第33話:『おばちゃん、影の守護獣と初めて戦う』
第二層の幻覚を突破した一行は、
深い霧の奥に続く石段を登っていた。
空気はさらに冷たく、
肌に触れるたびに魔力がざわつく。
ユウトが不安そうに言った。
「おばちゃん……なんか、空気が重くなってきた」
「せやな。ここからが山の“本気”や」
エリナが魔力を感じ取りながら言った。
「第三層は……“影の守護獣”が出ると記録にあります」
「守護獣?」
「影の核を守るために生まれた存在です。
魔物ではなく……“影そのもの”」
サラが魔法生物を飛ばす。
「偵察に出した子たち……すぐ戻ってきた」
「戻ってきた?」
「うん……“危険すぎる”って震えてた」
カイルが杖を握りしめる。
「僕……胸がざわざわする。
第二層より……ずっと強い気配がする」
バルドが剣を構えた。
「よし、気ぃ引き締めろ。
ここからは本格的な戦いや!」
トモエは深呼吸した。
(影の守護獣……)
(うちの光、通じるんやろか)
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◆ 第三層:影の谷
石段を登りきると、
そこには広い谷が広がっていた。
空は黒く、
地面はひび割れ、
谷の中央には巨大な影の渦が渦巻いている。
「なんやここ……地獄みたいやな」
ユウトがトモエの袖をつかむ。
「おばちゃん……怖い」
「大丈夫や。うちがおる」
そのとき――
――ゴォォォォォォッ!!
谷の中央の影が盛り上がり、
巨大な“何か”が姿を現した。
「な、なんやあれ……!」
黒い霧が集まり、
四本足の獣の形を作る。
目は赤く光り、
口からは黒い炎が漏れている。
エリナが叫んだ。
「影の守護獣……!!」
サラが震える声で言った。
「大きすぎる……!」
カイルが後ずさる。
「こんなの……勝てるわけ……」
バルドが前に立つ。
「勝つしかないやろ!!」
守護獣が咆哮した。
「グォォォォォォォッ!!」
その声だけで地面が震え、
影が波のように押し寄せてくる。
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◆ 守護獣の攻撃
「来るぞ!!」
守護獣が地面を蹴り、
黒い炎を吐きながら突進してきた。
「うわぁぁぁっ!!」
バルドが剣で受け止める。
――ガァァァンッ!!
「ぐっ……重い!!」
エリナが叫ぶ。
「バルドさん、下がって!!
《結界展開・光壁》!!」
――パァァァッ!!
光の壁が現れ、守護獣の炎を弾く。
サラが魔法生物を飛ばす。
「《風の矢》!!」
――シュッ!!
しかし、風の矢は守護獣の体をすり抜けた。
「えっ……効いてない!?」
エリナが叫ぶ。
「影の守護獣は“物理も魔法も通りにくい”んです!!
弱点は……“光”だけ!!」
全員の視線がトモエに向く。
「えっ……うち!?」
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん! 光の魔力で……!」
トモエは深呼吸した。
(うちの光……通じるんやろか)
(でも……やるしかない)
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◆ おばちゃんの光、炸裂
守護獣が再び突進してくる。
「グォォォォォッ!!」
トモエは前に出た。
「マナシールド!!」
――ドォォォォォンッ!!
光の盾が守護獣の突進を受け止める。
「ぐっ……重い……!!」
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん!!」
トモエは歯を食いしばった。
(負けへん……!)
(みんなを守るんは……うちの役目や!!)
「マナバースト!!」
――パァァァァァァッ!!
トモエの体から光が爆発し、
守護獣が後退する。
「グォォォォォッ!!」
エリナが驚く。
「効いてる……!!
おばちゃんさんの光、守護獣に通ってる!!」
バルドが叫ぶ。
「今や!! 畳みかけろ!!」
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◆ 連携攻撃
ユウトが杖を構える。
「《光の矢》!!」
――シュバァァッ!!
ユウトの光の矢が守護獣の足を貫く。
「グォォォッ!!」
カイルも叫ぶ。
「僕も……!!
《光弾》!!」
――パァンッ!!
小さな光弾が守護獣の体に当たり、
影が少しだけ剥がれる。
サラが魔法生物に指示する。
「《光の羽》!!」
――ヒュンッ!!
光の羽が守護獣の周囲を舞い、
影を削っていく。
バルドが剣を構える。
「トモエ!! 今や!!」
トモエは守護獣に向かって走り出した。
(うちは……この街を守るために来たんや)
(せやから――)
「マナブレイク!!」
――パァァァァァァァッ!!
トモエの光が守護獣の胸を貫いた。
「グォォォォォォォッ!!」
守護獣の体が崩れ、
黒い霧となって消えていく。
「……やった……?」
ユウトが震える声で言った。
「おばちゃん……倒したん?」
トモエは息を整えながら頷いた。
「倒したで……みんなのおかげや」
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◆ しかし、影の核は笑う
そのとき――
――ゴゴゴゴゴ……
谷の奥から、
不気味な声が響いた。
「……光よ……」
「……来い……」
「……我を……照らせ……」
ユウトが震える。
「な、なんや今の……?」
「声……?」
「影の核……?」
エリナが青ざめた。
「影の核が……私たちに“呼びかけている”……」
トモエは拳を握った。
(影の核……)
(うちは、あんたを止めに来たんや)
「よっしゃ。
第四層、行くで」
虎柄シャツが風に揺れた。




