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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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112/133

第112話:『おばちゃん、“吹雪の試練”で仲間の心の揺れを見る』

氷影獣を退けたあと、

トモエたちは氷の峠の中腹へ向かっていた。


雪は深く、

風は鋭く、

空気は凍りつくほど冷たい。


ユウトが肩をすくめながら言う。


「おばちゃん……

 なんか……

 さっきより風が強なってへん……?

 顔が痛いで……!」


トモエは笑った。


「そらあんた、ここは“氷の峠”の中腹や。

 ここからが本番やで」


カイルは魔力を探りながら言う。


「影の濃度が……

 また上がっています……

 この先に“吹雪の試練”があるはずです」


リリアはマフラーを押さえながら震えた。


「吹雪の試練……

 名前だけで怖い……

 心まで凍りそう……」


セイルは静かに言った。


「吹雪の試練は、

 “心の揺らぎ”を増幅させる。

 恐れや不安が強い者ほど、

 吹雪に飲まれやすい」


エルミナはローブを握りしめた。


「……皆さん……

 どうか……気を強く持ってください……

 この試練は……

 ノルディアの民でも越えるのが難しい……」


トモエは前を見据えた。


(せやけど……

 うちは止まらへん)


---


◆ ◆ ◆


◆ 氷の峠・中腹 ―― “吹雪の壁”


しばらく進むと、

前方に白い壁のようなものが見えた。


ユウトが目を丸くした。


「おばちゃん!!

 あれ……

 雪の壁や!!

 めっちゃ分厚い!!」


カイルは顔を青くした。


「これは……

 “吹雪の結界”……

 氷の峠の中腹に現れる自然の結界です……!」


リリアは震えた。


「こんなの……

 どうやって進むの……?」


セイルは静かに言った。


「吹雪の結界は、

 “心の揺らぎ”を増幅させる。

 心が弱っている者は、

 吹雪に飲まれてしまう」


エルミナは杖を握りしめた。


「……この吹雪は……

 古い影の“息”のようなもの……

 心が揺れれば揺れるほど……

 吹雪は強くなります……」


トモエは吹雪の壁に手を伸ばした。


冷たい。

痛いほど冷たい。

しかし――

その奥に、

どこか“悲しみ”のようなものを感じた。


(この吹雪……

 ただの自然現象やない。

 “心の影”が混ざっとる)


---


◆ ◆ ◆


◆ 試練の始まり ―― “吹雪が心を揺らす”


吹雪の壁に足を踏み入れた瞬間、

視界が真っ白に染まった。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 なんも見えへん!!

 手ぇ離したらあかんで!!」


トモエはユウトの手を握った。


「離さへん。

 絶対に離さへん」


しかし――

その瞬間だった。


風が強まり、

雪が渦を巻き、

仲間たちの姿がかき消えた。


カイルの声が遠くから聞こえる。


「みんな!!

 気をつけて!!

 吹雪が……

 心を揺らして……

 幻を見せてくる……!」


リリアの声も震えていた。


「怖い……

 なんで……

 こんなに……

 胸が苦しいの……」


セイルの声は冷静だったが、

その奥に緊張があった。


「光の継承者。

 仲間たちの心が揺れている……

 この吹雪は……

 “心の弱さ”を狙っている……」


エルミナの声はかすかに震えていた。


「……皆さん……

 どうか……

 自分を見失わないで……

 吹雪は……

 心の影を映します……」


トモエは叫んだ。


「みんな!!

 声出しぃや!!

 うちはここにおる!!」


しかし――

返事はない。


(あかん……

 みんな、吹雪に飲まれかけとる)


---


◆ ◆ ◆


◆ 仲間の心の揺れ ―― “ユウトの影”


吹雪の中、

ユウトの声が聞こえた。


「……おばちゃん……

 なんで……

 なんで来てくれへんの……?」


トモエは息を呑んだ。


(また……

 ユウトの幻影……?)


雪の中に、

ユウトの影が見えた。


しかしその表情は、

見たことがないほど悲しげだった。


「おばちゃん……

 俺……

 怖いねん……

 置いていかれるのが……

 ひとりになるのが……」


トモエは胸が締め付けられた。


(ユウト……

 あんた、そんなこと……)


吹雪がさらに強まり、

ユウトの影が揺れた。


「おばちゃんがいなくなったら……

 俺……

 どうしたらええん……?」


トモエは叫んだ。


「ユウト!!

 うちはここにおる!!

 あんたを置いていくわけないやろ!!」


光が弾け、

ユウトの影は消えた。


吹雪が少しだけ弱まった。


---


◆ ◆ ◆


◆ 仲間の心の揺れ ―― “リリアの影”


次に聞こえたのは、

リリアの声だった。


「……私……

 足手まとい……

 みんなの迷惑……

 いらない……」


トモエは叫んだ。


「リリア!!

 そんなことあるかいな!!

 あんたは大事な仲間や!!」


しかしリリアの影は震えながら言った。


「でも……

 怖い……

 自分が……

 みんなの足を引っ張るのが……」


トモエは強く言った。


「引っ張ってええんや!!

 仲間は支え合うもんや!!

 あんたはひとりやない!!」


光が弾け、

リリアの影も消えた。


吹雪がさらに弱まった。


---


◆ ◆ ◆


◆ 仲間の心の揺れ ―― “カイルの影”


最後に聞こえたのは、

カイルの声だった。


「……僕は……

 弱い……

 みんなの役に立てない……

 守れない……」


トモエは叫んだ。


「カイル!!

 あんたは弱くない!!

うちらはあんたの知恵に何度も助けられとる!!」


カイルの影は震えながら言った。


「でも……

 僕は……

 戦えない……

 怖い……」


トモエは優しく言った。


「怖くてええんや。

 怖いまま進むんが強さや。

 あんたは立派な仲間や」


光が弾け、

カイルの影も消えた。


吹雪が――

完全に止んだ。


---


◆ ◆ ◆


◆ 試練の終わり


吹雪が晴れ、

仲間たちが姿を現した。


ユウトが駆け寄る。


「おばちゃん!!

 無事やったんか!!

 めっちゃ怖かったで!!」


リリアは涙を拭った。


「おばちゃんさん……

 本当に……

 ありがとう……」


カイルは息をついた。


「吹雪の試練……

 まさか心を揺らすものだったとは……」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 あなたが仲間の心を呼び戻した。

 それが吹雪を止めたのです」


エルミナは深く頭を下げた。


「……皆さん……

 本当に……

 ありがとうございます……

 あなた方の絆が……

 吹雪を越えたのです……」


トモエは空を見上げた。


(古い影……

 うちは必ず眠らせたる)


「よっしゃ。

 行こか、みんな。

 峠の頂上はもうすぐや」


虎柄シャツが風に揺れ、

おばちゃんは再び歩き出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第112話では、

氷の峠の中腹で起こる“吹雪の試練”が描かれました。


この吹雪は、

ただの自然現象ではなく、

仲間たちの心の揺らぎを映し出す“心の影”。


ユウトの不安、

リリアの自己否定、

カイルの恐れ。

それぞれの弱さが吹雪に形を与え、

仲間たちを飲み込もうとする。


そんな中で、

おばちゃんは仲間の心を呼び戻し、

吹雪を止めることに成功しました。


次回、第113話では

氷の峠の頂上で待つ“氷の王の試練”

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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