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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第11話:『おばちゃん、魔力不足の家庭を救う』

リューネの朝は、今日も柔らかい光に包まれていた。

宿屋の窓から差し込む陽光を浴びながら、トモエは伸びをした。


「よっしゃ、今日も頑張るでぇ……」


昨日の祭りの疲れが少し残っていたが、たこ焼き屋台の大成功に気分は上々だった。


宿屋の女将・ミーナが笑顔で声をかけてきた。


「おばちゃんさん、昨日の屋台……すごかったですねぇ」

「せやろ? うちのたこ焼き、異世界でも通用したわ」

「今日も街の人たち、きっと話題にしてますよ」


トモエは照れくさそうに笑った。


「まぁ、喜んでもらえたならええわ」


朝食を終え、トモエは市場へ向かった。


---


◆ 市場での異変


市場に着くと、いつもより静かだった。

店主たちの顔がどこか疲れている。


「おばちゃん、おはよう……」

「昨日はありがとうな……」

「でも今日はちょっと……」


トモエは眉をひそめた。


「なんや、元気ないなぁ。どうしたん?」

「魔力が……足りへんねん」

「魔力?」

「昨日の祭りで魔力を使いすぎて、街全体の魔力が薄くなってるんや」


ユウトが駆け寄ってきた。


「おばちゃん! 大変なんだ!」

「また何かあったん?」

「街の“魔力供給網”が弱まってて、特に家庭の魔力が足りてないんだよ!」


魔力供給網――

街の家々に魔力を届ける仕組みだ。


「魔力が足りへんと、どうなるん?」

「生活魔法が使えなくなるんだ。火も水も出ないし、掃除も洗濯もできない……」


トモエは目を丸くした。


「それ、めっちゃ困るやん!」

「そうなんだよ……特に、魔力が弱い家庭は大変で……」


そのとき、ひとりの女性が駆け寄ってきた。


「おばちゃんさん……助けてください!」

「どうしたん?」

「うちの家、魔力がほとんどなくて……子どもたちが困ってるんです!」


トモエは胸に手を当てた。


(困ってる人がおるなら……うちが行かなあかんやろ)


「よっしゃ、案内して。うちがなんとかしたるわ」


---


◆ 魔力不足の家へ


女性に案内され、トモエは街の外れにある小さな家へ向かった。


家の中は薄暗く、魔力灯がほとんど光っていない。


「お母さん……寒いよ……」

「水が出ない……」


小さな子どもたちが震えていた。


トモエは胸が締めつけられた。


「かわいそうに……」


女性は涙をこぼした。


「昨日の祭りで魔力を使いすぎて……うちは魔力が弱いから、すぐ枯れてしまって……」


トモエは女性の肩に手を置いた。


「大丈夫や。うちが魔力分けたる」


ユウトが驚いた。


「おばちゃん、本気?」

「当たり前や。困ってる人見たら放っとけへんのが大阪のおばちゃんや」


---


◆ 魔力供給開始


トモエは家の中央にある“魔力受け皿”に手をかざした。


「ここに魔力を流せば、家全体に行き渡るんやな?」

「はい……でも、少しで大丈夫です。おばちゃんさんの魔力は強いから……」


トモエは深呼吸した。


「ほな、いくで……“マナフロー”」


――ふわぁぁぁ。


家全体が淡い光に包まれた。


「わぁ……!」

「明るい!」

「暖かい……!」


魔力灯が明るくなり、暖房魔法が動き出し、水道から水が流れた。


女性は涙を流した。


「おばちゃんさん……ありがとうございます……!」

「ええって。これくらいなんでもないわ」


しかし――


「……へっ……へっ……」


トモエの鼻がむずむずした。


(あかん……! ここでくしゃみしたら……!)


「へくしっ!!」


――ドォォォォォンッ!!


家全体が光に包まれ、魔力が一気に満ちた。


「きゃああっ!」

「ま、眩しい!」

「おばちゃん、魔力強すぎ!」


光が収まると――


「……あれ?」

「家が……」

「めっちゃ綺麗になってる!」


壁はピカピカ、床はツヤツヤ、家具は新品のように輝いていた。


トモエはぽかんとした。


「え、うち……掃除魔法までやってもうたん?」

「おばちゃんの魔力……すごすぎる……!」

「家が生まれ変わったみたいや!」


女性は涙を流しながら笑った。


「おばちゃんさん……本当に、本当にありがとうございます……!」


トモエは照れくさそうに笑った。


「いやぁ……くしゃみは計算外やったけどな……」


---


◆ 街の人々の反応


家を出ると、近所の人々が集まっていた。


「おばちゃん、すごいって聞いたで!」

「うちの家も魔力足りへんねん!」

「助けてくれへん?」


トモエは苦笑した。


「うちは魔力タンクちゃうで……」


しかし、困っている人を放っておける性格ではない。


「しゃあない。順番に見たるわ」


ユウトが笑った。


「おばちゃん、ほんまに街の守り神みたいや」

「守り神は言いすぎや!」

「でも、みんなおばちゃんに助けられてるよ」

「……そう言われると、悪い気せぇへんな」


---


◆ 夕暮れの帰り道


魔力不足の家々を回り終えた頃には、夕日が街を赤く染めていた。


トモエは疲れた体を伸ばした。


「ふぅ……今日はよう働いたわ」

「おばちゃん、すごかったよ」

「せやろ? うちはやるときはやる女やねん」


ユウトが笑った。


「おばちゃんが来てから、街がどんどん元気になってるよ」

「そうか?」

「うん。みんな笑ってる」


トモエは空を見上げた。


異世界の空は、今日も優しい色をしていた。


「よっしゃ。明日も頑張るで」


虎柄シャツが夕風に揺れた。

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