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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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114/124

第114話:『おばちゃん、“影の冬”に沈むノルディアを見る』

氷の王の試練を越え、

トモエたちは氷の峠を下り始めていた。


風は弱まり、

雪は細かく、

空は薄い灰色。


しかし――

その静けさは不気味だった。


ユウトが肩をすくめながら言う。


「おばちゃん……

 なんか……

 峠の上より寒くないのに……

 胸がざわざわするで……」


カイルは魔力を探りながら頷いた。


「影の濃度が……

 峠よりも高い……

 これは……

 “古い影”の領域に入った証拠です……」


リリアは胸に手を当てた。


「怖い……

 でも……

 進まなきゃ……

 ノルディアの人たちが……

 待ってる……」


セイルは静かに言った。


「氷の王が言っていた通り。

 ここから先は、

 “古い影”の影響が強い。

 心の温度を保つことが重要になる」


エルミナはローブを握りしめた。


「……皆さん……

 もうすぐ……

 ノルディアの国境です……

 どうか……

 覚悟を……」


トモエは前を見据えた。


(ノルディア……

 どんな姿になっとるんやろ)


---


◆ ◆ ◆


◆ ノルディア国境 ―― “凍りついた門”


峠を下りきると、

巨大な門が見えてきた。


氷で覆われ、

雪に埋もれ、

まるで“時間が止まった”ような門。


ユウトが目を丸くした。


「おばちゃん!!

 あれ……

 門やんな!?

 めっちゃ凍ってる!!」


カイルは顔を青くした。


「これは……

 “影の冬”に飲まれた門……

 魔力の流れが完全に凍結している……」


リリアは震えた。


「こんなの……

 どうやって開けるの……?」


セイルは静かに言った。


「影の冬に覆われた門は、

 “心の温度”でしか開かない。

 氷の王の試練を越えた者だけが、

 この門を通れる」


エルミナは門に手を触れた。


「……ノルディア……

 私の国……

 どうか……

 無事でいて……」


トモエは門に手を置いた。


冷たい。

痛いほど冷たい。

しかし――

氷の王の試練を越えた今、

その冷たさは“拒絶”ではなかった。


(開けるで……

 ノルディアのために)


トモエが力を込めると、

門がゆっくりと光り始めた。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 門が動いたで!!

 すごい!!」


門は軋みながら開き、

ノルディアの街が姿を現した。


---


◆ ◆ ◆


◆ ノルディアの街 ―― “影の冬に沈む国”


門の向こうに広がっていたのは――

静寂の街だった。


家々は雪に埋もれ、

道は凍りつき、

人影はない。


風も吹かず、

音もなく、

まるで“世界が息をしていない”ような静けさ。


ユウトが震えた声で言う。


「おばちゃん……

 なんやこれ……

人がおらん……

 街が……

 死んでるみたいや……」


カイルは魔力を探った。


「影の濃度……

 異常です……

 ここは……

 “影の冬”の中心に近い……」


リリアは涙をこらえた。


「こんなの……

 こんなの……

 ひどい……

 誰も……

 笑ってない……」


セイルは静かに言った。


「古い影が……

 この街の“心”を奪った。

 人々は……

 心の奥で眠らされているのかもしれない」


エルミナは震える声で言った。


「……ノルディア……

 私の国……

 どうして……

 こんな……」


トモエは街を見渡した。


(これは……

 世界の涙とは違う。

 もっと深い……

 もっと古い……

 “心の凍結”や)


---


◆ ◆ ◆


◆ 氷に閉ざされた人々


街の中央へ向かうと、

広場に“氷の像”が並んでいた。


ユウトが叫んだ。


「おばちゃん!!

 これ……

 人や!!

 人が……

 氷になってる!!」


カイルは震えた声で言う。


「これは……

 “心の凍結”……

 古い影が人々の心を奪い、

 身体ごと凍らせた……」


リリアは涙をこぼした。


「こんなの……

 こんなの……

 ひどすぎる……」


セイルは静かに言った。


「古い影は、

 人の心の“最も弱い部分”に入り込む。

 それが積み重なれば……

 心は凍りつく」


エルミナは膝をついた。


「……みんな……

 私の国の人たち……

 どうか……

 どうか……

 生きていて……」


トモエはエルミナの肩に手を置いた。


「大丈夫や。

 まだ間に合う。

 心が凍っただけや。

 うちが……

 必ず溶かしたる」


エルミナは涙をこぼした。


「……ありがとうございます……

 光の継承者……

 本当に……」


---


◆ ◆ ◆


◆ 古い影の気配


そのとき――

街の奥から、

低い声が響いた。


『……来たか……

 光の継承者……』


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 なんか喋った!!

 また影や!!」


カイルは顔を青くした。


「これは……

 古い影の“分身”……

 まだ本体ではありませんが……

 強い……!」


リリアは震えた。


「怖い……

 でも……

 逃げちゃだめ……」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 古い影は……

 あなたを待っている」


エルミナは涙を拭い、

立ち上がった。


「……どうか……

 ノルディアを……

 救ってください……」


トモエは拳を握った。


(古い影……

 うちは必ず眠らせたる)


「よっしゃ。

 行こか、みんな。

 ノルディアの中心へ」


虎柄シャツが風に揺れ、

おばちゃんは凍りついた街の奥へ歩き出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第114話では、

ついにノルディアの国境を越え、

“影の冬”に沈む街の姿が描かれました。


氷に閉ざされた人々。

静寂に包まれた街。

そして、古い影の気配。


氷の王の言葉通り、

ここから先は“心の底”に触れる旅になります。


次回、第115話では

ノルディアの中心部で起こる“最初の異変”と、

古い影の分身との初対峙

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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