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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第126話:『おばちゃん、霧の谷の“揺らぐ影”を感じる』

白霧の森を抜けたあと、

トモエたちはしばらく無言で歩いていた。


森の霧は晴れたはずなのに、

胸の奥にはまだ“余韻”が残っている。


ユウトがそっと口を開いた。


「おばちゃん……

 さっき……

 泣いてたやろ……」


トモエは少し照れくさそうに笑った。


「見とったんかいな。

 まぁ……

 ちょっと昔の知り合いと話してただけや」


ユウトは真剣な顔で言った。


「おばちゃん……

 辛かったら言うてええんやで。

 俺らおるからな」


トモエはユウトの頭を軽く叩いた。


「ありがとな。

 ほんまに……

 あんたらがおってくれて助かるわ」


カイルは優しく微笑んだ。


「白霧の森は“記憶を揺らす霧”です。

 おばちゃん先生にも……

 大切な記憶があったんですね」


リリアは胸に手を当てた。


「でも……

 おばちゃんさんが戻ってきてくれて……

 本当に……よかった……」


セイルは静かに言った。


「心の影を越えた者は、

 以前より強くなる。

 あなたは……

 また一歩進んだ」


エルミナは深く頷いた。


「……あなたの心が……

 少しでも軽くなっていることを願います……」


トモエは空を見上げた。


(ミオ……

 うちは前に進むで)


---


◆ ◆ ◆


◆ 霧の谷へ向かう道


白霧の森を抜けると、

景色は一変した。


森の緑は薄れ、

地面には白い砂が広がり、

空気はひんやりと湿っている。


ユウトが首をかしげた。


「おばちゃん……

 なんか……

 ここだけ空気が違うで……

 冷たいのに……

 湿ってる……?」


カイルは地図を広げた。


「ここから先が“霧の谷”です。

 谷全体が霧に覆われていて……

 地形が常に変わると言われています」


リリアは不安そうに言った。


「地形が……変わる……?

 そんな場所……あるの……?」


セイルは静かに言った。


「霧の谷は、

 “世界の影”が流れ込む場所。

 影の濃度によって、

 地形が揺らぐことがある」


エルミナは眉をひそめた。


「……霧の谷は……

 ノルディアの南にある“境界の地”……

 影の冬とは関係ないはずですが……

 最近……

 不穏な噂が増えているのです……」


トモエは前を見据えた。


(影の冬とは関係ない……

 せやけど……

 影が動いとる気配がする)


---


◆ ◆ ◆


◆ 霧の谷の入口


谷の入口に立つと、

そこには白い霧がゆっくりと流れていた。


霧は冷たく、

しかしどこか“生きている”ように揺れている。


ユウトが眉をひそめた。


「おばちゃん……

 この霧……

 なんか……

 動いてへん……?」


カイルは魔力を探った。


「霧の魔力……

 かなり強いです……

 これは……

 自然の霧じゃない……」


リリアは震えた。


「怖い……

 なんだか……

 胸がざわざわする……」


セイルは静かに言った。


「この霧……

 “影の気配”を含んでいる。

 影の冬とは違う……

 もっと古い……

 もっと薄い影だ」


エルミナは不安そうに言った。


「……どうか……

 気をつけてください……

 この谷は……

 何かが変わり始めています……」


トモエは霧に手を伸ばした。


冷たい。

しかし――

その奥に、

微かな“呼び声”のようなものを感じた。


(これは……

 誰かが……

 呼んどる……?)


---


◆ ◆ ◆


◆ 霧の谷の中へ


谷に足を踏み入れると、

霧が濃くなり、

視界が白く染まった。


ユウトが叫んだ。


「おばちゃん!!

 また見えへん!!

 手ぇ離したらあかんで!!」


トモエはユウトの手を握った。


「離さへん。

 絶対に離さへん」


しかし――

その瞬間だった。


霧が渦を巻き、

地面が揺れ、

谷の地形が変わり始めた。


カイルが叫んだ。


「みんな!!

 気をつけて!!

 谷が……

 動いてる!!」


リリアは悲鳴を上げた。


「いや……

 なんで……

 地面が……

 動いてるの……!?」


セイルは冷静に言った。


「霧の谷は、

 “影の流れ”によって形を変える。

 これは……

 影が活性化している証拠」


エルミナは震えた声で言った。


「……こんな動き……

 今まで見たことがありません……

 何かが……

 谷の奥で起きている……」


トモエは前を見据えた。


(谷の奥……

 そこに“影”があるんやな)


---


◆ ◆ ◆


◆ 霧の奥から聞こえる“声”


霧がさらに濃くなり、

視界が完全に白に染まった。


そのとき――

霧の奥から声が聞こえた。


『……来たか……

 光の継承者……』


ユウトが叫んだ。


「おばちゃん!!

 また影や!!

 なんか喋っとる!!」


カイルは顔を青くした。


「この声……

 古い影とは違う……

 もっと……

 薄い……

 でも……

 深い……!」


リリアは震えた。


「怖い……

 でも……

 逃げちゃだめ……」


セイルは静かに言った。


「これは……

 “世界の影”の一部。

 古い影とは別系統の……

 もっと広い影だ」


エルミナは息を呑んだ。


「……まさか……

 霧の谷に……

 影が……?」


トモエは声のする方を見つめた。


「誰や……

 あんたは……?」


霧が揺れ、

影の輪郭が浮かび上がった。


『……我は……

 “境界の影”……

 世界の狭間に生まれし影……

 光の継承者よ……

 お前を待っていた……』


トモエは拳を握った。


(境界の影……

 また新しい影かいな)


「よっしゃ。

 相手したるで」


霧が渦を巻き、

“境界の影”が姿を現し始めた。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第126話では、

白霧の森を越えたおばちゃんたちが

ついに“霧の谷”へ足を踏み入れ、

そこで新たな影――

「境界の影」

の気配を感じる回になりました。


ノルディア編で“心の影”を越えたおばちゃんが、

次に向き合うのは“世界の影”。


霧の谷は、

影の冬とは別の“影の流れ”が存在する場所。


次回、第127話では

境界の影との初対峙と、

霧の谷の秘密が少しずつ明らかになる回

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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