが不安そうに言う。
「おばちゃん……読んでみて」
トモエはゆっくりと手紙を開いた。
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◆ 手紙の内容
手紙には、
丁寧な筆跡でこう書かれていた。
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『光の継承者へ』
あなたがこの手紙を開いたということは、
“影の根源”が消えた証。
しかし――
影はこれで終わりではありません。
影は“心”から生まれる。
心がある限り、影は再び形を取る。
どうか、次の“影”に備えてください。
そして……
“光の継承者”よ。
あなたの光は、
まだ完全ではありません。
真の光は、
“二つの心”が揃ったときに目覚める。
その時――
あなたは“扉”を開くことになるでしょう。
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トモエは読み終えて、
しばらく言葉を失った。
ユウトが震える声で言う。
「おばちゃん……
これって……どういうことなん?」
サラも不安そうに言った。
「影……まだ終わってないってこと……?」
トモエは手紙を握りしめた。
(影は終わってへん……
せやけど、それは“悪意”やない)
(心がある限り、影は生まれる)
(それは……自然なことなんや)
「ユウト」
「なに、おばちゃん」
「“二つの心”って……
うちと、あんたのことかもしれへん」
ユウトは目を見開いた。
「僕と……おばちゃん?」
トモエは頷いた。
「うちは光の魔力を持っとる。
せやけど……あんたの光は、
うちとは違う“優しい光”や」
「二つの光が揃ったとき……
何かが起こるんかもしれへん」
ユウトは不安そうに言った。
「おばちゃん……
僕、そんな大層なもんやないで」
トモエは笑った。
「ユウト。
あんたはもう立派な光や」
ユウトは少し照れながら、
でも嬉しそうに笑った。
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◆ 手紙の送り主は誰?
サラが手紙を見つめながら言った。
「でも……
この手紙を書いたのは誰なんでしょう?」
エリナが部屋に入ってきた。
「それ、私も気になります」
トモエは手紙を見つめた。
(光の継承者へ……
影の根源のことも知っとる……)
(こんな手紙を書けるのは……
ただ者やない)
エリナが言った。
「おばちゃんさん。
この手紙……“古代魔法の筆跡”です」
「古代魔法……?」
「はい。
千年以上前に使われていた文字です」
サラが驚く。
「そんな昔の手紙が……
なんで今になって光ったん?」
エリナは静かに言った。
「おそらく……
“光の継承者”が現れるのを待っていたんです」
トモエは息を呑んだ。
(うち……
そんな大層な存在なんか?)
(いや……
そんなことより――)
(この手紙の送り主……
誰なんや)
ユウトが言った。
「おばちゃん……
これからどうするん?」
トモエは手紙を握りしめた。
「決まっとるやろ」
「この手紙の送り主を探すんや」
ユウトは目を輝かせた。
「僕も行く!」
トモエは笑った。
「もちろんや」
(影は終わってへん)
(せやけど……
うちはもう怖くない)
(ユウトと一緒なら、
どんな影でも照らせる)
「よっしゃ。
新しい冒険の始まりや!」
虎柄シャツが風に揺れ、
おばちゃんは新たな一歩を踏み出した。




