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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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117/132

第117話:『おばちゃん、“国の影”の囁きを聞く』

古い影の分身が消えたあと、

ノルディア中心広場には静寂が戻っていた。


しかし――

その静けさは、

“終わり”ではなく“始まり”の合図だった。


ユウトが震えながら言う。


「おばちゃん……

 なんか……

 空気が変わったで……

 さっきより重い……」


カイルは魔力を探りながら顔を青くした。


「影の濃度が……

 急激に上がっています……

 これは……

 “国の影”が動き出した……!」


リリアは胸に手を当てた。


「怖い……

 でも……

 さっきの影より……

 もっと深い……

 もっと冷たい……」


セイルは静かに言った。


「古い影の分身は、

 ただの“前触れ”にすぎない。

 本当に恐れるべきは……

 “国そのものが抱えてきた影”」


エルミナは震える声で言った。


「……ノルディアは……

 長い冬に苦しんできました……

 その中で……

 人々の心に積もった影が……

 形になったのです……」


トモエは前を見据えた。


(国の影……

 それが本番か)


---


◆ ◆ ◆


◆ 街が“息をする”


広場の石畳が、

かすかに震えた。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 地面が……

 動いてる!!」


カイルは顔を青くした。


「これは……

 魔力の脈動……

 街そのものが……

 “影の器”になっている……!」


リリアは震えた。


「街が……

 生きてるみたい……

 怖い……」


セイルは静かに言った。


「ノルディアの街は、

 長い冬の中で“心の影”を吸い続けた。

 その影が……

 街そのものを動かしている」


エルミナは涙をこらえた。


「……ノルディア……

 どうして……

 こんな姿に……」


トモエは街の中心を見つめた。


(これは……

 ただの呪いやない。

 “積み重なった心の痛み”や)


---


◆ ◆ ◆


◆ “国の影”の囁き


そのとき――

街全体から声が響いた。


『……寒い……

 苦しい……

 寂しい……』


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 街が喋った!!

 なんやこれ!!」


カイルは震えた声で言う。


「これは……

 “国の影”の声……

 ノルディアの人々が抱えてきた痛み……

 その集合体……!」


リリアは涙をこぼした。


「こんなの……

 こんなの……

 悲しすぎる……」


セイルは静かに言った。


「国の影は、

 “人々の心の底”が積み重なって生まれる。

 それは……

 誰かひとりの影よりも深く、重い」


エルミナは震える声で言った。


「……ノルディアの人たちは……

 ずっと……

 冬に耐えてきました……

 その苦しみが……

 影になったのです……」


トモエは拳を握った。


(これは……

 誰かのせいやない。

 みんなが抱えてきた痛みや)


---


◆ ◆ ◆


◆ 街が“形”を持つ


広場の中央に、

黒い霧が集まり始めた。


ユウトが叫ぶ。


「またや!!

 なんか出てくるで!!

 でっかい!!」


霧は渦を巻き、

やがて巨大な影の塊となった。


人の形でも、

獣の形でもない。


ただ、

“痛み”と“寂しさ”が混ざったような影。


カイルは震えた声で言う。


「これは……

 “国の影”の一部……

 古い影とは違う……

 もっと……

 感情に近い……!」


リリアは涙をこぼした。


「こんなの……

 こんなの……

 どうやって戦うの……?」


セイルは静かに言った。


「戦うのではない。

 “向き合う”のだ。

 国の影は……

 人々の心そのもの」


エルミナは震えながら言った。


「……どうか……

 ノルディアの心を……

 救ってください……」


影は低く唸った。


『……寒い……

 苦しい……

 助けて……』


トモエは影に向かって歩いた。


「助けるで。

 あんたらの痛み……

 うちが受け止めたる」


影は揺れた。


『……本当に……?

 誰も……

 助けてくれなかった……』


トモエは静かに言った。


「うちは逃げへん。

 あんたらの痛みも、

 寂しさも、

 全部まとめて抱きしめたる」


影は震え、

形を変えた。


---


◆ ◆ ◆


◆ “国の影”の試練


影はトモエの前に立ち、

静かに言った。


『……ならば見せよう……

 ノルディアが抱えてきた“心の底”を……』


黒い霧が広場を覆い、

世界が揺れた。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 また霧や!!

 気ぃつけて!!」


カイルは魔力を探った。


「これは……

 “国の影の試練”……

 個人の影よりも……

 はるかに強い……!」


リリアは震えた。


「おばちゃんさん……

 気をつけて……!」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 これは……

 あなたひとりでは越えられない試練。

 仲間の心も試される」


エルミナは涙をこらえた。


「……どうか……

 ノルディアの心を……

 救ってください……」


トモエは深呼吸した。


(国の影……

 うちは逃げへん)


「よっしゃ。

 みんな――

 行くで」


黒い霧が渦を巻き、

“国の影の試練”が始まった。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第117話では、

ノルディア全体に積もり続けた“国の影”が姿を現し、

街そのものが試練を仕掛けてくる展開になりました。


個人の影よりも深く、

長い時間をかけて積み重なった痛み。

それが“国の影”として形を持ち、

おばちゃんたちの前に立ちはだかります。


次回、第118話では

“国の影の試練”の第一段階として、

ノルディアの人々が抱えてきた“孤独の影”が襲いかかる回

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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