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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第28話:『おばちゃん、北の山へ向かう決意をする』

リューネの朝は、どこかざわついていた。

昨日よりも空気が重く、街の人々の表情にも不安が浮かんでいる。


トモエは宿屋の窓を開け、深呼吸した。


(……空気が冷たい。嫌な予感がするわ)


宿屋の女将・ミーナが声をかけてきた。


「おばちゃんさん……今日、北の山のほうで“揺れ”があったそうです」

「揺れ?」

「はい。地面が震えたとか……魔力が乱れたとか……」


トモエは眉をひそめた。


(影の核……ほんまに動き出してるんやろか)


ミーナは心配そうに言った。


「おばちゃんさん……今日は無理に動かないほうが……」

「いや、街の様子見に行くわ。みんな不安そうやしな」


トモエは虎柄シャツを整え、市場へ向かった。


---


◆ 市場の緊張


市場に着くと、いつもの賑やかさはなく、

人々が空を見上げたり、北の山の方向を気にしていた。


「おばちゃん、おはよう……」

「今日もなんか変な空気やな……」

「北の山、黒い雲が出てるらしいで……」


ユウトが駆け寄ってきた。


「おばちゃん! 来てくれたんや!」

「ユウト、みんな不安そうやな」

「うん……朝から“地鳴り”があったんやって」


トモエは空を見上げた。


北の山の方向に、黒い雲が渦を巻いている。


(あれ……絶対普通ちゃうわ)


そのとき、鍛冶屋のバルドが走ってきた。


「トモエ! 北の山のふもとで、魔力の暴走が起きてるらしい!」

「暴走……?」

「魔獣が興奮して暴れ出したって話や!」


市場がざわつく。


「魔獣が……?」

「北の山の魔力が乱れてるんや……」

「災いが近いんちゃうか……?」


ユウトが不安そうに言った。


「おばちゃん……どうするん?」

「……見に行くわ」

「えっ!?」

「このまま放っといたら、街に被害出るかもしれへん」


バルドが言った。


「なら俺も行く!」

「うち一人でええ」

「アホ言え! お前を一人で行かせられるか!」


市場の人々も口々に言った。


「おばちゃん一人で危険なとこ行かせへん!」

「街はみんなで守るんや!」

「おばちゃんは光や! 光は守らなあかん!」


トモエは胸が熱くなった。


(……ほんま、ええ街やな)


---


◆ 占い師の警告


そのとき――


「……静かに」


市場の空気が一瞬で変わった。


黒いローブの占い師が現れた。


「またあんたか……」

「北の山の“影”が動き始めたわ」

「やっぱりか……」


占い師はトモエを見つめた。


「あなたは……行くつもりね」

「行かなあかんやろ」

「だが、今のあなたでは……“影の核”には勝てない」


市場がざわつく。


「勝てない……?」

「おばちゃんでも……?」

「そんな……!」


トモエは眉をひそめた。


「なんで勝てへんの?」

「影の核は“世界の闇”。あなたの光だけでは足りない」

「じゃあ……どうしたらええん?」

「“絆”を集めるのよ」


「絆……?」


占い師は市場の人々を見渡した。


「あなたが救ってきた人々の想い。それがあなたの力になる」

「……」


「あなたは一人ではない。

 街の人々と共に行くことで、光は強くなる」


トモエは胸に手を当てた。


(みんなの想いが……うちの力に……?)


---


◆ 北の山へ向かう準備


バルドが言った。


「トモエ! 俺が前衛をやる!」

「うちは魔法で援護するで!」

「わしは薬草持っていくわ!」

「うちも行く!」

「わたしも!」


市場の人々が次々と名乗りを上げる。


トモエは慌てて手を振った。


「ちょ、ちょっと待ち! みんな危ないで!」

「危ないのはわかっとる!」

「せやけど、おばちゃん一人で行かせへん!」

「街はみんなで守るんや!」


ユウトが言った。


「おばちゃん……僕も行く」

「ユウトはあかん!」

「なんで!?」

「危険すぎる!」

「危険でも……おばちゃんを守りたいんや!」


トモエは言葉を失った。


(……守りたいって言われたん、いつぶりやろ)


ユウトは続けた。


「おばちゃんは……僕の光や」

「……ユウト」


「だから……僕も一緒に行く」


トモエは深く息を吸った。


「……わかった」

「えっ……?」

「ユウト、一緒に来てええ。ただし――」

「ただし?」

「絶対に無茶せんこと」

「……うん!」


市場の人々が歓声を上げた。


「よっしゃあ!」

「街の光を守るで!」

「北の山へ行く準備や!」


---


◆ 出発前の静かな時間


トモエは市場の端で、一人空を見上げた。


(怖い……)


(でも……みんながおる)


(うちは一人やない)


ユウトが隣に来た。


「おばちゃん……大丈夫?」

「大丈夫や。ユウトがおるからな」

「僕も……おばちゃんがおるから大丈夫や」


トモエは笑った。


「よっしゃ。行こか」

「うん!」


虎柄シャツが風に揺れた。


こうして――

おばちゃんと街の仲間たちは、

“影の核”が眠る北の山へ向かう決意を固めた。

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