表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/130

第16話:『おばちゃん、王都の視察団に目をつけられる』

リューネの朝は、今日も穏やかだった。

しかし、トモエの胸には妙なざわつきがあった。


(なんやろ……今日はなんか、嫌な予感するわ)


宿屋の女将・ミーナが声をかけてきた。


「おばちゃんさん、今日は市場に行くんですか?」

「せや。リオの店も気になるしな」

「……あの、気をつけてくださいね」

「え、なんで?」

「なんだか、街の入り口に“偉そうな人たち”が来てるって噂で……」


トモエは眉をひそめた。


「偉そうな人?」

「はい。王都からの“視察団”らしいです」


(視察団……? なんでまたこんな田舎に)


嫌な予感がさらに強くなった。


---


◆ 市場の異変


市場に着くと、いつもより静かだった。

店主たちがそわそわしている。


「おばちゃん、おはよう……」

「今日はちょっと……落ち着かへんわ」

「王都の人らが来てるんや」


ユウトが駆け寄ってきた。


「おばちゃん! 大変だよ!」

「なんや、また何かあったん?」

「王都の“魔法管理局”の人たちが来てるんだ!」

「魔法管理局……?」


ユウトは真剣な顔で言った。


「おばちゃんの魔力が“異常に強い”って噂が王都に届いたらしくて……調査しに来たんだよ!」


トモエは頭を抱えた。


「うち、また余計なことしてもうたんか……」


---


◆ 王都の視察団、登場


市場の中央に、黒いローブを着た三人の男女が立っていた。

胸には“王都魔法管理局”の紋章。


「この街に……“異常魔力保持者”がいると聞いた」

「名は……大原トモエ、と言ったか」


市場の人々がざわつく。


「おばちゃん、逃げたほうが……」

「いや、逃げてもしゃあないわ」


トモエは堂々と前に出た。


「うちが大原トモエや。なんか用か?」

「……本当に虎柄の服を着ているのか」

「そこ関係ある!?」


視察団のリーダーらしき男が言った。


「あなたの魔力は、王都の記録にもないほど異質で強力だ。危険性があるため、調査に協力してもらう」

「危険性って……うちは誰も傷つけてへんで?」

「市場を吹き飛ばしたと聞いたが」

「くしゃみや!」


市場の人々が笑いをこらえる。


視察団の男は眉をひそめた。


「……とにかく、魔力測定を行う。拒否は許されない」


トモエはため息をついた。


「しゃあないなぁ……ほな、やったるわ」


---


◆ 魔力測定開始


視察団は市場の中央に魔法陣を展開した。

青い光が地面に広がり、空気がピリピリする。


「ここに立て」

「はいはい」


トモエが魔法陣に立つと、視察団が呪文を唱え始めた。


「マナスキャン……起動」


――ゴォォォォォンッ!!


魔法陣が光り、トモエの体から魔力が吸い上げられる。


視察団の男が目を見開いた。


「な……なんだ、この魔力量は……!」

「記録の……五倍……いや、十倍……!」

「こんな魔力、王都の大魔導師でも……!」


トモエは苦笑した。


「うち、そんなに強いん?」

「強いどころではない! 危険すぎる!」


市場の人々がざわつく。


「おばちゃんが危険……?」

「そんなわけないやろ!」

「おばちゃんは街の守り神や!」


視察団の男は叫んだ。


「黙れ! 魔力が強すぎる者は、管理下に置かねばならん!」

「管理下って……なんやそれ」

「王都へ連行する!」


市場が騒然となった。


「おばちゃんを連れて行くな!」

「おばちゃんは街の宝や!」

「王都なんかに渡せへん!」


視察団は動じない。


「規則だ。異議は認めない」


トモエは一歩前に出た。


「ちょっと待ち。うちはな――」


その瞬間。


「……へっ……へっ……」


(あかん……! このタイミングでくしゃみは……!)


「へくしっ!!」


――ドォォォォォンッ!!


魔法陣が吹き飛び、視察団がひっくり返った。


「ぎゃあああっ!」

「な、なんだこの衝撃は……!」

「魔法陣が……破壊された……!」


市場の人々が大爆笑した。


「おばちゃん、やった!」

「くしゃみ最強や!」

「視察団、吹っ飛んだで!」


トモエは頭を抱えた。


「いや、うちもこんなつもりやなかったんや……!」


---


◆ 視察団の態度が変わる


視察団のリーダーが震えながら立ち上がった。


「……あなた……本当に危険だ……」

「いや、くしゃみやって!」

「しかし……」


男は市場の人々を見渡した。


「この街の者たちは……あなたを恐れていない」

「当たり前や。うちは誰も傷つけてへん」

「むしろ……あなたを信頼している」


市場の人々が口々に言った。


「おばちゃんは街を救ってくれたんや!」

「魔力暴走区域も封印してくれた!」

「困ってる人を助けてくれる、優しい人や!」


視察団の男は深く息をついた。


「……わかった。あなたを王都に連行するのはやめよう」

「ほんまか?」

「ただし……定期的に魔力測定を受けてもらう」

「それくらいならええで」


男は頭を下げた。


「……あなたのような存在は、危険でもあり、希望でもある。どうか……この街を守り続けてほしい」


トモエは笑った。


「任しとき。うちは世話焼きが趣味やねん」


---


◆ 夕暮れの帰り道


ユウトが隣で言った。


「おばちゃん、今日もすごかったね」

「せやろ? うちはやるときはやる女やねん」

「視察団、完全に圧倒されてたよ」

「くしゃみでな……」


ユウトは笑った。


「でも、おばちゃんが街を守ってるのは本当だよ」

「そうか?」

「うん。みんなそう思ってる」


トモエは空を見上げた。


夕焼けが街を優しく染めていた。


「よっしゃ。明日も頑張るで」


虎柄シャツが夕風に揺れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ