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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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122/124

第122話:『おばちゃん、“古い影”と対峙する』

喪失の影が光に溶けたあと、

ノルディア中心広場には、

これまでとはまったく違う“静寂”が訪れた。


風は止まり、

雪は落ちず、

空気は凍りついたように動かない。


ユウトが震えながら言う。


「おばちゃん……

 なんか……

 空気が変わったで……

 さっきまでの影と……

 全然違う……」


カイルは魔力を探り、

顔を青くした。


「影の濃度が……

 限界値を超えています……

 これは……

 “古い影の本体”が……

 目覚めようとしている……!」


リリアは胸を押さえた。


「怖い……

 でも……

 逃げちゃだめ……

 ここで止めなきゃ……」


セイルは静かに言った。


「孤独、諦め、怒り、喪失。

 それらはすべて“前座”。

 本体は……

 もっと深く、もっと古い」


エルミナは震える声で言った。


「……古い影は……

 ノルディアが生まれる前から存在する……

 “心の闇の原型”……

 どうか……

 気をつけてください……」


トモエは前を見据えた。


(来るな……

 これは……

 今までの影とは桁が違う)


黒い霧が、

ゆっくりと、しかし確実に広場を覆い始めた。


---


◆ ◆ ◆


◆ “古い影”の目覚め


地面が震え、

空気が歪み、

黒い霧が一点に集まっていく。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 なんか出てくるで!!

 めっちゃでっかい!!」


霧は渦を巻き、

やがて巨大な影の塊となった。


その姿は――

人の形をしているようで、

獣のようでもあり、

何か別の存在のようでもある。


輪郭は揺れ、

目は深い闇。

声は、世界の底から響くようだった。


『……光の継承者……

 よくぞここまで来た……』


トモエは一歩前に出た。


「うちはノルディアを救いに来たんや。

 あんたを眠らせに来たんや」


影は笑った。


『……眠らせる……?

 愚かだ……

 我は……

 “心の闇”そのもの……

 消えることなど……

 決してない……』


カイルが震えた声で言う。


「古い影……

 これは……

 “心の負の感情の集合体”……

 個人でも国でもない……

 もっと根源的な存在……!」


リリアは涙をこらえた。


「こんなの……

 どうやって戦うの……?」


セイルは静かに言った。


「戦うのではない。

 “向き合う”のだ。

 古い影は……

 心の闇そのもの」


エルミナは祈るように言った。


「……どうか……

 ノルディアを……

 救ってください……」


影は静かに言った。


『……光の継承者よ……

 お前の心にも……

 闇がある……

 それを認めぬ限り……

 我を眠らせることはできぬ……』


トモエは拳を握った。


(うちの心の闇……

 それがなんぼのもんや)


---


◆ ◆ ◆


◆ “古い影”の試練 ―― 心の闇を映す鏡


影が手をかざすと、

トモエの足元に“黒い鏡”が現れた。


鏡の中には――

トモエ自身が映っていた。


しかしその姿は、

これまでのどの幻影よりも“冷たく、暗い”。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 鏡の中のおばちゃん……

 めっちゃ怖い顔してる!!」


カイルは息を呑んだ。


「これは……

 “心の闇の具現化”……

 おばちゃん先生の……

 最も深い影……!」


リリアは震えた。


「そんなの……

 そんなの……

 おばちゃんさんじゃない……!」


影は静かに言った。


『……これが……

 お前の心の闇……

 “誰にも頼れない恐怖”

 “守れない自分への怒り”

 “失うことへの怯え”

 それらが混ざり合った姿……』


トモエは鏡を見つめた。


(これは……

 うちの……

 全部の影が混ざった姿や)


鏡の中の“闇のトモエ”が言った。


「あんたは……

 強いふりしてるだけや。

 ほんまは……

 怖くて怖くて……

 仕方ないんやろ?」


トモエは目を閉じた。


(せや……

 怖い。

 ずっと怖かった)


---


◆ ◆ ◆


◆ “闇のトモエ”との対話


闇のトモエは続けた。


「誰かを守れへんかもしれん。

 誰かを失うかもしれん。

 自分が壊れるかもしれん。

 それが怖いんやろ?」


トモエは静かに言った。


「怖いで。

 めっちゃ怖い。

 せやけど――

 それでも前に進むんが、

 うちの生き方や」


闇のトモエは揺れた。


「……怖いまま進む……?」


「せや。

 怖いまま進むんや。

 強いから進むんやない。

 怖くても進むから強いんや」


闇のトモエは震えた。


「……そんな……

 生き方……

 知らん……」


トモエは鏡に手を伸ばした。


「ほな教えたる。

 うちは……

 仲間と一緒に進むんや」


光が鏡を包み、

闇のトモエは砕け散った。


---


◆ ◆ ◆


◆ “古い影”の動揺


影は揺れ、

広場全体が震えた。


『……馬鹿な……

 心の闇を……

 受け入れた……?』


トモエは影を見据えた。


「闇は悪やない。

 誰の心にもあるもんや。

 せやけど……

 それをどう扱うかは自分で決められる」


影は後退した。


『……光の継承者……

 お前は……

 心の闇を……

 恐れぬのか……?』


「恐れるで。

 せやけど……

 逃げへん」


影は震えた。


---


◆ ◆ ◆


◆ “古い影”の正体


影は静かに言った。


『……我は……

 人の心が生まれた時から存在する……

 恐れ……

 悲しみ……

 怒り……

 喪失……

 それらすべての源……』


トモエは頷いた。


「せやろな。

 せやけど……

 あんたは敵やない。

 ただの“心の一部”や」


影は揺れた。


『……心の……

 一部……?』


「せや。

 闇があるから光がある。

 光があるから闇がある。

 どっちも必要なんや」


影は静かに震えた。


『……我を……

 否定しないのか……?』


「否定せぇへん。

 せやけど……

 ノルディアを凍らせるんは許されへん。

 眠ってもらうで」


影はゆっくりと形を崩し始めた。


『……光の継承者……

 お前は……

 我を……

 受け入れた……

 ゆえに……

 我は眠る……』


影は雪となって消えた。


---


◆ ◆ ◆


◆ ノルディアに光が戻る


霧が晴れ、

広場に光が差し込んだ。


凍っていた人々の氷が溶け、

街に色が戻り始める。


ユウトが叫んだ。


「おばちゃん!!

 街が……

 元に戻っていくで!!」


カイルは涙をこぼした。


「古い影が……

 眠ったんだ……!」


リリアは胸に手を当てた。


「よかった……

 本当に……よかった……」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 あなたは……

 心の闇を受け入れ、

 影を眠らせた。

 これは……

 誰にもできない偉業」


エルミナは涙を流しながら言った。


「……ありがとうございます……

 ノルディアを……

 救ってくださって……

 本当に……

 本当に……」


トモエは空を見上げた。


(終わった……

 せやけど……

 まだ旅は続く)


「よっしゃ。

 みんな……

 次の目的地、探そか」


虎柄シャツが風に揺れ、

おばちゃんは新しい一歩を踏み出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第122話では、

ついに“古い影の本体”が姿を現し、

おばちゃんが“心の闇そのもの”と向き合う回になりました。


孤独、諦め、怒り、喪失――

それらすべての根源にある“心の闇”。


おばちゃんはそれを否定せず、

受け入れ、抱きしめ、

光へと変えていく。


この回は、

ノルディア編の大きな節目であり、

おばちゃんの成長の象徴でもあります。


次回、第123話では

ノルディア復興の始まりと、

新たな旅路への準備

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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