第43話:『おばちゃん、街の光として動き出す』
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
第43話では、
北の山編を終えたおばちゃんが、
“街の光”として新しい役割を担い始める姿を描きました。
影の根源との戦いは終わりましたが、
おばちゃんの物語はまだまだ続きます。
街の日常、
新しい出会い、
そして封印された手紙の謎――
次の章では、
“平和の中に潜む新たな気配”をテーマに、
ゆっくりと、しかし確実に物語が動き出します。
読んでくださる皆さまの応援が、
私にとっての“光”です。
これからも、おばちゃんの物語を
どうぞよろしくお願いいたします。
北の山から帰還して一週間。
街はすっかり平和を取り戻し、
人々の表情にも明るさが戻っていた。
トモエは市場の通りを歩きながら、
改めてその光景を胸に刻んでいた。
(ほんまに……平和ってええなぁ)
パン屋の香り、
鍛冶屋の金属音、
子どもたちの笑い声――
どれもこれも、心に染みる。
「おばちゃんさん!」
声をかけてきたのは、宿屋のミーナだった。
「今日も元気そうですね」
「そら元気やで。
平和な朝は、元気にならな損や」
ミーナはくすっと笑った。
「街の人たち、みんな言ってますよ。
“おばちゃんさんが帰ってきてくれてよかった”って」
トモエは照れくさく頭をかいた。
「そんなん言われたら……
うち、泣いてまうやろ」
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◆ 魔法学校からの“正式なお願い”
市場を歩いていると、
エリナが生徒たちを連れてやってきた。
「おばちゃんさん、少しお時間いいですか?」
「なんや、また授業の手伝いか?」
エリナは真剣な表情で頷いた。
「はい。
魔法学校として正式に――
“光魔力の特別講師”をお願いしたいんです」
トモエは目を丸くした。
「えっ、うちが先生なん?」
「もちろんです。
あなたほど“光の本質”を理解している人はいません」
生徒たちも口々に言う。
「おばちゃん先生の授業、受けたい!」
「光魔法、もっと上手くなりたい!」
「おばちゃん先生みたいに強くなりたい!」
トモエは照れながらも、胸が温かくなった。
(うち……ほんまに必要とされてるんやな)
「わかったで。
ほな、うちが教えたる!」
生徒たちが歓声を上げた。
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◆ 郵便局からの“特別依頼”
次に声をかけてきたのはサラだった。
「おばちゃんさん!
郵便局からもお願いがあるんです!」
「なんや、また魔法生物の世話か?」
サラは首を振った。
「いえ……
“光の魔力で封印された手紙”の解読を
お願いしたいんです」
「封印された手紙?」
サラは小さな封筒を差し出した。
封筒には古い魔法文字が刻まれ、
淡い光が揺れている。
「これ……北の山の影が消えたあと、
突然光り始めたんです」
「おばちゃんさんの光なら……
開けられるかもしれないって」
トモエは封筒を手に取った。
(なんやろ……
胸がざわざわする)
「わかった。
あとで試してみるわ」
サラは嬉しそうに頷いた。
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◆ バルドの“新しい仕事”
鍛冶屋の前では、
バルドが新しい武器を磨いていた。
「おう、トモエ!
見てみい!」
バルドは一本の杖を差し出した。
「これ……光魔力専用の杖や。
お前のために作ったんや!」
トモエは驚いた。
「えっ、うちのために?」
「当たり前やろ!
お前は街の光や。
光には光の武器が必要や!」
杖は白銀に輝き、
握ると温かい光が広がった。
(なんや……
胸がじんわりする)
「ありがとう、バルド。
大事に使わせてもらうわ」
バルドは照れくさそうに鼻をこすった。
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◆ ユウトの“決意”
その日の夕方。
トモエは街の外れの丘に向かった。
風が心地よく吹き、
草が揺れている。
そこに、ユウトが座っていた。
「おばちゃん……来てくれたんや」
「ユウト、どうしたん?」
ユウトは空を見上げたまま言った。
「僕……決めたんや」
「決めた?」
ユウトは振り返り、
真剣な目でトモエを見つめた。
「僕……
“光の魔法使い”になる」
トモエは息を呑んだ。
「光の……?」
ユウトは頷いた。
「おばちゃんみたいに……
誰かを照らせる人になりたい」
「影の核の子を救ったとき……
僕、思ったんや」
「光って……
誰かのためにあるんやって」
トモエの胸が熱くなった。
(ユウト……
あんた、ほんまに強くなったなぁ)
「ユウト。
うちは……あんたの決意、応援するで」
ユウトは嬉しそうに笑った。
「ありがとう、おばちゃん」
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◆ 夜の街で
夜。
街の広場では、
小さな灯りがともされていた。
「おばちゃん! 今日もたこ焼き焼いてや!」
「光の先生、今日の授業どうやった?」
「ユウトくん、魔法学校で人気者やで!」
トモエは笑いながら言った。
「ほな、たこ焼き焼くで!
みんな、食べてや!」
街は笑顔で満ちていた。
(ああ……
この街が……うちの居場所なんや)
(これからも……
みんなと一緒に生きていく)
虎柄シャツが夜風に揺れ、
おばちゃんは新しい日常へと歩き出した。




